TFJ's Sidewalk Cafe >

談話室 / Conversation Room

TFJ's Sidewalk Cafe 内検索 (Google)
[3671] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Sep 18 0:24:44 2018

この週末の土曜は職場でやり残しの仕事を済ませた後に、仙川へ。このライブを観てきました。

Peter Evans + 石川 高 + 今西 紅雪 / 千野 秀一 ソロ / Peter Evans + 千野 秀一 + 坂本 弘道
JAZZ ART せんがわ 2018
せんがわ劇場, 仙川
2018/09/15, 16:30-18:00
Peter Evans (trumpet, piccolo trumpet), 石川 高 [Ko Ishikawa] (笙 [sho]), 今西 紅雪 [Kohsetsu Imanishi] (箏 [koto]); 千野 秀一 [Shuichi Chino] (piano); Peter Evans (trumpet, piccolo trumpet), 千野 秀一 [Shuichi Chino] (piano, urklavier, objects), 坂本 弘道 [Hiromichi Sakamoto] (cello, effects, objects).

去年 [鑑賞メモ] に続いて、今年も JAZZ ART せんがわ へ。 余裕があれば1日ゆっくり観たい所でしたが、ですが、日曜は既に予定あり。というわけで、観られたのは、土曜のこの坂本 弘道セレクションの公演のみでした。

Peter Evans は、Clean Feed などのレーベルに録音を残してきている NYを拠点に jazz/improv の文脈で活動する trumpet 奏者。 そんな彼を迎えて、前半は邦楽器とのセッション、千野のソロを挟んで、後半は千野、坂本とのセッションでした。 前半の邦楽器とのセッションといっても、雅楽の笙と、近世の楽器である琴という組み合わせからわかるように、 邦楽のイデオムを用いることは無く、音のテクスチャを重ねていくようなセッションだった。 Evans も、明確なメロディを演奏するどころか、マウスピースをまともに鳴らすようなことすらほとんどなかった。 千野の疎なピアノソロの後のセッションは、打って変わって、強い音で吹くことが多い展開。 千野もピアノだけでなく自作か大幅改造らしき urklavier という小型の琴のような弦楽器を、 そして、坂本もチェロを、ファンやバイブレータ、オブジェクトを使って音を駆使して、手数多く音を鳴らす展開。 直前にテクスチャを重ねるようなセッションがあったせいか、少し1970s風とも感じるフリーな即興セッションでした。

2008年に始まった日本の jazz/improv のミュージシャンをメインとしたフェスティバル JAZZ ART せんがわ ですが、 公式なアナウンスはありませんが、この2018年の第11回で ラストになるとのこと。 これは、会場の せんがわ劇場 の運営が直営管理から調布市文化・コミュニティ振興財団が指定管理者の下に移行するに伴ってのこと。 2015, 6年と行かなかったものの、初回から足を運んでいたフェスティバルだっただけに、一つの時代が終わったかかと感慨深いものがあります。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

夜の部はやめておいたのですが、帰ってすぐ寝落ちというか寝込んでしまったので、無理しなくて良かったかな、と。

[3670] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 16 13:42:26 2018

先週末の話になりますが、日曜の午後に新宿二丁目へ。このライブを観てきました。

新宿 Pit Inn
2018/09/09, 15:00-16:30.
Kristjan Randalu (piano)

ECM よりリーダー作 Absence (ECM, ECM 2586, 2018) をリリースしたばかりの Estonia 出身の piano 奏者がソロで来日した。 日曜の午後のライブは、アンコール2回を約1時間半程。 後半に内部奏法などを使った演奏もしたけれども、 端正でクラシカルに聴こえることもある、ECM らしいと感じられる、オーソドックスなピアノソロだった。

CDでは guitar 奏者 Ben Monder などと共演しているが、今回はソロということで、 CDで聴かれるほど疎に空間を感じさせるような演奏では無かった。 と言っても、アルペジオやトレモロで飾り立てるというより、 むしろ淡々とミニマルな反復のなかに強勢でメロディを浮かび上がらせるよう。 そして、そんな所に electronica 以降の jazz / improv との同時代性を感じた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

9月5日は台風21号の影響が残る中、一泊の予定で札幌へ。 昼はまだJR北海道が全線運休という中、バスや地下鉄を乗り継いてなんとか札幌に辿り着けたのですが、追い打ちをかけるように翌未明に北海道胆振東部地震が発生。 ホテルに宿泊できなくなった人も多かった中、ホテルが土曜までの延泊をさせてくれ難民状態を免れただけでも、幸運でした。 土曜の夕方には、なんとか帰ることができました。 3.11東日本大震災のような経験をすることはそうはあるまいと思っていましたが、まさか10年経たずして再び経験することになるとは。うむ。

[3669] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 2 20:38:26 2018

今週末は不安定な天気だったわけですが、そんな中、昼に水戸へ。この展覧会を観てきました。

Rei Naito: on this bright Earth I see you
水戸芸術館現代美術ギャラリー
2018/07/28-2018/10/08 (月休;9/17,9/24開;9/18,9/25休), 9:30-18:00 (9/1-10/8 9:30-17:00)

