虚空(1999.11.30)

虚空(1999.11.30)


古い手紙やハガキを
破りながら見ていると
とても誠実な文面の文章が
綴られているものがある
そんなにまじめに
返信してくれて
なんだか後ろめたくなるのだが
でもそのときには
きっとぼくもちゃんと書いたのだろう
でも紙は古くて
汚れていて

関係がね
ああ 関係がね

衛星から降ってくる文字みたい

相対するって
すっと
野菜みたいに食べ
ぼくも虚空で
無為な
人力車を引いている

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(風のルビ(1999.12.7))次頁(金網のある道(1999.11.23))

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