蝸牛と螺旋(1998.5.19)

蝸牛と螺旋(1998.5.19)


小枝のなかに虹を見る
ガラスの枝にいる蝸牛は
5ミリの虹が懸かるのを
這いながら
色が分かれるのを
のんきに見る

殻の中の有機体の渦は
ねじれて
洞に満ち
暗くなったり明るくなったりして
耳鳴りがしーんと
数秒つづき

空にいる
ガラスの蝸牛は
つのを雲のあいだに隠し
午前の灰が
指に
粉々に眠りはじめる

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(雑踏(1998.5.28))次頁(秒針(1998.5.12))

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