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談話室 / Conversation Room

TFJ's Sidewalk Cafe 内検索 (Google)
[3658] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 22 20:22:01 2018

この土曜も猛烈な暑さになりましたが、そんな中、昼過ぎに東池袋へ。この舞台を観てきました。

あうるすぽっと
2018/7/21, 14:00-15:30.
Idée originale et écriture du spectacle: Vincent Dubé; Direction artistique et mise en scène : Vincent Dubé
Interprètes: Yohann Trépanier, Raphaël Dubé, Maxim Laurin, Ugo Dario; Olivier Forest (musicien).
Compositeur: Frédéric Lebrasseur.
Crée: May 2015.

Machine de Cirque は、カナダ・ケベック州ケベック・シティを拠点に2013年に設立されたコンテンポラリーサーカス・カンパニー。 まだレパートリーは2作品だけのようだが、カンパニー名ともなっている最初の作品で来日した。 コンテンポラリーダンス作品に多く観られる抽象的でコンセプチャルな作品でもなく、 象徴的な演出で大きなストーリーを浮かび上がらせる程でもなく、 比較的素朴に技を繋いで行くような演出だったけれども、 ミュージシャンも技に絡みつつ、アクロバティックなパフォーマンスも楽しい舞台でした。

スチールパイプで三段の足場を組んで、両翼にチャイニーズポールとなる柱を二本組立てた装置を使ってのパフォーマンス。 出演は男性ばかりの4人ということで、技は力強くコミカルなものが中心。 アクロバットにトラペーズとチャイニーズポールの組み合わせや ティーターボード (teeterboard) だけでなく、 ジャグリング、一輪車などの技も組み込んでいました。 女性の観客を舞台に上げての好色なキャラクターによるコミカルなマイム劇や、 素っ裸になってのタオルを使ったジャグリングなど、おバカな演技も交えて、笑いを取っていました。 大道芸フェスティバルの中の特別プログラム等に組み込むと受けそう、と思ってしまいました。 アーティなコンテンポラリーサーカスも好きですが、こういうサーカスも楽しいものです。

音楽は、アコースティックなドラムセットと電子楽器も組み込んだパーカッションのセットを使い分けつつ、パーカッシヴな生演奏。 それも、ミュージシャンに脇での伴奏に徹させるのではなく、セットを可動式にしてパフォーマンスに巻き込み、 ミュージシャンも、セットに留まらず、足場自体を打楽器にしたり、ミュージカル・ホースを使ったり、 フィナーレのティーターボードの場面にはエレクトリックなカヴァキーニョかウクレレを弾い歩いたりもしました。 やはり、サーカスの音楽は生演奏の方が、パフォーマンスも盛り上がります。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3657] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Thu Jul 19 23:41:51 2018

先の土曜の午後は、炎天下の中、早稲田大学戸山キャンパス33号館へ。 4月から少し空きましたが、今回で第50回となる 桑野塾に顔を出してきました。 今回のテーマは「シャガール!クレズマー!チンドン!」で2件の報告がありました。

1件目は武隈 喜一「シャガールの聴いた音――クレズマーとイディッシュ演劇」。 第一次世界大戦によってパリに戻れなくなった Marc Chagall が、革命後の1922年にパリに戻るまでの間、 活動に関わったモスクワの国立ユダヤ人劇場 ГОСЕТ (Государственный Еврейский Театр) [GOSET] や その演出家 Алексей Грановский [Alexis Granowsky] の話でした。 ユダヤ人劇場といっても宗教色はさほど感じられず、むしろ Мейерхольд の Биомеханика や ФЭКС の Эксцентризм と共通する点の多い前衛的な作風だったとのこと。 しかし、音楽監督 Лев Пульвер [Lev Pulver] が ГОСЕТ での演劇作品のために作った音楽はクレズマーだったとのこと。 ГОСЕТ で録音された Pulver の音楽の録音は残っているようで、 CD にもなっているようです。 また、演出家 Грановский は映画監督としても活動していて、ГОСЕТ の俳優も多く出演しているサイレント映画 Еврейское счастье [Jewish Luck] (1925) は、 YouTube で全編観ることができます。

後半は、大熊 ワタル・こぐれ みわぞう「チンドン・クレズマー 交流見聞録」。 ここ数年に交流を深めた海外のクレツマーのミュージシャンや海外のフェスティバルの話でした。 カナダの大規模なサマーキャンプ KlezKanada や トロントの Ashkenaz Festival の話など。 しかし、最も興味を惹かれたのは、Brave Old World の Alan Bern によるプロジェクト Semer Ensemble。 ベルリンで Hebräische Buchhandlung [Hebrew Bookstore] を経営していた Hirsch Lewin がナチスが政権を取る直前の1932年に設立したレーベル Semer (1938年に突撃隊によって襲撃され活動を終えています) が残した戦間期ベルリンのユダヤ人の音楽を再演するプロジェクトです。 少し聴いた限りでは、クレズマーというより戦間期のカバレットソングに近く聴こえました。 2016年には Piranha からCDもリリースされていたのですが、完全に見落としていました。 というか、今年の2月に Alan Bern が来日していたことにも気付いていませんでした。うーむ。

今回は久々に久々に懇親会まで参加できて、とても楽しめました。 最近は趣味生活も低調になってしまっていますが、このような会で色々話を聞くと、 もっと色々観たり聴いたりしたいという好奇心が刺激されて良いなあと、つくづく。

[3656] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jul 16 22:26:12 2018

先の水曜11日は仕事で都心に出ていたので、仕事帰りに京橋へ。 国立映画アーカイブで、 開館記念の企画の1つとして、また、日本におけるロシア年2018の一環として 『ロシア・ソビエト映画祭』が始まりました。 ということで、まずはこの映画を観てきました。

Матильда [Mathilda]
『マチルダ 禁断の恋』
2017 / 108min. / color.
Фильм Алексея Учителя [A film of Alexei Uchitel]
Сценарий: Александр Александров [written by Alexander Aleksandrov]; Оператор: Юрий Клименко [director of photography: Yuriy Klimenko]; Хореограф: Алексей Мирошниченко [ballet choreographer: Alexey Miroshnichenko]
Музыкальный Руководитель: Валерий Гергиев [music producer: Valery Gergiev]; Композитор: Марко Белтрами [music by Marco Beltrami]
Michalina Olszańska (Матильда Кшесинская [Mathilde Kschessinska]), Lars Eidinger (Николай Александрович [Nicholas Alexandrovich of Russia]), Данила Козловский [Danila Kozlovskiy] (Воронцов [Vorontzov]), Григорий Добрыгин [Grigoriy Dobrigin] (Андрей Владимирович [Andrey Vladimirovich]), Luise Wolfram (Алиса Гессен-Дармштадтская [Alix von Hessen-Darmstadt]), Thomas Ostermeier (Фишель [Dr. Fischel]), etc
Rock Films, ООО «Матильда», Фонда Кино, Мариинский Театр [Kinostar presents Rock Films, Mathilde ltd. and Mariinsky Theatre with the support of Russian Cinema Fund present]
予告編 [YouTube]

去年公開されたばかり新作、19世紀末のロシア皇室を舞台とした歴史メロドラマ映画です。 自伝本『ペテルブルグのバレリーナ クシェシンスカヤの回想録』(平凡社, 2012; Souvenirs de la Kschessinska, 1960) で知られる サンクト・ペテルブルグのマリインスキー劇場 (Мариинский Театр) のバレリーナ マチルダ・クシェシンスカ (Mathilde Kschessinska) (ポーランド人で「クシェンスカヤ」はロシア名のカタカナ表記) と、 後にロシア皇帝ニコライ二世と皇太子ニコライ (Николай Александрович) の、 ニコライの皇帝即位とヘッセン=ダルムシュタット公女アリックス (Alix von Hessen-Darmstadt) との結婚によって終わる恋を描いています。 自伝本は未読でメロドラマチックな物語にどれだけ脚色が入っているのか判断しかねますが、 舞台もエカテリーナ宮殿 (Екатерининский дворец) やマリインスキー劇場ということで、実にゴージャスなメロドラマでした。 自分の好みとは少々異なる映画とも思いましたが、 まさに「市民に夢と感動を与える視覚芸術」としてのオペラ・バレエの継承者としての映画 [関連メモ] と納得することしきりでした。

ニコライと愛人マチルダ、婚約者アリックスの三角関係だけでなく、 ニコライとの仲を裂こうとする皇后 (ニコライの母)、 さらにマチルダを巡る男たち、マチルダへ一方的に狂信的に恋する下士官ヴォロンツォフ (Воронцов)、 マチルダに献身的に尽くすニコライの従弟アンドレイ (Андрей Владимирович) (後に愛人関係となり、ロシア革命時に亡命したパリで結婚) など、 重なり合う三角関係や身分違いの関係が物語を駆動していきます。 女性側はマチルダとアリックスの直接対決の場面などメロドラマチックな見所がありましたが、 男性側の人物描写が薄かったのが物足りませんでした。 ヴォロンツォフは内面を描かない事でグロテスクな人物に仕立ていましたが、 階級の違いに対するルサンチマンもっと表に出した方が面白くなったのでは。 ロシアでの公開時にロシア正教によって聖列されている皇帝の名誉を傷つける作品として議論を呼んだいう評判を耳にしていましたが、 さほどスキャンダラスではなく、かなりオーソドックスなメロドラマ映画に感じられました。

実際のエカテリーナ宮殿やマリインスキー劇場でロケをし、 マリインスキー劇場が制作に協力したことも話題の映画で、マリインスキー劇場バレエ団による舞台の再現なども確かに見所とは思います。 観るまで気付いていなかったのですが、2017年に来日した Малый драматический театр (ロシア国立サンクトペテルブルグ マールイ・ドラマ劇場) [鑑賞メモ] で主演していた Данила Козловский が、ヴォロンツォフ役を怪演していました。 主役ニコライを演じた Lars Eidinger は Schaubühne Berlin (ベルリン・シャウビューネ劇場) [鑑賞メモ] の俳優で 2005年来日の際に Nora に Dr. Rank 役で出演していました [鑑賞メモ]。 特に狙って観に行ったわけではないのですが、意外なことに、舞台で生で観たことがある俳優が主要な役で出ていた映画だったんだな、と。 Schaubühne に関しては、アリックス役の Luise Wolfram も元劇団付き俳優で、 アリックス付きの医師フィッシェル役は芸術監督 Thomas Ostermeier が演じているという。 どうやら、Schaubühne も映画制作にかなり協力していたようです。 そんな所も観どころの映画かもしれません。

ちなみに、今年の12月に日本公開が決まったようです [CINRA.NETの関連記事]。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

しかし、今年は『日本におけるロシア年2018』なのですが、 公式サイトらしきサイトにも情報がほとんど無く、 どこで何をやっているのか、ほとんど掴めません。どうしたものかと。

[3655] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 8 20:55:34 2018

先週末の土曜の話ですが、昼に池袋西口 東京芸術劇場で TACT/FESTIVAL 2018 を観た後、埼京線で与野本町へ。 この舞台を観てきました。

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2018/06/30, 15:00-16:40.
Mise en scène et chorégraphie: Philippe Decouflé; Assitante chorégraphique: Alexandra Naudet
Musiques originales: Pierre Le Bourgeois - Peter Corser, Raphael Cruz et Violette Wanty (Duo), Cengiz Djengo Hartlap.
Avec: Flavien Bernezet, Alexandre Castres, Meritxell Checa Esteban, Julien Ferranti, Suzanne Soler, Violette Wanty.
Eclairages et régie générale: Begoña Garcia Navas; Conception vidéo et réalisation: Olivier Simola et Laurent Radanovic; Scénographie: Alban Ho Van, assisté d'Ariane Bromberger; Création costumes: Jean Malo, Laurence Chalou (Vivaldis), Assistés de Charlotte Coffinet et Peggy Housset.
1. Duo 『デュオ』 2. Le Trou [The Hole] 『穴』 3. Vivaldis 『ヴィヴァルディ』 4. Évolution [Evolution] 『進化』 R. 5. Voyage au Japon [A Journey to Japan] 『日本への旅』
Première: La Coursive - Scène Nationale de la Rochelle, 16 Mai 2017

最近は2年おき程度の頻度で来日している Cie DCA - Philippe Decouflé [鑑賞メモ]。 今回の来日での演目は新作短編集ということで、作風の異なる5編とインタリュード的なエアリアルの演技1つという構成。 もともと作風にバラエティショー的ながあるとはえいえ、全体としては少々見応えに欠けたが、 Decouflé のアイデアの引出の多様さを楽しむことができた。

