蓋がない(1998.11.24)

蓋がない(1998.11.24)


テーブルの
からのジャムの瓶の蓋を
探している
手のひらで包み込むくらいの
空に境界を作るために

蓋は僕が開ける
空気は耳から抜けるような
すーっと音にならない音で
瓶から移動する
たぶん
瓶には僕が目を凝らす
45度前方のテーブルまでの空と
同じものを宿す

蓋がない
蓋が夢になる
そう
蓋が夢なんて
蓋が

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(いちごジャムはまぼろし(1998.12.1))次頁(瓶の底(1998.11.17))

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