水音(2000.11.28)

水音(2000.11.28)


水芹がなびく水路沿いに
歩を進めていく

あのとき
軽やかなものがふと沈み
木々が池の前景にあって
そして羽がなでていく

戦があって
忘れさられる

隣村のポチはおとなしい犬で
週に一度しか出会わなかったけれど
ぼくの顔を覚えていて尻尾をふった
あのポチにはもう会えない

そのように
軽やかなものが
戦に壊れ
いつしか顔を羽はなでる

水芹
なびく水芹
歩を進めるにしたがい
音が湧いてくる

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(蓴菜(2000.12.5))次頁(C棟3号(2000.11.21))

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