最初の Duo は、 前回来日の Contact ではポップアイドルのように歌って踊った Violette Wanty と、 やはりカウンターテナーで歌った Julien Ferranti の2人が、 楽器を演奏しつつ、歌いつつ、踊るという作品。 (正確には、flute を差し出したり、upright piano を押し動かすもう一人の3人構成。) Julien は upright piano を弾きつつ、Violette は flute を弾きつつ。 アクロバティックなポジションで flute を吹くという技も見せつつ、 カバレット風の落ち着いた大人な雰囲気でまとめていたのも良かった。 サーカスでは、パフォーマー自ら歌い演奏することが少なくないけれども、 コンテンポラリーダンスでダンスと演奏と歌をここまで一体化させるというのも、さすが Decouflé らしい。 最近、歌手にダンスを踊らせる現代演出のオペラを続けて観たばかりだが [鑑賞メモ]、 コンテンポラリー・ダンスではダンサーにも歌や楽器演奏のスキルを求められることも増えていくのかもしれない。

続く Le Trou は、 Duo の二人が床に開いた穴から顔や手足を出しての、少しコミカルなパフォーマンス。 後半になると Decouflé が穴からせり上がるようにして登場。 スリット穴だらけのスーツから、まるで手品をするかのように手を出し入れする動きを見せた。

短編3作目は Vivaldis は、タイトル通り バロック後期18世紀初頭のヴェネチアの作曲家 Antonio Vivaldi を使ったダンス。 時に Découflé も加わったが、6人のダンサーが、 カラフルなニットのレオタードもしくはジャンプスーツのような衣装と飾りのある目出し帽というスタイルながら、 時にバレエスタジオにあるようなバーを用意し、バレエ的な動きを多用したダンスを繰り広げた。 衣装だけでなく、ループ状に動きを繋ぐかのようなコミカルな動きを見せたり、逆光でシルエットで見せたり、と Decouflé らしいセンスも感じたが、 クラシックの曲を使いバレエのイデオムを多用するという意外な面を見たようにも感じた。

短編4作目は、Évolution は、6人のダンサーによるライヴでビデオ撮影投影を駆使したパフォーマンス。 下着のような衣装で、複数設置されたカメラの前で踊り、映像投影とダンスを組み合わせて行く。 舞台背景を上下二段に割って、下は映像を投影せずにダンサーの背景とし、上段に平行移動するように映像を投影するというのが、基本パターン。 そこに live electronics を駆使した即興ライヴでディレイをかけたりループさせるかのように、過去の動きをスチルで固定したり。 違う場所での2人のダンスを映像上ではまるで組み合って踊っているように見せたり、と、精度の高い動きが出来ないと難しいトリッキーなこともして見せていた。

この後はインターリュード的に差し込まれた R とだけ示された Suzanne Soler によるエアリアルパフォーマンス。 低い位置で大きくスイングしながら、フロアの男性ダンサーと半ば組むかのように踊るというもの。 少し暗めで色を抑えた演出で、舞台全面に半透明のスクリーンを置いて、ライヴの映像投影とも組み合わせて幻想的。 やはり、Decouflé の作品ではエアリアルは不可欠だな、と。

最後は、Voyage au Japon。 度々来日している Decouflé や Cie DCA のメンバーたちの日本の印象を、 客観的にではなくあくまで主観的な印象のままに、セットや小道具も多めに、少々コミカルに作品化した作品。 音楽に bossa nova が多用されたりと、ジャポニズムというより、私的な印象を重視しているように感じられた。 この作品では Decouflé も全面的に参加して、白い襦袢に赤いヒールと和傘で少々セクシーな女装の後ろ姿も見せた。 全体的にキッチュなセンスだったが、舞台全面のスクリーンへの投影も合わせて、早足で行き交う雑踏の人々を描いば場面など、スタイリッシュに見せるときもあった。

作風が様々で一概に比べがたいが、最も気に入ったのは最初の Duo。 意外にクラシカルな面を見せた Vivaldis も良かった。

終演後に Decouflé のトークがあったのだが、演出意図を訊くような質問ははぐらかしがち。 しかし、Vivaldis はオーソドックスなダンスを好んだ母に向けられた作品で、衣装デザインも母の部屋のイメージから来ていることなど、 いい話も聞くことができた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

今週末は土曜の午後に恵比寿へ。 そろそろ、『内藤正敏 異界出現』 が終わってしまうので、東京都写真美術館へ。 年間パスポートを持っているので、 『MOTコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ』『世界報道写真展2018』 と、開催中の展覧会を一通り。 今回はこれとどれもピンと来ませんでした。うむ。ま、こういうこともあるでしょうか。

晩は行きつけのジャズ喫茶、 渋谷メアリージェーンガトー・リブレ (田村 夏樹 (trumpet), 藤井 郷子 (accordion), 金子 泰子 (trombone)) のライヴ。 今回は食事会付きということで、1時間程のライブの後は、常連客を中心としたパーティという感に。 淡々というか飄々とした雰囲気のライブも含め、アットホームな雰囲気での会を楽しみました。 こういう会に「鑑賞メモ」を残すのは無粋なので、しません。

[3654] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 1 23:52:19 2018

東京芸術劇場の地階ロワー広場で『WONDER WATER』を観た後は2階へ移動。続いてこの公演を観てきました。

東京芸術劇場 プレイハウス
2018/06/30, 12:00-13:40.
Mise en scène et chorégraphie: Blanca Li.
Musique: Tao Gutierrez; Scénographie, dramaturgie: Pierre Attrait; Vidéo: Charles Carcopino; Lumières: Cathy Olive; Costumes: Laurent Mercier.
Avec les danseurs: Yacnoy Abreu Alfonso, Peter Agardi, Rémi Bénard, Iris Florentiny Julien Gaillac Joseph Gebrael Yann Hervé Aurore Indaburu Alexandra Jézouin Pauline Journé Margalida Riera Roig Gaël Rougegrez Yui Sugano Victor Virnot; Percussions, chant: Bachir Sanogo.
Production et Diffusion: Chaillot - Théâtre National de la Danse.
Création à Chaillot en septembre 2017 avec 14 danseurs et un musicien.

スペイン出身で現在はフランス・パリを拠点に活動する振付家・映像作家 Blanca Li の公演が TACT/FESTIVAL 2018 のプログラムの一つとして上演された。 Blanca Li に関する予備知識はほとんど無かったが、 Chaillot のプロダクションということで観て観た。 タイトルは夏至もしくは冬至を意味する単語。四季というか火、気、水、土を物語ではなく抽象的な映像とダンスで表現する抽象ダンス作品。 映像も火や雲、波などをテクスチャにしたほとんど抽象的なもので、下着に近い衣裳ということもあって、特定の地域性は強調していなかった。 しかし、kora や djembe、そして griot 風の歌を使った音楽、 そして、最後の「土」の場面でダンサーたちがひょうたんボウルを頭の上に乗せて歩く姿もあって、 西アフリカのサヘルのイメージを強く想起させられた。

舞台美術はシンプルでミニマリスティック。 舞台奥にせり上がったスロープがあり、波打たせた白い布が上下して、時に雲のように頭上を覆い、時に床に広がる。 抽象的な映像を背景や舞台に大写しすると立体感が損なわれがちだが、 背景だけでなく白布もスクリーンに使うことで、テクスチャのような映像の立体感が強調されるよう。

テクスチャ的な映像に少々 post-classical な electronica な音楽というのは少々ありがちかと思ったけれども、 それだけでなく、ダンサーの掛け声やボディパーカッション、そして、ミュージシャンによる楽器の生演奏や生の歌を交えていた。 テクスチャのような映像に負けないバレエ的というより体操的にすら感じる力強い動きのダンスの存在感もあって、 スタイリッシュながら身体的な生々しさも感じる舞台だった。

四つの場面のうち最も良かったのは、ポスターにもなっていた「気」の場面。 送風機による強風の中、白布をたなびかせつつ踊る様は、時に Loie Fuller へのオマージュを感じさせつつ (特に最初の女性ダンサーのソロ)、力強く美しかった。 その一方で、5, 6人のダンサーが近寄って、息で吸い寄せたり吹き放したりするような動きを組み合わせ行く場面も、ユーモラスで気に入った。

Campagnie Blanca Le は 明和電機 [Maywa Denki] とコラボレーションした Robot (2013) という作品を作っている。次は是非これを上演して欲しい。

終演後、劇場ロビーで、観客参加型のイベントがありました。 といっても、Blanca Li 自らのインストラクションで、短いダンスを踊るというものですが。 参加してみたのですが、普段の運動不足の体では付いて行くのか難しく、途中脱落してしまいました。 最近、体力運動能力の衰えが著しく、これはいけないと反省することしきりでした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

土曜は、この後、与野本町へ移動して、さらにもう一本観たのですが、これについてはまた後ほど。

[3653] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 1 20:12:44 2018

東京芸術劇場でGW恒例の家族向けの演劇祭 TACT/FESTIVAL が、今年はこの週末へ移動。 というわけで、土曜は午前中には池袋西口へ。まずはこれを観ました。

東京芸術劇場ロワー広場
2018/6/30, 11:00-11:20.
衣裳: びびのこずえ; 音楽: 川瀬 浩介.
パフォーマー: ホワイトアスパラガス: 谷口 界, ハチロウ.
制作進行: ひびのこずえ事務所 湯本 真由美; 舞台監督: 守山 真利恵.

コスチュームアーティスト ひびのこずえ が 大道芸だけでなく舞台へも活動を広げているアクロバット (谷口 界) とジャグラー (ハチロウ) の2人組、ホワイトアスパラガス と 音楽の 川瀬 浩介とコラボレーションした作品。 2017年の奥能登国際芸術祭で初演した 作品 [YouTube] の再演です。 もっと舞台作品らしいものを予想していたのですが、大道芸ステージに近いロワー広場が会場ということもあって、客弄りもあり、大道芸的な雰囲気も。 去年の秋に大道芸ワールドカップin静岡でホワイトアスパラガスを観た時は [鑑賞メモ]、 演技間に隙があってだらっと緩い雰囲気に感じることもあったのですが、 ちゃんとした制作・演出と得たこともあってか、今回はそんなことは感じさせず。 しっかり演出した大道芸という感じで、これはこれで楽しめました。

海をテーマにした三部構成で、最初はダイバー。 水中の動きのマイムから、ボンベから出る泡をイメージしたかのようなバルーンを纏っての旋回するようなダンス。 続いてはクラゲで、チューブやバルーンで造形したクラゲを纏ってのリングのジャグリング。 流石に動きづらそうで、技を失敗することも少なからずでしたが、大道芸的な客とのやり取りでそこはフォロー。 最後は魚と網でアクロバティックなダンス。 イメージの流れを切らないようにするためか、大技を決めて見せるような場面は作っていませんでしたが、 大道芸気分で観ていると、もう少し技の見せ所があったらな、と。 造形の丸さ可愛さもあってか、ほのぼのとした雰囲気のパフォーマンスで、NHK Eテレの 幼児・子ども番組の雰囲気に近いものを感じました。

ひびのこずえ と 川瀬 浩介 は 森山 開次 とのコラボレーションが多く、 その一つ、『サーカス』 (2015年初演) に ホワイトアスパラガスの谷口が初演時から出演しているということも、このような作品が生まれた背景にあるのでしょうか。 『サーカス』は観ていないのですが、やっぱり観ておけばよかったかな、と。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

FACT/FESTIVAL 2018 の公演はもう一つ、 Compagnie Blanca Li: Solstice を観ていますが、 これについてはまた後ほど。

[3652] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Jun 26 23:48:53 2018

日曜はのんびり過ごしているのですが、夕方に自宅でこのストリーミングを観ました。

Filmed at the Liverpool Empire Theatre, Saturday 28 October 2017.
Direction and Choreography: Akram Khan; Visual and Costume Design: Tim Yip; Music: Vincenzo Lamagna after the original music of Adolphe Adam; Orchestration: Gavin Sutherland; Lighting Design: Mark Henderson; Dramaturgy: Ruth Little.
Cast: Tamara Rojo (Giselle), James Streeter (Albrecht), Jeffrey Cirio (Hilarion), Stina Quagebeur (Myrtha), Begoña Cao (Bathilde), Fabian Reimair (Landlord), etc
English National Ballet Philharmonic, Gavin Sutherland (music director), Matthew Scrivener (leader), Alexandros Koustas (solo viola / Cretan lyra).
URL: https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018089059SC000/.

