草々(1996.10.1)
ガラスの盆地を行く電車は
草々の立方体の
思いを
じゅんじゅんに重ねていく
ガラスの中に積まれていく
立方体の思いは
国道から連なる
西や東を分析していった
紙上にコーヒーを垂らしながら
文庫のくっきりした活字の痕を
染みにして
頭がひとしきり
立方体になって
その中を草々が泳ぎ
またその奥に池があって
たき火が燃え
魚が跳ねているような
ガラスの盆地に
思いが透明な煉瓦の形に
重なる
この広い時計の文字盤に
青い絵がいっぱいに広がり
街の建物が活字の痕に
ぎざぎざの陰を作る
その本の上
ガラスの盆地は
じゅんじゅんに思いを
草々のように溜めていく
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