秒針(1998.5.12)

秒針(1998.5.12)


薄い油紙のような色の皮膜は
食われている
中にいるのは僕であるが
でも
皮膜も僕の蛋白でできている
つまり皮状ではあるが
弾力のない包む目的も
その質には感じられないもので
さくさくと
微細に皮膜は砕けている
僕は中にもいるが
皮膜には
衣服が溶ける飴のように流れて見え
はるかに生体が
青に洗われる
秒針が
複数になっていく

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(蝸牛と螺旋(1998.5.19))次頁(夜中の手つき(1998.5.5))

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