コンテンポラリーダンスの文脈で活動するバングラディシュ系イギリス人の振付家 Akram Khan が English National Ballet の為に新たに振付たロマンチック・バレエ作品 Giselle。 評判が良くて気になっていたところ、 NHKプレミアムシアターでの放送がNHKオンデマンドに載ったので、観てみました。

移民の働く工場に舞台を置き換えたというのが話題でしたし、 飾り気無い殺伐した舞台美術はいかにも現代演出らしく好みでしたが、 このような時代設定を置き換える演出は現代演出のオペラにも良くあり、 むしろ、Patrice Chéreau 演出の Elektra [鑑賞メモ] を連想させられました。 それだけに、Bathlide や Landlord がブルジョワの経営者や投資家のような姿でなく、 むしろ18世紀の王侯貴族を思わせる衣装で出てきたのは、少々残念。 第二幕になると、舞台や時代を置き換えが活かされず、なんとも中途半端に感じられてしまいました。

カタックなどはほとんど感じさせず、ポワントを使いバレエのイデオムが強い踊りであるものの、 表現主義的というより説明的に感じる程、丁寧に物語や内面を描写するダンスでした。 第二幕の棒を使った演出などは好みでしたが、 説明的なダンスやピートを聴かせてドラマチックに盛り上げるような音楽にバシッと揃った群舞は、 コンテンポラリーダンスというよりエンタテインメントに近く感じらrてしまいました。 Desh でもわかりやすい演出をしていましたし [鑑賞メモ]、 最近はこういう作風なのでしょうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3651] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 24 20:43:32 2018

この週末土曜は雨模様。そんな中、横浜みなとみらいへ。会期末のこの展覧会へ飛び込んできました。

Nude - Art from the Tate collection
横浜美術館
2018/03/24-2018/06/24 (木休;5/7休,5/3開), 10:00-18:00 (5/11,6/8 -20:30).

イギリスの近現代美術のコレクションを所蔵し Tate Modern などの美術館を運営する外郭公共団体 Tate のコレクションに基づく「ヌード」をテーマにした美術展。 実際に通して観るとエロティシズムを感じるものは多くなく、むしろ、裸体表現を通して19世紀以降の近現代美術史を見せるような、見応えのある展覧会でした。 19世紀から20世紀にかけての西洋近現代美術史というと、MoMAGuggenheim が示すような、 19世紀後半のフランス印象派 (French Impressionists) に始まり、戦間期はフランスとニューヨークの前衛を経て、戦後はアメリカのモダニズムへというのがメインストリームですが、 さすが Tate ということでイギリスの作家の作品が多い構成。 もちろん、独自の展開を見せるというよりメインストリームへの目配せもあり同時代性を示すような構成でしたが、イギリスの作家はあまり馴染みが無いこともあり、新鮮に感じられました。

今回の展覧会の目玉作品 Auguste Rodin: “Le baiser [The kiss]” (1901-4) も興味深く観ましたが、 やはり、最も興味深く観たのは、戦間期モダニズムに焦点を当てた「3 モダン・ヌード The Modern Nude」。 観る機会のあまり無い Wyndham Lewis, David Bomberg や William Roberts などモダニズム運動 Vorticism 界隈の作品を観ることができました。 David Bomberg: “The Mud Bath” (1914) など抽象絵画でしたし、 Wyndham Lews: “Indian Dance” (1912) や William Roberts: “Athletes exercising in a gymnasium” (1920) にしても 裸体表現というより抽象化された身体表現に近いものがありましたが、造形的なアプローチが面白いです。

あと、現代的なコンセプチャルな写真作品を中心に構成された「8 儚き身体 Vulnerable Budy」のコーナーも好みでした。 Cindy Sherman のセルフポートレート [鑑賞メモ] や YBA (Young British Artists) の Tracey Emin [鑑賞メモ] のような有名な作家だけでなく、初見の作家も興味深かった。 やはり YBA 文脈の Fiona Banner の文字だけでヌードを記した “Split Nude” は YBAというよりむしろ Barbara Kruger や Jenny Holter といったNYのポストモダンに近いものを感じました。 また、Dineke Dijkstra の出産間も無い母子のポートレート (1994) は、被写体選択のセンスもありますが、タイポロジーを思わせる抑制された演出の写真が好みで、他の作品も観て観てみたくなりました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3650] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jun 18 23:24:38 2018

土曜の夕方は表参道から池袋西口へ移動。この舞台を観てきました。

『斜面』 SHA-MEN
東京芸術劇場シアターウエスト
2018/06/16, 17:00-18:25.
作・演出: 小野寺 修二.
美術: 土岐 研一
出演: 首藤 康之, 王下 貴司, 雫 境, 藤田 桃子, 小野寺 修二.
企画: サヤテイ, NAPPOS UNITED; 主催: NAPPOS UNITED, カンパニーデラシネラ.

マイムをバックグラウンドに持つ 小野寺 修二 (ex-水と油) とバレーダンサー 首藤 康之 とのコラボレーション。 5年前に観た『シレンシオ』 (東京芸術劇場, 2013) はさほどでは無かったが [鑑賞メモ]、 最近の 小野寺 修二 はとても楽しめているので [鑑賞メモ]、 今度はどうなるだろうという興味で足を運んでみた。 今回も明確な物語無く短いスケッチを連ねていくような作品だったが、 『シレンシオ』のような抽象的なテーマではなく、クラシカルな犯罪映画にありそうなイメージを繋ぎ合わせたよう。 それも、戦間期のノワール映画から1970年代の日本の刑事物の映画まで、時代は広めに撮られているように感じられた。

タイトルにあるように舞台3箇所に斜面が設けられ、斜面上での不安定な動きと犯罪映画のサスペンス感を繋ぐのかと期待したのだけど、 あまり斜面を活かせていないようにも感じられてしまった。 舞台上手の急な斜面は、そこを駆け上るような動きも多用していたし、小野寺が椅子を置いて座ろうとする場面など印象にも残った。 しかし、舞台奥にあった下手から上手へ下る斜面などは出入りのスロープという程度だったし、 舞台下手のテーブルを置かれていた小さな斜面など斜面であることを生かした演出は記憶に残らなかった。 今回は『シレンシオ』でのような女優枠が無く、身体能力の高い人たちによるパフォーマンスだっただけに、そこは残念だった。

首藤が手に色を変化させられるハンディのLED照明を持ち、自身の顔や体を照らしながら踊る場面も印象的だった。 しかし、『WITHOUT SIGNAL! 〔信号がない!〕』 (KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ, 2017) [鑑賞メモ] で観られたような電子ガジェット使いはその程度。 マイムらしくドアや椅子を動かしながらのパフォーマンスも多用されていたのだけど、 狭い舞台のせいもあるのか、時空間を変容させているのではなく、単に動かしているだけに見えてしまうことが多かった。 そういう所も少々物足りなく感じた。

全体としては『シレンシオ』よりも動きが面白く楽しめたように思うのだけど、 不完全燃焼したような気分になってしまった公演だった。少々期待のレベルを上げ過ぎただろうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3649] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 17 18:34:15 2018

土曜は午後に表参道へ。この展覧会を観てきました。

Going Away Closer –– Japan-Cuba Contemporary Art Exhibition
スパイラルガーデン
2018/06/06-2018/06/17 (会期中無休), 11:00-20:00.
岩崎 貴宏, 高嶺 格, 田代 一倫, 三瀬 夏之介, ミヤギ フトシ, 持田 敦子, 毛利 悠子, Glenda León, José Manuel Mesías, Reynier Leyva Novo, Leandro Feal.

今年の3月から4月にかけて、キューバ・ハバナの Centro de Arte Contemporáneo Wifredo Lam で開催した同タイトル (スペイン語でのタイトルは Yendo más cerca) の展覧会の日本展。 テーマは日本とキューバの近さ/遠さとのことだが、観ていてそれを意識させられることはあまりなく、コンセプチャルなインスタレーション中心の展示は、地域性を形式的に付与されたグローバルな現代美術だった。

最も印象に残ったのは 持田 敦子 の工事現場用のパイプや足場、脚立を使って、純粋階段を組んだインスタレーション『距離,その落下,その痕跡について』 (2018)。 川俣 正 など少々連想させられるマッシブで建築的なインスタレーションだけれども、純粋に階段にフォーカスしているよう。 モーターでゆっくり回転する金物や磁石を用いた動きや白熱電球の点滅の不規則さも味わい深い 毛利 悠子 のインスタレーション『白くまと感光紙』 (2018) も良かった。 キューバの作家の作品の印象が薄かったのは少々残念。

少々空虚な展示に感じたのは、スパイラルガーデンという商業施設の空間のせいもあるかもしれない。 例えば、アーツ千代田3331や (今は無き) BankART Studio NYK のようなスペースだったら、もっと味わい深く楽しめたのではないかと思うところもあった。

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[3648] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jun 11 22:16:40 2018

先週末土曜の晩は、行きつけのジャズ喫茶で呑んでから、日比谷へ。このバレエの上映を観てきました。

Royal Opera House, 27 March 2018.
上映: TOHOシネマズ日比谷, 2018-06-09.
Choreography: Wayne McGregor.
Music: Leonard Bernstein: Chichester Psalms.
Set designer: Edmund de Waal; Costume designer: Shirin Guild; Lighting designer: Lucy Carter.
Conductor: Koen Kessels; Concert Master: Sergey Levitin; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House.
Dancers: Federico Bonelli, William Bracewell, Harry Churches, Melissa Hamilton, Francesca Hayward, Chisato Katsura, Paul Kay, Sarah Lamb, Calvin Richardson, Joseph Sissens, Akane Takada
World premier.
Choreography: Liam Scarlett.
Music: Leonard Bernstein: Synphony No. 2 The Age of Anxiety
Designer: John Macfarlane; Lighting: Jennifer Tipton.
Conductor: Barry Wordsworth; Concert Master: Sergey Levitin; Piano: Robert Clark; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House.
Dancers: Sarah Lamb (Rosetta), Alexander Campbell (Emble), Bennet Gartside (Quant), Tristan Dyer (Malin), et al.
First performed 2014.
Choreography: Christopher Wheeldon.
Music: Leonard Bernstein: Serenade for Solo Violin, Strings, Harp and Percussion (after Plato's “Symposium”)
Set designer: Jean-Marc Puissant; Costume designer: Erdem Moralioglu; Lighting designer: Peter Mumford
Conductor: Koen Kessels; Violin soloist: Sergey Levitin; Concert Master: Melissa Carstairs; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House
Dancners: Matthew Ball, William Bracewell, Lauren Cuthbertson, Tierney Heap, Ryoichi Hirano, Mayara Magri, Yasmine Naghdi, Marcelino Sambé, Beatriz Stix-Brunell, et al.
World premier.

Royal Opera House Cinema Season 2017/18 唯一のコンテンポラリー・バレエのプログラムは、 20世紀後半のアメリカの作曲家/指揮者 Leonard Bernstein の100周年を祝うトリプルビル。 2014年に初演された The Age Of Anxiety 以外の2作は新作。 数少ないコンテンポラリー・バレエの上映ということで、観てきました。

最初の作品は Wayne McGregor。 使われた音楽 Chichester Psalm (1965) は、 チチェスター大聖堂 (Chichester Cathedoral) から委嘱された合唱曲ですが、 旧約聖書の詩篇 (Psalm) から撮られたヘブライ語の歌詞というユダヤ教色のある曲 (Bernstein はユダヤ系)。 しかし、McGregor が付けたタイトルは、日本語の「幽玄」から撮られたもの。 抽象的な美術と照明、ほとんどユニセックスな衣装によるダンスを付けることで、 宗教的なコーラスからの持つ幻想的で厳かな雰囲気を抽象化して表現しようとしていたのでしょうか。 ミニマリスティックな演出は好みですし、くるくる旋回しながら飛び去るようなエンディングも印象的でしたが、 「幽玄」だったかというと、ちょっと違うようにも感じました。 コーラス曲を使うことも McGregor の一つの試みだったのだろうと思いますが、 Woolf Works [鑑賞メモ] での Max Richter のような、 electronica 的な音楽の方がやはり合っているようなとも思ってしまいました。

続く Liam Scarlett の作品に使われた音楽は、 イギリスの詩人 W. H. Audin の詩 The Age Of Anxiety (1947) に着想した Synphony No. 2 (1965)。 演出は元となった詩に基づく物語バレエで、 第二次世界大戦開戦直後1940頃のニューヨークの酒場を舞台として、そこでの男女4人の出会いを通して、 開戦直後の「不安の時代」の雰囲気を描いていました。 男性3人のうち2人が休暇中の兵士という服装。 紅一点 Rosetta もワンピースにボレロにハイヒール、羽織るコートはトレンチというモダンな服装で、 必ずしもファッショナブルではないバーの雰囲気や、ジャズのイデオムも入る音楽もあって、 物語バレエというよりセリフの無いミュージカルを観ている気分になりました。 バーの店内から街中への場面転換、Rosetta の部屋へ移動して、再び街中へ、という場面展開も巧みで良かったです。

しかし、Yugen での衣装もユニセックスで抽象的な役から、 The Age of Anxiety でのセクシーな女性主役 Rosetta の役へ、 トリプルビル中の2作を続けて、それも両極端な主役を踊る Sarah Lamb は、凄いと感心。

最後の Christopher Wheeldon が使った音楽は、 ミュージカル音楽 West Side Story (1957) など多作だった1950年代の作品 Serenade (1954)。 Wheeldon といえば、 Alice's Adventures in Wonderland [鑑賞メモ] や The Winter's Tale [鑑賞メモ] のようなハイテクな物語バレエという印象が強いわけですが、今回は抽象バレエ。 けど、シリアスな抽象よりも、ユーモラスな第三楽章が好みでした。 スチルで見てたときは衣装も少々合わないように感じていましたが、動きの中で見るとさほど違和感無し。 しかし、バレエのイデオムが強い動きなので、 ミニマリスティックな衣装ではなく、いっそ古代ギリシャに寄せた演出でも良かったかもと思ってしまいました。

