いちごジャムはまぼろし(1998.12.1)

いちごジャムはまぼろし(1998.12.1)


開ける瓶
いちごジャムは血の凝り
ナイフを差し込んで
甘い凝りを塗るために

ところで
開ける蓋はない
手で
蓋ぐらいの輪を作り
反時計回りにまわす振りをする

砂の半分埋まる瓶を
拾ってきて
いちごジャム遊びをする

だから
ジャムはない
カチカチとナイフが瓶の内面に触れる音がする
いちごジャムはまぼろし

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(ない蓋を閉める振りをする(1998.12.8))次頁(蓋がない(1998.11.24))

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