『信の感情』 (東京都庭園美術館, 2014) [鑑賞メモ] 以来となる国内での 内藤 礼 の個展。 前回の個展では繊細なインスタレーションで感覚を研ぎ澄ますようなインスタレーションが無かった。 この展覧会ではミニマリスティックなインスタレーションが多くあり、久しぶりに感覚を研ぎ澄ますような鑑賞が楽しめた。 こんな展覧会は『すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している』 (神奈川県立近代美術館鎌倉, 2009) [鑑賞メモ] 以来だろうか。

会場入ってすぐのインスタレーション「母型」 (2018) は細く白いテグスで直径数mmのスフレビーズ (透明な樹脂の玉) とを複数ある一定のエリアに疎らに垂らしたもの。 エリアの前後を締めるようにやはり直径1〜2mmのシルバーの鈴を垂らしていた。 テグスがあまりはっきり見えないので、空間が微かに発泡しているよう。

自然光のみの陰影のあるギャラリー空間に、 小さな鏡や木製の人型、垂らした白い風船、水を張ったガラス瓶など、 光の微かなきらめきや微かな空気の流れを意識させるようなインスタレーションは相変わらず。 また、がらんとした3番目のギャラリーに細い糸を2本垂らしただけという「無題」 (2018) や、 最後の薄暗いギャラリーの奥の高さ2〜3mの所に細い白糸と小さな白ビーズで疎なリングを2つ吊るした「Two Lines」 (2017) のような、 この辺りにあるはずだと意識的に目を凝らして探さないと見えないような作品もあった。

長い通路状の展示空間は窓がほとんど潰されて薄暗くなっていたのだけれど、 一箇所中程の高さ2mくらいの所に開けられた小窓「窓」 (2018) から入る光の繊細も良かった。 ガラスに白枠を付けて木製の人形などを配したものを壁にかけた「窓」と題された作品が10点あり、 この薄暗い長い空間にも2点展示されていたのだけれども、 遠目に見ると奥から入る光を反射してガラスが煌めき、まるで窓が開いているかのように見えたのも美しかった。

他にも、『信の感情』にもあった白いキャンパスにうっすら色が浮かぶような作品「color beginning」シリーズ、 ステンレス製の白い小さな水路に息を吹きかけ生じる波紋を観る「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」 (2018) のような、 繊細なミニマリズムを楽しむような作品が多いのだが、 そんな中、モデルの女性が写った白黒グラビアの雑誌の頁をくしゃくしゃにした上で壁に吊るした 「顔(よろこびの方が大きかったです)」に感じられた微かなキャンプ風味が、その意図が掴みきれないながら、少々気になった。

最後のギャラリーに、観客が持って帰ることができる白い丸い薄紙が置かれている。 ギャラリーは薄暗くて光にかざして見ても何か書かれているように見えなかったが、 一通り観た後のカフェでスマートフォンのカメラで撮って拡大して、何が書かれているのかやっと読むことができた。 寡黙なインスタレーションに静かに目をやり、そのささやかなな煌めきを眺めているうちに、こちらへ「おいで」と誘われていたのかと。そんな気になった鑑賞体験だった。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

ちょっとしたきっかけで、最近、Françoise Hardy: If You Listen (Kundalini, 1972) をよく聴いていたのですが、 まさに表題曲の歌詞のようなインスタレーションの展覧会で、これも何かの巡り合わせなのかな、と。

Now for something completely different...

フィギュアスケートの2018/19シーズンが開幕して、先週末から ISUJunior Grand Prix シリーズが始まりました。 Junior Grand Prix は YouTube チャンネルがあり、ストリーミング観戦の敷居が低いのがありがたいです。 先週末の Bratislava は Ice Dance を後追いて観た程度でしたが、 今週末の Linz は土曜晩にゆっくりライブで観てしまいました。 ちょっと気になる公演もあったのですが前売り完売状態でしたし、 不安定な天気で外出中にゲリラ豪雨に遭遇するリスクも高かったですし、 家でのんびりフィギュアスケート観戦するというのも悪くないかな、と。

[3668] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 26 19:29:52 2018

土曜は午後に横浜みなとみらいの新港地区へ。この舞台を観てきました。

横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
2018/08/25 15:00-16:00
Artistic Direction and Original Choreography Akram Khan; Direction and Adaptation Sue Buckmaster (Theatre-Rites).
Music Composition: Jocelyn Pook; Lighting Design: Guy Hoare; Stories imagined by Karthika Naïr and Akram Khan; The grandmother’s fable in Chotto Desh is taken from the book The Honey Hunter; Written by Karthika Naïr, Sue Buckmaster and Akram Khan.
Dancer: Dennis Alamanos.
Akram's voice: Masaya Mimura; Father's voice: Akira Koieyama; Mother's voice: Meg Kubota; Jui's voice: Lilian Carter; Japanese translation: Osamu Inoue & Yuko Inoue.
Producer: Claire Cunningham on behalf of AKCT
Co-commissioned by MOKO Dance, Akram Khan Company, Sadler’s Wells London, DanceEast, Théâtre de la Ville Paris, Mercat de les Flors Barcelona, Biennale de la danse de Lyon 2016 and Stratford Circus Arts Centre.
World Premiere: 23 October 2015, DanceEast, Ipswich, UK.