指揮者としての Berstein は別として、作曲家としては West Side Story のようなミュージカル音楽しか知らなかったので、 シリアス・ミュージックの作品を聴くことができたのも収穫。 ミュージカル音楽では無いとはいえ、戦後のトータル・セリエリズムなどの典型的な現代音楽とは異なる折衷的な作風は、やはり、バレエ音楽として使いやすいのかな、と。 Bernstein の音楽はもちろん、 McGregor がコーラス曲を使ったり、Wheeldon が抽象バレエ作品に取り組んだり、と、 振付家の意外な面をみることもできて、そういう点でも興味深く見ることができました。

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上映したTOHOシネマズ日比谷は、この3月末にオープンしたばかりの東京ミッドタウンの中の映画館。 それも、16.5×6.9mの巨大スクリーンTCXと音響DOLBY ATMOSのスクリーン5での上映ということで、 どんなものだろうという様子見もあって、日比谷にしたのでした。 実際のところ、座席数も395ある大箱でスクリーンまでの距離もあり、大きさを体感する程ではなく。 むしろ、ポツポツとしか埋まっていない席に、これは次は無いかもと心配になりました。 2330終映となると終電に間に合わないので、いつもの日本橋にした人も多かったのではないでしょうか。 自分の場合は終電には間に合うけど、体力的にせめて2230終映がありがたいなあ、と。

[3647] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 10 23:03:30 2018

先週、釧路へ行ったとき、この展覧会を観てきました。

『風に導かれ 僕は旅をする』
北海道立釧路芸術館
2018/04/14-2018/06/13 (月休;月祝開,翌火休), 9:30-17:00.

全く予備知識なく、移動中の待ち時間に入った美術館でちょうどやっていた展覧会は、 熱気球のパイロットにして、気球からの航空写真を得意とする写真家の写真展でしt。 気球を使った冒険的なフライトからの写真の非現実的に感じるほどの写真も美しかったですが、 バルーンフェスティバル (熱気球大会) で撮った、地上の人と目を合わせることが出来るほどの低さから撮った写真のシリーズが面白かったです。 絞りを開いて焦点深度を浅くして撮っているのか (動く気球から撮っているので、シャッター速度を早めにして、絞っているのではないかと思うのだが)、 のか、撮影後の処理なのか判断しか寝たけれども、 本城 直季 のようなミニチュア写真のような仕上がりに、気球を見上げたり、気にせずに仕事などをしている人が、人形のように写っているのが面白かった。 このようなジャンルの写真は、東京都写真美術館で取り上げられることのあまり無く、あまり接する機会が無いこともあるのか、新鮮に楽しめました。

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[3646] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 10 22:30:44 2018

話が前後しますが、先々週末の土曜5月26日は、夕方に新宿二丁目へ。 このショーケース・ライブを見てきました。

新宿 Pit Inn
2018/05/26 16:30-22:00.
Weekend Guitar Trio: Robert Jürjendal (electric guitar), Tõnis Leemets (electric guitar), Mart Soo (electric guitar).
Olli Hirvonen New Helsinki: Olli Hirvonen (electric guitar), Luke Marantz (piano), Marty Kenney (bass), Nathan ELlman-Bell (drums)
Peedu Kass Momentum: Peedu Kass (doublebass), Kristjan Randalu (piano), Toomas Rull (drums)
Utopianisti: Markus Pajakkala (saxophone, flute, percussion), Olli Helin (trumpet), Antero Mentu (guitar), Anssi Solismaa (keyboards), Tuomas Marttila (marimba, percussion), Jaakko Luoma (bass), Rolf Pilve (drums).

北欧フィンランドと湾を挟んだ隣国エストニアの二カ国の音楽を紹介するショーケース FINEST Sounds の日本でのイベントが 5月23日から27日にかけて東京各所で開催されていたのですが、その一つ、 Finest Jazz Music Night を観てきました。 フィンランドからは Olli Hirvonen New Helsinki と Utopianisti の2組、 エストニアからは Weekend Guitar Trio と Peedu Kass の2組が出演しました。

最初に登場したのは、今年で結成25周年となる Weekend Guitar Trio。 2000年前後に中東欧の音楽に探りを入れていた頃 [関連発言] に知り、出演した中では唯一CDを持っていたグループ。 ツアーを意識したのか、今回のコンサートでは、3人ともソリッドボディの electric guitar で、 Soo 以外の二人は Steinberger (もしくはその類似) のヘッドレスでボディも小型のものを使っていました。 guitar 3人の音をどう組み合わせているのかCDで聴いている限りではわからなかったのだが、 Tõnis Leemets が高音域で旋律を弾くことが多い lead guitar 的な役割、 Robert Jürjendal は低音部を着実な押さえるような bass 的な役割。 Mart Soo はエフェクトを使うことも多く、rhythm を刻みつつも、時に lead も取るよう。 そんな3人の軽快な演奏が楽しめました。

続いて、フィンランドの electric guitar 奏者 Olli Hirvonen 率いる4tet New Helsinki。 イギリスと北欧の新しい jazz の動きを紹介してきているレーベル Edition から リリースがあります。 guitar はエフェクトを使って音響的なテクスチャを作り出すような演奏というより細かく技巧を凝らして弾くまくるスタイル。 そのリズムもあってか、かなり jazz rock 的に感じられました。

三番手はエストニアの Peedu Kass Momentum。 今までノーチェックで、今回聴くのは初めて。 編成としては piano trio ですが、流麗に聞かせるだけでなく、 electronica 以降ならではの細かく強い反復を使った曲などもあり、 いかにもコンテンポラリーな演奏が楽しめました。

トリはフィンランドから、7人と編成が大きめのアンサンブル Utopianisti。 2010年から活動しているようですが、今回聴くのは初めて。 MCで Frank Zappa に言及していたように、かなり1970sっぽい Prog rock 色もある jazz rock。 メンバーは比較的若く、当時から活動していたというより、そのスタイルもオマージュ的な意味合いが強いのでしょうか。

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比較的余裕を持って会場入りしたので着席できましたが、立ち見も出る程の混雑。 この長丁場を立ち見は辛いかも。 というか、あまり良く無い席に5時間余りは、座っていても辛かったです。 途中休憩時間に席を立った時、腿がつってしまったり。うーむ。 もう少し広めで席も良いホールでやっても良かったんじゃないかな、と。

[3645] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 3 15:26:05 2018

この週末土曜は、昼過ぎには白金台へ。この展覧会を観てきました。

French Picture Books: Collection of Shigeru Kashima
東京都庭園美術館 新館・本館書庫
2018/03/21-06/12 (第2,4水曜日), 10:00-18:00 (3/23,24,30,31,4/6,7: 10:00-20:00).

『19世紀パリ時間旅行 -失われた街を求めて-』展 (練馬区立美術館, 2017) でも素晴らしいコレクションを楽しむことができた [鑑賞メモ] 鹿島茂コレクションに基づく展覧会。今回のテーマは19世紀から20世紀前半にかけてのフランス絵本。 Jean-Jacques Rousseau の「こどもの発見」に始まり戦間期までというという時代の対象範囲は 『こどもとファッション -小さい人たちへの眼差し-』 (東京都庭園美術館, 2016) [鑑賞メモ] と同じ。 同じ社会の変遷を今度は子供向けの本で辿るような興味深さがありました。

フランスでは絵本文化の発達のスタートが遅く19世後半に入ってからということで、1848年革命以前の資料は少なめ。 19世紀半ば (ファッションでいうとクリノリンの時代) の絵本は、風刺画などと同様、少々デフォルメがあるものの写実的な版画です。 第三共和制の時代 (Art Nouveau の時代) になると Maurice Boutet de Monvel のような、シンプルな線と色面の使い方もモダンな作家も登場します。 しかし、やっぱり最も好みだったのは、André Hellé や Nathalie Parain のような戦間期モダニズムのセンスを感じる作家でした。

André Hellé は第一次世界大戦前の19世紀末から活動していますが、戦間期 Art Deco で知られる作家。 1910年代以降の可愛らしくユーモラスに簡略化された線描のセンスは、いかにも戦間期モダニズムと同じセンスを感じるもの。 先日『チャペック兄弟と子どもの世界』 (渋谷区松濤美術館, 2018) で Josef Čapek の舞台デザイン画 (複製) を観たばかりだった [鑑賞メモ]、 Claude Debussy 作曲のバレエ La Boîte à Joujoux の André Hellé によるオリジナルの挿絵を見ることができました。 Čapek のような Avant-Garde 味はありませんが、Hellé の可愛らしさもまた良いものです。 1925年パリの Art Deco 展に出展したという玩具の写真も展示されていましたが、 復刻でもいいので実際の物が見たかったものです。

もう一人、目を捉えたのは、1920年代に革命ロシアの ВХУТЕМАС (国立高等芸術技術工房) に学び、 1928年以降、結婚で移住したフランス・パリで活動した Nathalie Parain (Наталья Челпанова)。 黒や赤などのシンプルな色の幾何学図形で構成した Ronds Et Carrés (1932) など、まさに Russian Avant-Garde の構成主義的デザイン。 もちろん、後年、構成主義の色は薄くなっていくのですが、 『幻のロシア絵本1920-30年代』 (東京都庭園美術館, 2004) [鑑賞メモ] で観た Самуил Маршак などの Russian Avant-Garde の絵本と繋がるところもあって、とても興味深く観ることができました。

東京都庭園美術館 本館
2018/03/21-06/12 (第2,4水曜日), 10:00-18:00 (3/23,24,30,31,4/6,7: 10:00-20:00).

1983年の美術館としての開館以来、何度となく足を運んでいるので特に期待していなかったのですが、 普段は公開していない3階の温室「ウィンターガーデン」が特別公開していたので、久々に足を踏み入れてきました。 光の多く入れるための広い窓ガラスといい、白黒の市松模様といい、この部屋は Art Deco というより Bauhaus などのモダニズムのデザインに近いもの。 Marcel Breuer の Chair S35 も似合います。 やっぱり、旧朝香宮邸の中でもこの空間は好きです。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

梅雨前の良い天気で、少々暑いくらいでしたが、散策日和。庭園の散策も気持ちいいものでした。 雨の時も趣あって悪くはないのですが、やはり、この美術館は庭園も楽しめる天気の時に行きたいものです。

[3644] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue May 29 23:34:59 2018

先週木曜は都内で仕事をしていたので、仕事帰りに初台へ。恒例のこのコンサートを聴いてきました。

The Music Of Unsuk Chin
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル, 初台
2018/05/24, 19:00-20:50
Mannequin - Tableaux vivants for orchestra (2014-15): I. Music Box - Fever Dream; II. Sandman and Child; III. Dance of the Clockwork Girl; IV. The Stolen Eyes
Clarinet Concerto for clarinet and orchestra (2014): I. Mirage -Fanfare - Ornament; II. Hymnos; III. Improvisation on a groove
Cello Concerto for cello and orchestra (2006-08, rev.2013): I. Aniri; II.; III.; IV.
Ilan Volkov (conductor), Jérôme Comte (clarinet), Isang Enders (cello), 読売日本交響楽団 [Yomiuri Nippon Symphony Orchestra].

現代音楽 (contemporary classical) の作曲コンペに合わせて開催されるコンサート『コンポージアム』。 今年の審査員は韓国出身ながら György Ligeti に師事しベルリンを拠点に活動するという Unsuk Chin。 フライヤに書かれていたこと以上の予備知識が無かったのですが、『コンポージアム』は例年聴きに行ってますし、 この日は都内で仕事だったので、仕事帰りに「定点観測」気分で足を運んで観ました。

去年の Heinz Holliger ほどハードモードな感じ [鑑賞メモ] ではなく、 打楽器音が耳を捉えるときはあったのですが、通して聴いてピンと来ることがありませんでした。 オーケストラが変則的な編成ではなく、分かり易く特殊な演奏をするという程では無かったということもあるかと思いますが。 こういう年もあるでしょうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3643] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon May 28 22:42:36 2018

先々週末の話ですが、19日土曜の午後は渋谷松濤へ。この展覧会を観てきました。

Those Children Keep on Playing: Children's Themes in the Works of the Čapek Brothers
渋谷区立松濤美術館
2018/4/7-5/27 (月休,4/30開), 10:00-18:00 (金-20:00).

