銀色の迷走(1998.4.14)

銀色の迷走(1998.4.14)


ある飛行機が
制御不能になったという
計器盤は全部狂ったという
パイロットは
あまりおかしいので
腹を抱えて笑っていたという

町角から町角へ
それぞれ獣たちが
奇態な風習により
ぼこぼこ皮膚をたたいている
希塩酸や
血の霧が
ぼうぼう街に満ちる

お眠りなさい
虹の風よ
君の好きな人があつらえた
ラベンダーオイルの匂いのする
枕に虹を拡散させましょう

巨大な耳を持つ
僕たちの街から
それぞれの角を曲がると
また優しい夏や冬の実が
ぶら下がっているかもしれない

すべての街の窓ガラスは
銀の飛行体が躍っているのを
映していたという

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(豊作(1998.4.21))次頁(回転する帽子(1998.4.7))

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