コレクションを中心に構成された展覧会だが、5人の作家の最新作も合わせて展示されてている。 比較的単純抽象的な画面で光、色や影そのものを撮ったかのような写真を集めていた。 このような写真は好みということもあり、楽しめた展覧会だった。 そのうち印象に残った作家について個別にコメント。
コレクションの中で最も印象に残ったのは、 山崎 博 の『Heliography』 シリーズ。 画面中央に置かれた水平線上の太陽の軌跡を捉えたモノクロ写真や、 太陽の軌跡を画面中央に水平に捉えたモノクロ写真は、 杉本 博司 の 『海景』 シリーズにもかなり似た作品。 もちろんミニマルさなどで違う点も多いものの、 その前にもこういう写真を撮っていた人がいたのかと、とても興味深かった。
新作の中で印象に残ったのは、 小野 祐次。 いわゆる西洋の名画の写真なのだが、 現在のような照明が無かった時代の暗がりを再現したという光で撮られているため、 絵がほとんど見えず、絵の具のテクスチャが浮かびあがっている。 この普段は見落としている光を捉えているような所が面白かった。 また、連作になっているところは、杉本 博司 『劇場』 シリーズを連想されられた。