戦間期のチェコで活躍した画家/デザイナー Josef Čapek と小説家/劇作家 Karel Čapek の 子どもをテーマとした作品に焦点を当てた展覧会です。 絵画や絵本挿絵など兄 Josef の方がメインと言っていい内容でした。 Čapek Brothers の展覧会を観るのも 『チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド』 (神奈川県立近代美術館, 2002) 以来久しぶり [鑑賞メモ]。 絵本などの子どものテーマということ自体は戦間期モダンらしいとも思いましたが、 今回は戦間期アヴァンギャルド色が薄く、少々緩い展覧会に感じました。

そんな中で気になったのは、衣装・舞台デザイン画の複製が展示されてたバレエ『おもちゃ箱』 (1925)。 Claude Debussy 作曲のバレエ La Boîte à Joujoux (1913) の プラハ初演 (1925) のために Josef Čapek がデザインしたものです (オリジナルのデザインは André Hellé)。 これが女性の衣装などオリジナルよりアヴァンギャルド風味で、原色使いや造形に Oskar Schlemmer の Die Triadische Ballett (1922) の影響すら感じられるもの。 複製のみとはいえ、これを知ることが出来ただけでも収穫でした。 この Josef Čapek デザイン版のバレエの再現上演がされていたら見てみたいものです。

展覧会前半のみの展示でオリジナルを見逃してしまったのですが、 築地小劇場の『人造人間』 (Karel Čapek: R.U.R. (1920) の日本初演 (1924)) 時のポスターの複製が展示されていました。 他にも、築地小劇場での初演時と再演時の写真の展示があり、その違いも興味深いものがありました。 最近の自分の興味のせいか、子どもテーマではなく、演劇とか舞台デザインなどに焦点を当てた展覧会を観たくなってしまいました。 このような展覧会としては、2010年に早稲田大学演劇博物館で 『現実から想像へ チェコ舞台衣裳デッサン画展』 という小規模な展覧会があったのですが、当時は気付いていませんでした。見逃し痛恨。

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[3642] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 27 19:23:05 2018

5月16日は都内で仕事をしていたので、仕事帰りに赤坂というか青山一丁目へ。 赤坂区民センター 区民ホールで開催された『Uzbekistan Week in Japan コンサート』を観てきました。 『Uzbekistan Week in Japan』というのは、5月15日〜21日に開催されていた、 ウズベキスタンの文化芸術や観光を日本に紹介する展覧会やコンサートからなる一連のイベントで、 このコンサートはその一つでした。 直接見る機会の少ないウズベキスタンの音楽や舞踊を楽しむ良い機会かと思い足を運んで観ました。 大使館イベントらしく一般への告知がほとんど無いに等しいイベントでしたが、 無料コンサートということもあるのか、会場は立ち見が出るほどの混雑。これは意外でした。 開演間際に会場にたどり着いたのですが、なんとか最後列の席に座れました。 約2時間ほどあったので、立ち見にならずに助かりました。

開演は18時半ということでしたが、混雑もあり30分近く押してスタート。 開会のスピーチの後、いきなり、女性歌手 Munojat Yolchieva が登場。 Ensemble "Maqam" の演奏と、"Gavhar" Dance Ensemble の踊りを伴いながら2曲ほど歌ました。 Yulchieva は shashmaqam と呼ばれる Sufi 音楽の歌手で、 Smithonian FolkwaysWorld Music Medien, Felmay などの欧米のレーベルからのリリースがあり、 自分も以前からCDでは聴いたことがある歌手。張り上げるような通る歌唱も迫力あり、さすがの聞き応え。 これが観られただけでも行った甲斐がありました。

Yolchieva が下がった後も、入れ替わり立ち替わり様々な歌手が出てきました。 ナヴォイ劇場 (Navoiy teatri) のオペラ歌手の Umid Israilov、Farangiz Shamsieva、 ポピュラー音楽の歌手としては女性歌手 Zulayho Boyhonova、Rohila Rozimova に男性グループ Sukhon などが出演していたようです。 (詳しいわけではないので、確かとは言いがたいですが。) オペラ歌手が来ていたのは、ナヴォイ劇場が第二次世界大戦直後にソ連に捕虜となった日本人によって建設されたという縁があってのことでしょうか。 Umid Israilov はオペラ Turandot の有名な曲 Nessem Dorma を歌いましたが、 やはりこれは Uzbekistan に因んだ歌ってことでしょうか。 作品の舞台設定は北京ですが、Turandot って「トゥーラーン (中央アジアのチュルク系の地) の娘」って意味ですし。

伴奏の楽団は “Maqam” Ensemble と紹介されていたように思いますが、これは固有名詞ではなく一般名詞でしょうか。 5人編成で舞台上手から Uzbek rubab、oud、spike fiddle、flute、Doira (frame drum) でしょうか。 それぞれのミュージシャンの名前はわかりません。 Yolchieva だけでなくポピュラー音楽の歌手が出ているときはずっと伴奏していました。 伝統的な楽器による完全にアコースティックな演奏ではなく、 若干近代化された楽器を使い、時にシンセサイザー (録音済みの音源か?) も使ってビートを強調したり音を厚くしたりしていました。

歌の間じゅう、様々な踊りを楽しませてくれた舞踊団は “Gavhar” Dance Ensemble と紹介されていましたが、 “Gavhar” というのはウズベキスタンの有名な女性舞踊家 Gavhar Katyakubova の弟子たちによる舞踊団ということなのでしょうか。 2017年に70歳を記念するイベントがあったようなのですが、 その時の記事 に載っている写真と同じダンスも踊っていたように思います。 伝統的な民族舞踊というより、伝統的な音楽や舞踊のイデオムを用いた舞台舞踊でした。 衣装も民族衣装風でしたが、踊りやすそうな軽くて柔らい生地といい、 鮮やかな色使いやスパンコールなどの光り物使いは、いかにも舞台衣装のように見えました。

しかし、いかにも大使館が主催するような、メインは二国間交流のセレモニーをすることで、 音楽やダンスはそれを華やかに盛り上げる演し物という感じの、 トータルな演出など考慮されていないイベントを、久々に体験したような。 日本の音楽も取り上げる、ということでしょうが、その選曲も、 楽団に「さくらさくら」を演奏させたり、オペラ歌手に1「小指の思い出」を歌わせたり、 男性グループに「世界に一つだけの花」を歌わせたり、という。 しかし、さすが大使館が呼ぶだけあって、それなりの人たちを呼んでいたよう。 Munojat Yolchieva や “Gavhar” Dance Ensemble など、有料の単独公演として見たかったものです。

欧州諸国だと大使館というよりアンスティチュ・フランセとか ゲーテ・インスティトゥートのような組織が主催して、 単独のコンサートや展覧会として成立するようなディレクションをしたイベントをしています。 その一方で代々木公園のタイ・フェスティバルベトナム・フェスティバルブラジルフェスティバルのような、 仕事や留学で日本に来ているその国の人々も楽しめる野外フェス感覚のイベントも定着しています。 それらに比べるとかなり素朴なイベントでしたが、タイフェスだって最初の頃はこんなものでした。 満席になるほどの人気でしたし、継続することで洗練されていけば、と期待したいものです。

[3641] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon May 21 22:41:36 2018

5月12日の親族関連イベントだったのですが、翌る日曜は昼前に日本橋室町へ。このイベントシネマを観てきました。

『カルメン』
Live from the Royal Opera House, 2018-03-06, 19:00-22:30 BST.
Music: Georges Bizet after the critical edition by Michael Rot, adapted by Constantinos Carydis (for Frankfurt Opera, 2016). Libretto: Henri Meilhac and Ludovic Halévy after Prosper Mérimée's 1845 novella Carmen. Spoken text after Meilhac, Halévy and Mérimée, edited by Barrie Kosky.
Director: Barrie Kosky; Designer: Katrin Lea Tag; Lighting Designer: Joachim Klein; Choreographer: Otto Pichler; Dramatrug: Zsolt Horpáscy; Assistant director: Alan Barnes.
Performers: Anna Goryachova (Carmen), Francesco Meli (Don José), Kostas Smoriginas (Escamillo), Kristina Mkhitaryan (Micaëla), David Soar (Zuniga), Jacquelyn Stucker (Frasquita), Aigul Akhmetshina (Mercédès), Pierre Doyen (Dancaïro), Jean-Paul Fouchécourt (Remendado), Gyula Nagy (Moralès), Claude de Demo (Voice of Carmen) Royal Opera Chorus (Soldiers, Children, Cigarette girls, Gypsies, Smugglers).
Jakub Hrůša (conductor), Orchestra of the Royal Opera House, Covent Garden.
Premiere of Barrie Kosky's production: Frankfurt Opera, June 2016.
上映: TOHOシネマズ日本橋, 2018-05-26 12:20-16:00 JST.

オーストラリア出身の演出家 Barrie Kosky による2016年に Frankfurt Opera のために制作した Carmen。 その演出の作風に予備知識はありませんでしたが、オペラ歌手を踊らせる演出という評判を知って、 Royal Opera House in cinema での上映に足を運んでみました。 1875年初演前の1974年の初稿版に基づく上演で音楽が通常の上演とかなり異なるということでしたが [解説]、 そこまで馴染みがあるわけではないので、確かに “Habanera” が違うという程度しか分かりませんでした。

舞台全体を階段ステージにしただけで舞台がスペインであることを示すような装飾は一切なく、衣装も流石にの服装は使ったもののスペインの民族衣装はほとんど無し。 Carmen 役はショートカットで、黒を基調としたフラッパーな衣装だったり、男装 (パンツスタイル) だったりで、 見た目は戦間期のファム・ファタール Lulu (Louise Brooks) に近く、 暗めの照明で時に下からの照明を使う演出も戦間期の表現主義映画のよう。 似ているというほどではなかったですが、男装も Marlene Dietrich を意識したのかな、と思うときもありました。 ダンスや衣装も、オペラというよりミュージカル、レビューやカバレットを意識した演出。 そんな戦間期1920s-30sのモダンな「狂乱」の時代を感じさせる演出は、かなり楽しめました。

主要キャストだけでなくコーラスも舞台に上げて皆躍らせる演出も、確かに見どころ。 男女3名ずつの6名の黙約ダンサーのダンスを交えることで、全体の動きもかなり締まって見えました。 最後の闘牛場の外の場面 (Act III Scene 2) の冒頭、観客役のコーラスが舞台前面で “Toreador” を歌いながら跳ね躍る後方の階段上で闘牛士の衣装を着たダンサー6人がキレキレのダンスを踊る場面もよかったですが、 最も良かったのは Act II、Lillas Pastia's tavern の場面の冒頭、 Carmen、Mercédès、Frasquita の3人が歌い踊る場面。 6名のダンサーもバックダンサーよろしく一緒に踊るのですが、 オペラ歌手3人も一体となってダンサーと見劣りしないダンスを踊っていました。

Royal Opera House や Metropolitan Opera の event cinema を観ていると、 オペラ歌手にかなり激しい動きを要求する演出は少なく無いのですが、ここまでのものはあまり無いでしょうか。 この2月に観た Sasha Waltz 演出のオペラ Matsukaze もそうでしたが [鑑賞メモ]、 これからはオペラ歌手もある程度踊れないと、現代演出のオペラはやっていけなくなりそうだなあ、と。 しかし、この Kosky の Carmen は、 良くも悪くも分かり易く説明的に役を踊るようなダンスで、 キレキレのダンスを見せていた6人のダンサーもいわゆるバックダンサー的な役割がほとんど。 ダンス作品としても見応えあった Matsukaze とは ちょっと違うとも感じてしまいました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3640] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 20 20:41:30 2018

既に半月前の話になってしまいましたが、ゴールデンウィーク後半の5月4日の晩は両国へ。 この公演を観てきました。

勅使河原 三郎 / 佐東 利穂子 / 宮田 まゆみ 『調べ 笙とダンスによる』
『調べ 笙とダンスによる』
Saburo Teshigawara / Rihoko Sato / Mayumi Miyata: Shirabe
シアターΧ (両国)
2018/05/04, 19:30-20:45.
構成・振付・美術・照明・衣装: 勅使河原 三郎.
ダンス: 佐東 利穂子, 勅使河原 三郎. 笙: 宮田 まゆみ
演奏曲目: 1)沈黙 2)下無 (しもむ) 3)盤渉調調子 (ばんしきちょうちょうし) 4)平調調子 (ひょうじょうちょうし) 5)迦陵頻急 (かりょうびんのきゅう) 6)雙調調子 (そうじょうちょうし) 7)平調 (ひょうじょう) 8)沈黙
制作: KARAS

最近は海外でのバレエ団でのコンテンポラリー作品の振付やオペラの演出の活動も目立つ 勅使河原 三郎 の新作は、雅楽の楽器である笙を伴奏に、佐東 利穂子 とデュオで踊るというもの。 映像も使わず、控え目な照明の演出のみで衣装も暗色。笙の響きも静謐に感じられるダンスだった。 バレエのイデオムは無く、少し腰を落とした姿勢ですり足気味で足を動かしたり手を回したりする動き。 勅使河原の精悍な雰囲気もあってか、舞踏というより武道的な動きをスピードを落として見ているよう。 雅楽 (古代) というより能楽 (中世) と親和性の高い動きのようにも思いましたが、 音がミニマリスティックだったせいか違和は感じませんでした。

