夢の陶器(2000.10.10)

夢の陶器(2000.10.10)


家並みが見えるね

キリコは言う
さくさくした
パウンドケーキのような

雲にはトゲの稲妻が光り
皿に載る花火付きのケーキは
二段重ねで足でつぶせる紙みたい

ところで
あんたって
私んちを通りすぎて
すぐに私のことは忘れて

ひとりで水と遊んでいるでしょう

亀甲の一区切りにあんたは
たたずんで
もやもやしてるのかな

お話を吸うスポンジケーキ
それで
そこから小さい小さい鳥が飛ぶ
でも
それはやっぱり霧みたいに見えるのね

キリコは五百円玉を
出窓の貯金箱に落とす

ざらついた夢の陶器

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(車両の視界(2000.10.17))次頁(路地が夜になっていく(2000.10.3))

Shimirin's HomePageUrokocitySiteMap