乾いたくちびる（1997.3.25）

乾いたくちびる（1997.3.25）


乾いたくちびるに
甘い蜜が欲しくなる
瓶に沈む文字片
が欲しい

ぼうふらのように沈んで
豆腐のように四角で

眼の縁は乾き
耳は粉を噴き
花がすべて沈殿してしまったら
少し甘い
液が

線路に沿って垂れている
蜜が欲しい

罅のなかの罅の
雲の白濁した
蜜に
一尾の淡水魚が
火になって泳いでいく

◆清水鱗造　週刊詩　目次◆前頁（正方形の街（1997.4.1））◆次頁（赤い染め抜き（1997.3.18））◆

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