ガラスの帽子(1998.3.3)

ガラスの帽子(1998.3.3)


診断がくだされる朝
誰でもガラスの裏にびっしりと
蛾の卵があったり
エノキダケが
衿のあたりに生えていたりするのを見る

しょっているものは
マクワウリでもなく
のどかな物売りが
午後とおり過ぎるのでもなく

1メートル四方のガラスを頭に載せて
歩く男
ほど遠く
わっとびっくりさせたくなる
その男も
ガラスを頭に載せている

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(女もののパジャマ(1998.3.10))次頁(骨ビル(1998.2.24))

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