宮田のアブストラクトにすら感じる笙の響きとミニマリスティックな演出は好みでしたし、 スリット状の光を使って、闇の裂け目から手を伸ばすような動きなど、光使いは良いなと思うときもありました。 しかし、ひたすら客席に向かって踊り続けていたのが気になってしまいました。 横に向くというより半身の構え、背を向ける時は振り返りに向けての準備動作のよう。 横動きで二人の位置を入れ替えたりしていましたが、、後ろに下がって、前に出てきて、と空間使いが単調に感じられてしまいました。

以前に観たのが1999年の Absolute Zero なので [鑑賞メモ]、約20年ぶり。 国内のカンパニーはつい後回しになりがちなのですが、いつの間にかこんなに開いてしまったか、と。 今回は、静岡遠征をやめてゴールデンウィーク後半に余裕があったので、 細川 俊夫 の作品でもお馴染みの 宮田 まゆみ [鑑賞メモ] の音楽ということもあって、足を運んだのでした。 意外と席に余裕があって、余裕ができた時に当日券でさっと観に行くものありかな、と。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

5日も晩に某イベントを覗いてみたのですが、自分には少々緩すぎました。うむ。 ま、行ってみないとわからないということもありますし。

[3639] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon May 14 22:34:19 2018

ゴールデンウィーク後半の5月3日は、La Folle Journée Tokyo 2018 で有楽町にいたのですが、 ライブの合間に数寄屋橋まで足を伸ばして、この展覧会を観てきました。

銀座メゾンエルメス フォーラム [Maison Hermès Le Forum, Ginza]
2018/04/25-2018/07/22 (不定休), 11:00-20:00 (日 11:00-19:00)

ルーマニア出身でフランス・パリを拠点に活動する Mircea Cantor の個展。 国際現代美術展でその作品を観たことはあるが、さほど強い印象は残っていなかった。 今回の個展の表題作である、透明なアクリル板で作られた何も書かれていないプラカードを持った人々が新宿中央公園を整然と歩く様子を捉えたビデオ作品は、 プラカードが透明であることより反射で映っている木々や空を掲げているように見えることが面白く感じる程度だった。 もう一つの作品、アルミ製の西洋式の風鈴 (wind chime) を数十個整然と並べて吊り下げたインスタレーションは、 出入りのドアと連動して鳴るようになっていた。 その端正な形状と鳴り響く鈴の音は、記録ビデオで観たらさほどではなかったかもしれないが、 実際にそこにある質感を見て、ギャラリー空間に音が満ちる様を体感すると、 そのクリアな質感形状と音が自然に入ってくるように感じられた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

連休中で天気も良く、晴海通りが予想外の混雑。ここまでたどり着くのがやっと。 銀座通りまで出ることは断念したのでした。うーむ。

[3638] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 13 22:59:46 2018

フランスのナント (Nantes, FR) で1995年に始まったクラッシックの音楽祭 La Folle Journée。 その東京版 La Folle Journée Tokyo (始まった当初は La Folle Journeé au Japon) が2005年からゴールデンウィークで開催されています。 通し券はなく指定席ですが、会場や料金も含め、いわゆるクラッシックの「音楽祭」というよりジャズフェスなどに近いフォーマットの「音楽フェス」です。 ゴールデンウィークは ふじのくに⇆せかい演劇祭 や TACT/FESTIVAL で潰れてしまいがちなのですが、 今年は、ふじのくに⇆せかい演劇祭のパスポートチケットが取れず、TACT/FESTIVAL の時期がずれたので、 これも良い機会かと、今年の初日、ゴールデンウィーク後半の5月3日に、La Folle Journée Tokyo に足を運んでみました。 今年のテーマは “Un Monde Nouveau” 「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」ということで、 非西洋音楽というかワールドミュージックに近いプログラムが多いように感じました。 そんなこともあって、いわゆる古楽やワールドミュージックに近いプログラムばかり観てしまいました。 クラッシックとはいえPAを使ったライブでしたし、 自分の好みど真ん中の演奏に出会えたわけではありませんが、十分以上のレベルの演奏を楽しむことができました。 ライブ三昧な一日というのも良いものです。というわけで、観たステージについて個別に軽く。

東京国際フォーラム ホールB7 (クンデラ)
2018/05/03, 12:00-12:45.
1)Las Estrellas de los cielos (Instrumental Séfarade / Alexandrie) 2)Por allí paso un cavallero (Séfarade / Turquie) 3)Stella Splendens (Virelai à 2 voix / Llibre Vermell de Montserrat) 4)Los set gotxs (Llibre Vermell de Montserrat) 5)Mariam Matrem Virginem (Llibre Vermell de Montserrat) 6)Des oge mais quer'eu trobar – Cantiga 1 (Alfonso X el Sabio) 7)Punxa, punxa (Séfarade / Jérusalem) 8)Ductia – Cantiga 123 (Alfonso X el Sabio) 9)A Virgen - Cantiga 253 (Alfonso X el Sabio) 10)Stella Splendens (Virelai / Llibre Vermell de Montserrat)

タイトルに “Salam” が入っているように 中世スペインのキリスト教徒、イスラム教徒とユダヤ教徒の音楽のプログラムということでしたが、 演奏曲目を見ると、今回はイスラム教徒の曲は無かったよう。 会場で配られていたパンフレットには楽団の個々のメンバーのクレジットが無かったのですが、 男女2名の歌手と楽器演奏者9名の編成で、 楽器演奏者は前列7名上手から、oud、kanun、viola da gamga 等 viol 系の楽器、rebec もしくは Cretan lyra と viol 系の楽器、nyckelharpa、recorder、ney、 後列上手から、percussion、frame drum/darbuka という感じに見えました。 セファルディの曲ということで、Savina Yannatou & Primavera En Salonico [鑑賞メモ] などで 聞き覚えのあるメロディに近い曲もやりましたが、 歌手の歌い方や、即興で大きく外れることの無い演奏など、クラッシック寄りの端正さでした。 それでも、その旋律や古楽や中東の楽器の音色はかなり好みで、楽しむことができました。

東京国際フォーラム ホールB7 (クンデラ)
2018/05/03, 14:00-14:45.
Yom (clarinet); Quatuor IXI: Régis Huby (violin), Théo Ceccaldi (violin), Guillaume Roy (viola), Frédéric Deville (cello)

Buda Musique から多くのリーダー作をリリースしているクレツマーの clarinet 奏者 Yom と、 最近では Melanoia & Quartuor IXI: Red - Music by Luzia von Wyl (Budapest Music Centre, BMCCD238, 2016, CD) など クラシック良いうよりジャズ/即興に近い文脈で活動するフランスの string 4tet Quatuor IXI の共演。 星間旅行をイメージしたというノンストップ45分の演奏でした。 不協和音も多用するけど、時に Yom がクレツマーのイデオム強いフレーズを吹き上げる時もあって、 アブストラクトに過ぎない演奏でした。

東京国際フォーラム ホールB7 (クンデラ)
2018/05/03, 16:00-16:45.
1)Brahms: Hungarian Dance No. 5 2)Sarasate: Zigeunerweisen 3)Boulanger: Avant de mourir 4)Šporcl: Homage to János Bihari, Gipsy fire, Transylvanian fantagy, Nane Cocha 5)Babai: Caprice Tzigane encore)Monti: Csárdás
Pavel Šporcl (violin), Zoltán Sándor (viola), Ján Rigó (contrabass), Tomáš Vontszemü (dulcimer).

クラシックの文脈で活動を始めたチェコ violin 奏者 Pavel Šporcl による、 dulcimer (cimbalom) を含む中欧 (チェコというよりハンガリーに多いですが) ジプシー楽団のプロジェクト。 ジプシー音楽のイデオムを用いた19世紀のクラッシックの曲を、ジブシー楽団風の演奏で。 元の曲のせいもあるのか普段聴き慣れているジャズ〜ワールドミュージック文脈での演奏に比べて端正でしたが、 dulcimer の生音も含めて、十分に楽しめました。

東京国際フォーラム ホールB7 (クンデラ)
2018/05/03, 17:45-18:30.
1)Galliano: Parisian divertimento 2)Debussy: Clair de lune 3)Debussy: Doctor Gradus ad Parnassum from Children's corner 4)Galliano: La valse à Margaux 5)Galliano: Soleil de Paris 6)Legrand: Medley - Les moulins de mon cœur, La valse des Lilas, You must believe in spring 7)Nazareth: Odéon 8)Galiano: Fou rire 9)Granados: Andaluza (Danse espagnole No. 5) 10)Galliano: Tango pour Claude
Richard Galliano (accordion)

1960年代からジャズの文脈で活動するフランスの accordion 奏者 Richard Galliano。 2010年代に入ると Deutsche Grammophon からクラッシックや映画音楽の曲の録音を残すようになっていて、 このライブも Claude Debussy や Michel Legrand の曲を交えるなど、その色を感じる選曲でした。 技巧的な早弾きとか特殊奏法とか駆使するようなものではないものの、淡々というより能弁、ゴージャスな accordion のソロ演奏を堪能することができました。

Piers Faccini & his musicians
東京国際フォーラム ホールB7 (クンデラ)
2018/05/03, 21:30-22:15.
1)America 2)A new morning 3)Beloved 4)Judith 5)Billai Askara Min 6)Scetate 7)Anima 8)Three times betreyed 9)Sudani encore)
Piers Faccini (guitar, vocals), Simone Prattico (drums), Jules Bikoko (doublebass), Malik Ziad (mandolin, oud guembri)

イギリス出身のシンガーソングライターながら、2000年代以降、 Label Bleu や Tôt ou Tard, No Format といったフランス独立系レーベルからのリリースが多い Piers Faccini。 今回の編成は oud を含み、セファルディやアラブアンダルス、イタリアやアルジェリアの曲を取り上げるなどワールドミュージック的な色が強いものでした。 名前からしてイタリア系ですし、家系図にはスペイン・コルドバから亡命したユダヤ女性(ということはセファルディムか)がいるとのことで、そんな複雑なルーツを反映した選曲なのでしょうか。 しかし、いろいろ取り上げてているのにフォークロック的な SSW 臭が抜けないのは、その英語での歌い口のせいでしょうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

しかし、ゴールデンウィーク中ということもあり、銀座・有楽町界隈は酷い混雑。 La Folle Journée Tokyo をやっている東京国際フォーラム周りが混雑しているのはわかるのですが、 晴海通りの歩道がまともに歩けない程の混雑だったのには驚きでした。 ランチや休憩の際も半ばカフェ難民になってしまい人混みにウンザリしていたのですが、 夕食の際に通りを挟んで北側の丸の内側に行ってみたら、銀座・有楽町界隈の混雑が嘘のよう。 こんなことであれば、ランチや休憩も丸の内側に行けばよかった……。

[3637] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Wed May 9 23:31:01 2018

ゴールデンウィーク前半、静岡から戻って明くる月曜は、午後に丸の内へ。この展覧会を観てきました。

Kengo Kuma: a LAB for materials
東京ステーションギャラリー
2018/03/03-2018/05/06 (月休; 4/30開), 10:00-18:00 (金 10:00-20:00)

著作も多く、新国立競技場の設計を行うことになったことで知名度も高まっている建築家 隈 研吾 ですが、 実作を観る機会はあまりなかったので (最近観たといえば、スターバックス太宰府天満宮表参道店でしょうか)、 これも良い機会と足を運びました。 建築展はそれなりに足を運んでいますので、隈 研吾 のプロジェクトも展覧会で観ていたような気でいましたが、実は 隈 研吾 の個展を見るのも初めてでした。

展示は、彼が建築に用いる主要なマテリアルを10選んで、それに沿って建築プロジェクトを整理した展覧会でした。 10のマテリアルとは、竹、木、紙、土、石、金属、ガラス、瓦、樹脂、膜・繊維。 建築模型というより素材を組み合わせて構造とテクスチャをどう作り出していくか示すような模型が多く、 素材と構造、テクスチャ、時には機能も未分化というか不可分なところを狙った建築を考えているような所が興味深い展示でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

この展覧会の前後の時間を使って、 神保町シアターの特集 『生誕115年記念 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景』 から、サイレント映画『その夜の妻』 (松竹蒲田, 1930) と、 初期トーキー『淑女は何を忘れたか』 (松竹大船, 1937) を観てきました。 いずれも何回も観たことのある映画ですが、 東京都写真美術館の展覧会 『『光画』と新興写真 モダニズムの日本』 を観て、 動く「新興写真」としての小津映画を観たい気分になって、足を運んだのでした。 サイレント期の方が「新興写真」っぽいかなと思っていたのですが、 実際のところ『淑女は何を忘れたか』のスタイリッシュな画面作りに気づかされたりもしました。 サイレントの『その夜の妻』はピアノ伴奏付き (演奏:神﨑 えり)。 「新興写真」っぽさを確認するように観るつもりが、結局、感情移入しながら涙しながら観てしまいました。 話は判ってるのに、メロドラマチックだと思いつつも。 やっぱりピアノ伴奏付きでのサイレント映画鑑賞は良いなあ、と、つくづく。

『『光画』と新興写真 モダニズムの日本』の展覧会カタログに載っていた論文の一つで、 新興写真の影響源として当時の思想と映画を挙げていました。 それだけに、当時の同時代の映画がどんなものだったのか、 小津 安二郎 などのモダンな戦前映画の上映会を合わせてやればよかったのに、と思わざるを得ません。 自分ですら思い付くくらいな事なので、様々な理由があってそういう企画をしようにも難しいのでしょうが……。

[3636] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue May 8 21:44:51 2018

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2018 の話の続き。二日目晩、最後にこの舞台を観ました。

Thomas Ostermeier / Schaubühne Berlin
静岡芸術劇場
2018/04/29, 19:00-21:40.
Autor: Henrik Ibsen, In einer Bearbeitung von Florian Borchmeyer; Regie: Thomas Ostermeier.
Bühne: Jan Pappelbaum Kostüme: Nina Wetzel Musik: Malte Beckenbach, Daniel Freitag Dramaturgie: Florian Borchmeyer Licht: Erich Schneider Wandzeichnungen: Katharina Ziemke
Christoph Gawenda (Dr. Stockmann), Konrad Singer (Stadtrat), Eva Meckbach (Frau Stockmann), Renato Schuch (Hovstad), David Ruland (Aslaksen), Moritz Gottwald (Billing), Thomas Bading (Morten Kiil).
Production: Schaubühne Berlin
Premiere in Avignon am 18. Juli 2012; Premiere in Berlin am 8. September 2012.

