靴の上の砂(1996.11.26)

靴の上の砂(1996.11.26)


ふと靴のほこりが
円錐の渦になって
立つ
波が寄せて返す岩の
隙間の
潮だまり
アスファルトの潮だまりに
駒がいくつもひゅーひゅーと過ぎていく

ボウフラが空き缶の水にいた夏の
どこかのどぶ川のそばにいる
ひっかき傷をつけた猫が
僕の頭の上を浮いていく
恋に封をした
のは
洪水を防ぐためで
靴の裏側から
地面にかけて
円錐状に
僕の水が
歌う人を
含んでいて
パラドクシカルな砂が
いくつもの
てのひらの街を
徘徊している
眠らない街のように
滑り降りている

◆清水鱗造 週刊詩 目次◆前頁(逆立つ髪(1996.12.3))◆次頁(位相空間(1996.11.19))◆

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