風紋(1997.9.30)

風紋(1997.9.30)


幾分かは微細な形が
人の線によって
おおまかに捕らわれる
微細な砂は
フェティッシュな
指によって再構成され
ともすれば
町の人が奈落と呼ぶ
段ボールハウスのほうへ行くこともあるが
それが財を呼ぶのを知れば
右往左往して
回収しようと蟻のように動きだす
だが
彼らには不可解なのだ 砂が
風紋をないがしろにするとき
じつは風をないがしろにしている

ほら
作っているでしょう
台所で しとねで
脳神経を流れる電流の縞は
観察すべき
雲の流れ

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(捨て猫(1997.10.7))次頁(ボブ・ディランの干物(1997.9.23))

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