夕刻(1997.11.4)

夕刻(1997.11.4)


ぼうぼうと
獣が草のように生えている
野路
猫科の顔が空の水に映るあたり
縦横に獣たちは
風を切って
ちりぢりになる
たなびいていく

青鉛筆を削り
その青の屑を脳幹に撒き散らすのに
父祖の泡が
サイダーの街並を
炭酸で作りだす
ビル群を

ぼくの靴の裏には
青い引っ掻き跡が
残り
手の桟橋から
鳥の群れが出入りし
腐蝕画が黒く成っていく

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(猫(1997.11.11))次頁(並木(1997.10.28))

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