UNDERGROUND RESIDENTS
Nonsense Poems in Alice
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ALICE IN WONDERLAND
Director : Harry Harris / Alice : Natalie Gregory
ハリー・ハリス監督『不思議の国のアリス』/ アリス:ナタリー・グレゴリー
 
ハリー・ハリス監督のTV映画『アリス・イン・ワンダーランド』は、続編の『アリス・スルー・ザ・ルッキング・グラス』と二部構成で1985年に放映されました。大ヒットTVシリーズ『宇宙家族ロビンソン』や映画『ポセイドン・アドベンチャー』『タワーリング・インフェルノ』などのSF、パニック映画の大物アーウィン・アレンが製作、脚本に児童文学作家ポール・ジンデル、そして音楽はスティーヴ・アレンという有名どころをスタッフに迎え、キャストもレッド・ボタンズ、テリー・サヴァラスら大物俳優陣から音楽界のスター、サミー・デイヴィス・ジュニアやリンゴ・スターまでもと豪華な顔ぶれ。

ストーリーは、アリス(ナタリー・グレゴリー)が白うさぎ(レッド・ボタンズ)の後を追って穴に落ち、不思議の国の住人たちと出逢い…と、ほぼ原作どおりに進行していきます。原作ファンも違和感なく楽しめると思います。
ただし、不思議の国の登場人物たちのノンセンスな振る舞いとは反対に、7歳半であるアリスの「大人への興味」という大きな意味がテーマとして全体を覆っています。冒頭で、アリスは「私もお茶会に出席したい」と言い、母親は「大人になったらね」と答えます。絵のない本を読んでいる姉に、あんたはまだ子供なんだと言われたアリスは一人前の大人の証拠とは何かとたずねると、姉の答えは、もっとずっと背が高くなくっちゃ、あんたみたいに泣いてばかりじゃないし、そう、それにお母さんがお茶会に呼んでくれることね、と。ここで、アリスがこれから体験する不思議の国への伏線が張られているのです。背が高くなったり縮んだり、涙の海で溺れたり、きちがいティーパーティに遭遇するアリス。白うさぎを追って飛び込んだ不思議の国へ通じるトンネルの雷鳴とどろく様は、まるで大人への試練を案じているかのようです。
アリスの出会う住人たちの歌の中にもそれは現されています。公爵夫人(マーシャ・レイ)と料理女(イモジーン・コカ)は憎しみや不信を、チェシャ猫(テリー・サヴァラス)は後戻りはできないんだということを、ハートの女王(ジェイン・メドウズ)は権力を、それぞれが歌います。もちろん楽しい歌もあって、酸いも甘いも人生よってことで。ちょっとした説教ソングといえるかもしれません。 

歌に触れたついでに。イモムシのサミーがウィリアム父さんに扮して歌う歌がかっこいいのです。それに比べてモック・タートルのリンゴが「ナーンセンス! ナーンセンス!」と歌う姿はなんだかアホっぽいぞ(笑)。「アリス」とビートルズの関係で言えばやはりジョン・レノンは外せませんが、ここにリンゴが登場してくるということでこの作品はかなりわたしの気を引いていました。ところが、ただただ笑っちゃうばかりで。仮面ライダーのデストロン一味でもおかしくないような格好のせいかもしれないけどねぇ。ある意味、アタリかも(笑)。ビートルズ・ファンは一見の価値アリですよー。

この前編『アリス・イン・ワンダーランド』では、アリスが自分の家を見つけて大喜びで走り出すシーンで終わります。が、なんと、元の世界へ戻ってきた〜と思ったら…、恐るべき衝撃が!(笑)
後編『アリス・スルー・ザ・ルッキング・グラス』に続きます。
2002.04.10 
  DVD VHS (輸入版)
発売元 日本未発売 WAENER HOME VIDEO
品 番   35789
FILM 1985年 94分 アメリカ
監 督 Harry Harris
製 作 Irwin Allen
脚 本 Paul Zindel
音 楽 Steve Allen / Morton Stevens
出 演 Natalie Gregory / Red Buttons / Sid Caesar / Sammy Davis Jr. / Sheila Allen / Ringo Starr / Scott Baio / Telly Savalas
ALICE IN WONDERLAND
Photo:輸入版VHS
 
 
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