ベルリンの劇場 Schaubühne の芸術監督を務める Thomas Ostermeier が演出した Ibsen の戯曲といえば、 以前に観た Nora [鑑賞メモ] が、 セリフのレベルでは大きく戯曲を弄らないままに舞台を現代に置き換えた演出だった。 今回も同様に現代に舞台を置き換えた演出だろう、と、予想していた。 確かに、ストーリーを大きく弄らずに、舞台を現代に (といっても、使われている音楽からして21世紀ではなく、1980年代っぽかったが) 置き換えたような演出だったが、 Nora に比べると、かなり自由にやっているように感じられた。

Nora においては夫殺しが変更のポイントだったが、 この作品では集会の場面が大きく手を入れられ、Dr. Stockmann の演説には 2007年にフランスのアナキスト集団が匿名で発表したという The Coming Insurrection 「来るべき反乱」というテキストが使われていた。 そして、その演説に対して観客に意見を求めるという観客参加という形をとっていた。 Nora では終演後に観客との討論会を設けていたが、 それを劇中に取り込んだような感じだ。

正直に言えば、この演説は元の戯曲からかなり浮いた内容になっていたのだけれども、 観客の発言の多くは、元の戯曲が扱っている問題 (温泉が汚染されていることを公にして、すぐに手を打つべきか) に対するもので、 差し替えられた演説—反グローバリズム、反商業主義のかなりメタな (少々ナイーヴな) 内容—とは関係無いもの。 おそらく Ostermeier は、あえて賛否が分かれそうな極端なテキストに差し替えたのだと思うのだが、 客席のほとんどがこの演説に賛意を示したのも意外だった。 日本語字幕があったもののドイツ語による上演という言葉もあったと思うが、 多くの人は人の話を聞いていないんだな、と、感慨深いものがあった。

観客参加だけでなく、舞台の上でのロックバンド演奏や、最後の場面での蛍光塗料の水風船を投げつける演出など、面白い演出もあったが、 かなりストレートな演劇だったという印象が残ったのは、 以前に観た Nationaltheatret (ノルウェー国立劇場) による En Folkefiende が、 ミニマリスティックでコンテンポラリーダンスに近い演出だったということもあるかもしれない [鑑賞メモ]。

ちなみに、Ostermeier は2005年に Ibsen の戯曲 Hedda Gabler の演出もしている。 最近、Hedda Gabler を立て続けに観て [関連する鑑賞メモ]、 面白いと感じている所なので、Ostermeier がどう演出したのか、観てみたいようにも思う。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

一昨年は全演目パスポートを買ってゴールデンウィーク後半も観に行ったわけですが、 今年はチケット一般発売日が出張と重なってしまい、全演目パスポートを入手し損ねてしまいました。 演劇祭どっぶりのゴールデンウィークもいいのですが、これも良い機会なので、ゴールデンウィーク後半は別のイベントに行くことにしたのでした。

あまり優劣を付けるようなものでも無いとも思いますが、 今回観た中で最も良かったのは、 Claude Régy: Rêve et folie [鑑賞メモ] でしょうか。 今回観た4本の中には、『さ(以下略)』みたいなわかりやすくハズレみたいのはありませんでしたが、 Tim Watts: The Adventures of Alvin Sputnik - Deep Sea Explorer [鑑賞メモ] とか、 Teatro de los Sentidos: Pequeños Ejercicios para el Buen Morir [鑑賞メモ] とか、 Olivier Py: La Jeune Fille, le Diable et le Moulin, d'après les frères Grimm [鑑賞メモ] のような 大アタリも無くて、なんとも不完全燃焼という感じでした。 ま、こんな年もあるでしょうか。

[3635] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon May 7 23:00:18 2018

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2018 の話の続き。一泊して、翌昼に、この舞台を観ました。

Richard III — Loyaulté me lie [Richard III — Loyalty binds me]
静岡県舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
2018/04/29, 13:00-15:20.
Direction: Jean Lambert-wild, Lorenzo Malaguerra & Gérald Garutti; Adaptation de Richard III de William Shakespeare; Traduction: Gérald Garutti & Jean Lambert-wild.
Musique et spatialisation en direct: Jean-Luc Therminarias; Scénographie: Stéphane Blanquet & Jean Lambert-wild.
Avec: Laure Wolf & Jean Lambert-wild.
Créé du 19 au 29 janvier 2016 au Théâtre de l'Union - Centre Dramatique National du Limousin (France).

インド洋のフランス海外県のレユニオン島 (île de la Réunion) 出身で、 現在はフランス中部リムザン (Limousin) 地方の首邑リモージュ (Limoges) の国立劇場を拠点に活動する Jean-Lambert-wild による、 Shakespeare の Richard III を道化芝居として解釈した舞台。 写真や予告映像から、2016年に観た Oivier Py: La Jeune Fille, le Diable et le Moulin, d'après les frères Grimm [鑑賞メモ] のような舞台が楽しめそうと期待していた。 実際、人形劇場を意識したと思われる舞台美術で繰り広げられる道化芝居を楽しんだけれども、その一 その一方で、物足りなく感じたところもあった。 特に、使われる音楽が生演奏ではなく、ダンスを踊るどころか歌うような場面すら無かったのが、とても物足りなかった。 人形芝居小屋の雰囲気の中にビデオや照明使いなど現代的な演出を忍ばせ、エンディングなどむしろ現代演劇的な演出になっていたが、 それも折角の道化芝居的な雰囲気を削いでしまっていたように感じた。

Shakespeare の Richard III に基づく作品としても、 2016年の Ong Keng Sen (dir.) 『三代目、りちゃあど』 [鑑賞メモ] に続いてとも言えるが、なんとも相性が悪いようだ。オリジナルがダメということではないと思うのだが……。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

続きはまた後ほど。

[3634] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 6 21:25:01 2018

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2018 の話の続き。初日晩は、この舞台を観ました。

Claude Régy
Rêve et folie [Dream and Derangement]
静岡県舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
2018/04/28, 20:30-21:50.
Mise en scène: Claude Régy; Texte: Georg Trakl, français de Jean-Claude Schneider et Marc Petit.
Assistant à la mise en scène: Alexandre Barry; Scénographie: Sallahdyn Khatir; Lumières: Alexandre Barry assisté de Pierre Grasset; Son: Philippe Cachia.
Avec: Yann Boudaud.
Une création des Ateliers Contemporains.
Création le 15 septembre 2016 au Théâtre Nanterre-Amandiers, centre dramatique national.

フランスの演出家 Claude Régy による作品は SPAC も度々取り上げているが、観るのは初めて。 非常に暗く照明を落とした空間で、一人、身をよじるようにゆっくり動き回りながら、散文詩を朗読するというパフォーマンスで、 演劇というより、むしろコンテンポラリーダンスに近く感じるようなパフォーマンスだった。

真っ暗闇の中、奥に微かに光る人型が蠢くのが見え始めた。 まるで Henri Michaux の描く不確かなフォルムの人型の染みの形をした光が蠢くかのような。 そして、次第に目が慣れてきて、ある時点でふっと焦点が合って、暗色のTシャツ、パンツ姿なの短髪の男がゆっくりうごめいている姿になった。 かつて James Turrell のインスタレーションで体験したような感覚 [鑑賞メモ] を久しぶりに体験することができた。

男の動きは、表現主義的なダンスというか、苦悩で身をよじる様であり、 シェルショック (戦争神経症) の発作的な動作の様でもあり、 錯乱している薬物中毒患者の動きの様でもあり。 そんな動きをしながら、半ば呂律の回らない様な口調で、時に強く唸る様な口調で、散文詩を朗読して行く。 節をつけて吟じていたわけではないが、次第に押し殺す様に歌われている無調の歌を歌いながら、踊っている様に見えてきた。 そしてそれがとても興味深く感じられた。

朗読されていたのは、第一次世界大戦に薬剤師として従軍し、戦場近くの病院でコカインの過剰摂取で23歳の若さで死んだオーストリアの詩人 Georg Trakl の詩。 途中から字幕をあまり負わずに動きを見ていたので、きちんと内容を追ったわけではないが、 その内容は、第一次世界大戦とは関係なく、むしろ、近親相姦の罪悪感に触発されたかのような内容だった。 しかし、詩人のバックグラウンドを知って観たせいか、 まるで Otto Dix: Der Krieg [鑑賞メモ] のような暗くグロテスクなイメージを、その言葉と動きで表現しているように感じられた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

続きはまた後ほど。

[3633] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue May 1 21:53:40 2018

昨年は転居直後ということもあって行く余裕の無かった ふじのくに⇄せかい演劇祭。 今年はゴールデンウィーク前半、4月28,29日の一泊二日で4作品を観てきました。 まずは、28日夕方に静岡入りして、この舞台を観ました。

静岡県舞台芸術公園 野外劇場「有度」
2018/04/28, 18:15-19:50.
演出: 宮城 聰; 作: 北村 想.
出演: 奥野 晃士 (ゲサク), たきい みき (キョウコ), 春日井 一平 (ヤスオ (ヤソ)).
企画: 愛知県芸術劇場, SPAC-静岡県舞台芸術センター; 制作: 愛知県芸術劇場.

愛知県を活動拠点とする劇作家 北村 想 の『寿歌』 (1979) を新たに 宮城 聰 が演出したもの。 上演回数の多い戯曲とのことですが、この戯曲の上演を観るのは初めてです。 核戦争後の荒野を行く旅芸人、ゲサクとキョウコと、途中で落ち合ったヤスオの3人の オフビートな道中をユーモラスに描いた作品でした。

日が落ちて暗闇となって行く木々の緑をライティングで浮かび上がらせるような、「有度」の舞台の美しさは、相変わらず。 核戦争後の荒野を舞台としていることを考えると合っていません。 そんな部隊とは思えない緩いやりとりとのギャップがユーモアとなっているため、 演技によって荒野に見せることも難しく、なんとも微妙な状態となってしまっていました。 むしろ、発掘調査のため工事現場のようになっている駿府城公園の一角の方が良かったのではないか、と思ってしまいました。

関西弁でのやりとりは漫才的でもありますが、少々子供っぽいもの。 この子供っぽさが少々苦手に感じられたのですが、 ポストアポカリプスで少々ファンタジックなジュブナイルSFと考えると、 十代の頃に観ていたらもっと楽しめたかもしれない、とも。 そういえば、この戯曲が書かれた1970年代末はポストアポカリプスなジュブナイルSFが多くありましたし [関連する鑑賞メモ]、 少々子供っぽい笑いも含めて、そういう時代だったのかな、と思ったりもしました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

続きはまた後ほど。

[3632] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Apr 24 0:12:32 2018

先々週末の話になってしまいましたが、日曜15日の晩は、横浜馬車道へ。このライブを観てきました。

横濱エアジン
2018/04/15, 19:30-20:45.
Ikarus: Ramón Oliveras (drums, composition), Anna Hirsch (voice), Andreas Lareida (voice), Lucca Fries (piano), Mo Meyer (doublebass).

