骨ビル(1998.2.24)
鉄骨だけになった建物を
風が通過していく
ポリエチレンの切れ端が
錆びたボルトから
いくつもたなびいている
白い骨には
目が仮構する骨の人の念が
染みついているだろうか
その音楽は
人体ビルの骨に
それは君が見る壁面の染みだ
と鳴っている
だから色素は
僕の知らない水の流れに
消えかかる灯篭の
またたきであり
骨ビルにもびゅーびゅー風が通る
でも溶岩は
細かく目に沈殿し
像を結ぼうとする
黙す唇の
ささくれに付いた絵の具で描かれたと思われる
伝言を遂げることが
骨を少しは白くする
霧の中で
骨ビルは常に風にさらされて
一面のビル群が
目覚めてくる
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