砂層(1997.7.15)

砂層(1997.7.15)


砂に満たされた層に
砂の蝉が飛ぶ


歌が終わると
砂嵐になるテレビ

飛ぶ砂の中ににおぼつかなく
蝉がいて
もう幹の形であるかもわからない桜の木に
とまる

真空管のノイズは
寒天のように四角く加工され
砂菓子として
砂の身体を貫き
四角いまま
床に突き刺さる

満たされた層は
変幻する街の内臓で
告げている
いま
砂でできた建物が
地平線にあり
平たい巨きな魚が
潜り込むのを

ただ
傾ぎ
うろたえる砂の中で
フラッシュされるのが
見える

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(哲学者としての玉虫(1997.7.22))次頁(水面から ガラスの鯉のくち(1997.7.8))

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