猫(1997.11.11)

猫(1997.11.11)


猫は夜にすばやく身を投げる
売春婦のような事情もなく
刀身は
花びらをスパンコールにして散らす
フェンスでは
青い電気がしばらくジリジリと
残っている

夜の血よ
甘い血の溜まりを
猫の瞳孔は吸い取る
辺りには真っ白な夜景が広がり
虹色のとかげたちが岩間に潜むのを
闇の白の中に
猫は見ている

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(鯛焼き(1997.11.18))次頁(夕刻(1997.11.4))

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