アタマを運ぶ高速バス(1997.7.1)
車窓からは緑の景色と遮蔽物が
交互に流れていく
バスの上には渋滞5キロというような
インフォメーションが電光掲示板に出て
丸く口を開けて寝ている人もいる
いい天気で下のワゴン車の後部座席には
幼い子が寝ているし
助手席には女の太ももが見える
禁煙
バス会社の方、僕の健康を考えてくれてありがとう
禁煙印はいつも僕の健康のことを思ってくれている
よけいなお世話だけどね
少なくともバスを降りるまでは煙草は吸えない
いつか厚木付近で事故があり
珍しく途中のレストランの前で5分停車したことがあった
霧雨のなかで帽子をかぶった運転手が
うまそうに煙草を吸っていたのを思い出す
僕の趣味にあなたは興味がない
だから「チョコレート食べる?」というような
言葉がのどかな車内をつくる
アタマのなかの趣味
他愛なくもない趣味
アタマはのどかでない
でもいいんじゃない
のどかでなくても
風景が飛び
明るい高速道路がみんなの趣味を運ぶ
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