Nik Bärtsch のプロデュースで Ronin Rhythm Records から2枚のアルバムをリリースしているスイスのグループ Ikarus。 去年にも1度来日しているが年度末繁忙期のために観られず、今回の来日で観ることができた。 アンコールこみで1時間ほどのライブだった。 ちなみに、2枚のアルバム制作と昨年度来日のメンバーから女性歌手が替わっている。

アルバムで聴いていた時はさほど drums が際立たず、むしろ piano の音が耳に残り、 スキャットをフィーチャーした Nik Bärtsch's Ronin [鑑賞メモ] という印象だった。 ライブでみると (ライブだからか) リズムが力強く多様に感じられ、 淡々としたミニマルな音楽というより、ドラマチックな展開を感じた。 ドラマーがリーダーのグループというのも、納得だ。

男女二人のヴォイスも、classical な歌い方ではなく、 動きながら表情豊かに歌う様子も jazz のスキャットに近いもの。 アンコールで倍音も使ったりしたが、特殊な発声法を多用、強調するようなことは無かった。 リズミカルなスキャットというより、ソフトにディレイを真似るように歌うような時も多く、 Theo Bleckmann をフィーチャーした John Hollenbeck のビッグバンドを、小回り効くように小編成にしたよう、と感じる時もあった。

フロントのボイスの男女は、色は黒ながら立体的に造形されたデザインの服を着ていたのだが、 そんな衣装も似合う美男美女。特に男性は表情もMCの口調もフレンドリー。 そんな雰囲気も楽しむことができた。 演奏の種類によってはこぢんまりとした親密な空間という良さがあるが、 狭くて雑然としているとも言えるエアジンのような空間よりも、 コンテンポラリーダンスの公演とかもできそうなホールや Super Deluxe のようなオルタナティブスペースの方が似合いそうなグループだとも思ってしまった。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

Now for something completely different...

先の週末土曜は、午後に早稲田大学戸山キャンパス33号館へ。2月に続いて 桑野塾に顔を出してきました。 今回から会場を教育学部から文学部へ移しての開催でした。 2件の報告があったわけですが、今回の一番の興味は 八木 君人 「いわば、ポスト・ソヴィエト的芸術左翼戦線」。 サンクトペテルブルグのアートコレクティブ Что делать?Лаборатория Поэтического Акционизма や 雑誌 «Транслит» の紹介でした。 ロシアにおけるアート・アクティビスムやSEA (Socially Engaged Art) の一潮流といったところなのでしょうが、 詩や演劇的パフォーマンスに近いもので、造形美術的な面白さやが感じられなかったり、音楽との繋がりがあまり見えなかったのは、少々残念。 しかし、ロシア旅行に行った頃 (2011年) くらいまではそれなりにロシアの現代美術の動向をチェックしていたのですが、 それからすっかり疎くなってしまったので、最近の動向の話を聴けたのはありがたかったです。 現代美術などの同時代的な動向は十年一昔ですからね。 もう一件、島田 顕 「石坂幸子とモスクワ放送ハバロフスク放送局——元NHK女子アナウンサーが見た戦後直後のモスクワ放送日本語番組」は、 戦時中NHK樺太豊原放送局の女性アナウンサーの終戦後抑留の話。 NHKが制作した樺太地上戦サハリン残留のドキュメンタリーを 観たこのがあるという程度の知識しかなかったので多くはコメントしがたいのですが、 終戦後の樺太/サハリンについて明らかになっていないこともまだまだ多いのだろうなあ、と思いながら聞きました。

[3631] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Apr 22 21:18:51 2018

先週末の話ですが、土曜の午後に恵比寿へ。写真展を観てきました。

The Magazine and the New Photography: Koga and Japanese Modernism
東京都写真美術館 3階展示室
2018/03/06-2018/05/06 (月休;4/30開,5/1休) 10:00-18:00 (木金-20:00)

1932-33年に発行された 野島 康三 主宰で 木村 伊兵衛 と 中山 岩太 が同人だった写真雑誌『光画』、 1930年創刊の『フォトタイムス』やその編集主幹 木村 専一 が結成した「新興写 真研究会」 (堀野 正雄, 渡辺 義雄 らが参加) の写真を中心に、 戦間期の「新興写真」を集めた展覧会。 それまでのピクトリアリズム (絵画主義) の写真とは異なる、 ドイツの Neue Sachlichkeit の写真や Man Ray ら Surrealism の写真、 Aleksandre Rodchenko ら Russian Avant-Garde の写真など、 同時代の海外の動向の影響を感じられる、写真ならではの作風がその特徴だ。 野島 康三 [鑑賞メモ]、 中山 岩太 [鑑賞メモ] や 堀野 正雄 [鑑賞メモ] など、 これまでも代表的な写真家の個展を観る機会があったが、幅広く新興写真の作家を観るのは初めて。 こんな写真家もいたのかと、発見もあった。

中でも最も印象に残った写真家は、佐久間 兵衛。 ビルを見上げたり、ビルの上から街を行く人を捉えたり、遠くから客船を大きく捉えたり。 遠近短縮法のよう、というだけでなく、 小津 安二郎 のサイレント期のノワール映画 (『その夜の妻』 (1930) や『非常線の女』 (1933)) の一シーンを思い出させられた。 小津 安二郎、清水 宏 や 島津 保次郎など、モダンな松竹のサイレント現代劇映画は、 1930年代前半と新興写真と同時代のもので、動く新興写真とも言えるかもしれない。

そんなことを思いながら展覧会を観いたら、 戦間期の松竹映画ではお馴染みのクラブ石鹸 (タイアップしていたので、その広告がよく画面に映り込む) の写真 小石 清 『クラブ石鹸』 (1931) が出てきて、ここまで被るかとウケてしまった。

Geneses of Photography in Japan: Nagasaki
東京都写真美術館 2階展示室
2018/03/06-2018/05/06 (月休;4/30開,5/1休) 10:00-18:00 (木金-20:00).

東京都写真美術館は、日本における初期写真 (幕末から明治にかけての19世紀の写真) の展覧会として 『夜明け前 知られざる日本写真開拓史』という展覧会シリーズを続けていたが [鑑賞メモ]、 リニューアル前に完結し、リニューアル後の去年春は総集編だった。 今年から新たに『写真発祥地の原風景』というシリーズが始まり、「長崎」がその最初の展覧会。 長崎大学附属図書館の幕末・明治期日本古写真コレクションのデータベース公開20周年を記念した展覧会だ。 近年続けて2回ほど出張で長崎に行き、 長崎造船所 史料館 などにも足を運んでいるので、 そこで (複製を) 見た覚えのある写真もあったりした。 しかし、『『光画』と新興写真 モダニズムの日本』を観て盛り上がった直後ということで、 なかなか入り込みづらいものがあった。

Kiyosato Museum of Photographic Arts: Basically. Forever. —2018—
東京都写真美術館 地階展示室
2018/03/24-2018/05/06 (月休;4/30開,5/1休) 10:00-18:00 (木金-20:00).

清里フォトアートミュージアム 収蔵作品で構成した巡回展。 この美術館は35歳までに撮った写真を対象とした「ヤング・ポートフォリオ」というアニュアルの公募展開催し、コレクションをしてきているが、 この展覧会からの29人を含む、全95人の写真家の35歳までに撮った写真を集めている。 前期〈歴史篇〉(4/15まで) と後期〈作家篇〉(4/17から) の2期に分かれて展示されるが、自分が観たのは前期〈歴史篇〉。 年代順に並ぶので時代ごとのスタイルの流行が透けて見える面白さはあったが、35歳までという点についてピンと来るものは無かった。 展示作品が多過ぎて個々の印象は薄めだが、 2000年代以降、東欧・旧ソ連やアジア、アフリカの作家の写真も多くあり、 そういえば、あまり観る機会がなかったな、と気付かされたりもした。 名前を聞いたことがあったが公共交通機関で行きづらい場所ということもあり行ったことはなかった。 こうしてコレクションを見ると、足を運んでみてもいいかもしれないという気にはなった。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3630] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Apr 17 23:34:46 2018

4月6日に関西方面へ行ったので、翌土曜日午前、東京に戻る前に中之島へ。この展覧会を観てきました。

Travelers: Stepping into the unknown
国立国際美術館
2018/01/21-2018/05/06 (月休;2/12開,2/13休,4/30開), 10:00-17:00 (金土 10:00-20:00)

大阪の日本万国博覧会の万博美術館の建物を活用する形で1977年に開館した (2004年に中之島に移転) 国立美術館の40周年の展覧会。 千里の頃から積極的に現代美術を取り上げてきた美術館ということで、この40周年展も戦後の現代美術の展覧会だ。 日本人作家に限定せず半数近くは海外の作家で、コレクション作品を多く用いつつも、この展覧会のための作品もあり、規模大きめの国際現代美術展となっていた。

パフォーマンス作品やその記録のヴィデオ作品 (Marina Abramovic, Vito Acconci など)、 パフォーマンス性の高い形で製作された絵画 (白髭 一雄 など) などパフォーマンスと関係深い作品が多く集められていた。 事後のドキュメントばかりではなく、 美術館監視員と思いきや時々 “This is propaganda” と半ば歌うように声を上げる Tino Sehgal の作品や、 ギャラリーの中央に吊るされた石を3人の歌手が声というか息で吹き揺らす Allora & Calzadilla “Lifespan” のような、 劇的な所のないさりげないパフォーマンスを楽しむこともできた。 Tino Sehgal [鑑賞メモ] など最近注目されている作家だが、 過去のマスターピースも多いうえ、2000年代以降盛んになった work in progress 的なプロジェクトのドキュメントのような作品が目立たなかったこともあり、 むしろオーソドックスな現代美術展にも感じられた。

もちろん、パフォーマンスとは直接にリンクしないが、良い所蔵作品も出ていた。 畠山 直哉 の 『アンダーグラウンド』 [鑑賞メモ] や 米田 知子 の 『熱』や『壁紙』のような形式的な写真も印象に残った。 自動扉に描いてそこを通る形で鑑賞する Robert Rauschenberg: “Solstice” も 人数制限はしていたが体験できる形で展示されていた。 受付近くの 高松 次郎 の壁画的なパーマネント作品に Pipilotti Rist がビデオ作品を オーバーレイしていたのも、このような展覧会だから可能になったのだろう、と。

コンセプトを深読みしたくなるほどの強い印象は受けなかったけれども、 長年現代美術に取り組んできただけはあると思わせる充実した現代美術展だった。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

CD/レコードレビューは書かなくなって久しいですが、 最近は展覧会/公園の鑑賞メモもなかなか書けなくなってしまっています。 書き出してしまえばそんなに時間は要さないのですが、なかなか取り掛かれません。うーむ。 書いておかないと観たことすら忘れてしまいそうなので、鑑賞メモは書き残しておきたいのものですが、 最近はなかなかモチベーションが上がりません。うーむ。

[3629] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Apr 16 23:00:21 2018

平日の4月5日は仕事帰りに新宿二丁目へ。このライブを観てきました。

新宿 Pit Inn
2018/04/05, 20:00-22:30.
Kris Davis (piano), Eric Revis (doublebass).

New York の jazz/improv の文脈で活動する piano 奏者 Kris Davis と doublebass 奏者 Eric Revis が duo で来日した。 どちらも Clean Feed レーベルにリーダー作を残すなど、free 色濃い演奏の印象が強いが、 Revis はメインストリームの録音にも参加している bass 奏者だ。 途中休憩を入れて前半と後半、それにアンコール1曲で、約2時間半の演奏を聴かせた。

Kris Davis の piano は、内部奏法も駆使しつつ、比較的強いタッチで華やかな音を聞かせ、 (女性ということもあるのか) Myra Melford [鑑賞メモ] なども連想するところがあったが、 トレモロのような弾き方は少なく、もっと淡々とした印象。 あえて単調なテンポで弾く展開も多かったが、minimal ではなく、jazz 的なイデオムを強く感じた。 スタンダード的なメロディを使うときもあるのも一因と思うが、 アルコを用いずリズムを刻むように強くピチカートする Eric Revis のベースラインも、その一因のように聞こえた。 最近は jazz/improv のライブといっても、 folk 的だったり、classical だったり、electronica 風だったりばかりで、 ここまで jazz のイデオムの強い演奏のライブも久しぶりだったことに気づかされた。

このデュオに drums が加わったトリオや、さらに saxophone を加えたカルテットとして、 Eric Davis Trio/Quartet として録音を残してきているので、その編成でも聴いてみたかったが、 デュオだったので Kris Davis の piano をよく楽しめたのかもしれない、とも思った。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

主たる勤務先が横須賀 (それも陸の孤島の西地区) になってから、平日の晩に予定を入 れることが難しくなっているのですが、この日は急ぎの仕事が無かったので、 ふと思い立って18時前に職場を出て新宿に向かったのでした。夕食を取る余裕 とかはありませんでしたが、開演時間の20時にはギリギリ間に合ったのでした。 19時とか19時半は無理ですが、20時開演であれば頑張ればなんとかなるかもし れないとわかったのが収穫。