溶解する冬(1998.12.29)

溶解する冬(1998.12.29)


木の骨が
散らばっている
耳が凍るような夜
手のひらに載せた葉が
寒さの結晶のようなのは
靴が野道を行く
その意思を表わす
葉が変哲もない
茶色の残骸であるとき
靴は凝っている

じっと見ていると
葉の上に街が展開される
それは放浪者が見る
幻視に似ていなくもない
溶解する冬は
それは
まぼろしと
播種に似ている

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(周りを焼いてみる(1999.1.5))次頁(露岩(1998.12.22))

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