透明な回廊(1996.9.3)
木の葉がぼろぼろになっていくようには
あちらへの回廊は変質しない
透明なガラスが
さらに透明になって
ついに水が通るように
回廊は変質する
たしかにガラス片を踏んで
肉体が曲がるころ
ところどころ甘い飴でできた回廊には
血の染みが
点々と着いた
でも木の葉のような染みは
途轍もなく透明になることによって
床は虹色の本当の菓子になる
ガラス片はザラメであったかのように
往くのである
車窓からの眺めが
網膜に映り続ける
同胞が甘受したところへ
往かせない
同胞が謎に思ったところへは
往かせない
私の身近な空へ
引き寄せてしまう
それができるのは
高速度で往ける透明度が
あなたにすでに保証されているから
私の空にかならず
引き寄せてしまう
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