2013年に来日公演した Akram Khan Company の DESH [鑑賞メモ] を子連れ家族向けの作品として作り直した作品です。 明示的ではないものの、フライヤの作りにしても、この日本公演も夏休みの子連れ家族向けの公演という位置付けでしょうか。

主人公の Akram の一人舞台ですが、Akram だけでなく父母などのセリフのナレーションや効果音に合わせて踊るというもので、 Desh よりも、ナレーションが丁寧になっていたでしょうか。 Desh を観た時はわかりやすく作り過ぎではないかとも思いましたが、 子供にも観せる作品という心算で観るとむしろちょうど良いくらい。 作品のテーマも、バングラディシュの独立戦争の部分がほぼ削られ、むしろ、 移民の子のアイデンティティの問題や父子の葛藤をメインに据えた形になっていて、 そういったところも家族向け作品らしいと感じられました。

コンテンポラリーダンス作品として観ようなどという変な気構えで臨まなかったせいか、 National Theatre Live にありそうな、身体表現や象徴的表現が多めの現代的な演出の演劇を観ているような気分で楽しむことができました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

終演後、会場で偶然遭った友人と関内界隈のクラフトビールの店を21時頃まで(5時間!)ハシゴ。 あの界隈は個性的な店が沢山あって、開拓しがいがあります。 これから暫く DanceDanceDance@YOKOHAMA 2018 関連公演で横浜関内近辺へ行く機会が続くので、 暫くはこちらも楽しめそうです。

呑んでいる間は楽しいのですが、翌日にどっと疲れが出てしまいます(弱)。うーむ。

[3667] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 20 23:13:04 2018

土曜の晩は三軒茶屋へ。この舞台を観てきました。

2018/08/18 18:00-19:30
演出・振付: 目黒 陽介; 音楽: 坂本 弘道; 美術: 鎌田 朋子; 衣装: 田村 香織
目黒 陽介 (juggling), 長谷川 愛実 (aerial, dance), 谷口 界 (acrobat, dance), ハチロウ (juggling), 安岡 あこ (dance), 吉田 亜希 (aerial, dance), 入手 杏奈 (dance); 坂本 弘道 (cello, musical saw, electronics), 菅原 雄大 (cello, violin), 玉井 夕海 (voice, accordion)

コンテンポラリーサーカスのカンパニー ながめくらしつ [鑑賞メモ] の結成10周年となる公演。 主催の 目黒 陽介 はジャグラーで、活動当初はジャグリングの舞台作品を作るカンパニーを謳っていたが、 ジャグリングの技を見せるような場面はかなり後退し、ダンスやアクロバットの中に自然に溶け込むよう。 ジャグリングも、作品を構成する多様な身体能力の一つとなっていた。 伊坂 幸太郎 の短編小説『終末のフール』に着想したとのことだが、物語るような演出は無く、 むしろ、生演奏の音楽に合わせて抽象的に表現するような作品だった。

客席は入口側とその反対側の二面に設けられ、その間ほぼ中央に不揃いの方形の金属枠が3台置かれていた。 開演後すぐに舞台脇にあった身の丈が隠れる高さの板で舞台中央を塞ぎ、向こう側のパフォーマンスの様子がほとんど見えないようにして進んだ。 自分が座った側では、ミュージシャンは菅原と玉井の2人。 ダンスやアクロバティックな動きはもちろん、 ダンスやジャグラーとダンサーの絡み––長谷川が積極的に妨害するような動きをするものや、 安岡が脱力するようにジャグラーに身体を預けたり––などのパフォーマンスが繰り広げられた。 舞台中央の壁の向こう側がどうなっているか分からず全体像が掴めないというのは作品のコンセプトかと思うが、 空間、そして視野が狭くなってしまい、動きの面白さを殺してしまっていた。 もう一度向こう側も観てみたいと思うようなフックも無かったのは、物足りなかった。

そのうち、奥側で長谷川の、手前側で吉田のティッシュのエアリアルが始まった頃から、ぐっと舞台に引き込まれた。 対角線にティッシュを配することで高さだけでなく幅奥行きが広がり、仕切られていた空間がぐっと広がったよう。 そして、実際に仕切りは取り払われ、3つの方形の枠を自在に使ったバフォーマンスになった。 最初の枠を使った鉄棒やチャイニーズポールのような動きを密に組み合わせたような動きから、 谷口、安岡、入手をそれぞれをメインにフィーチャーしてのソロ的な動き、 そして、目黒とハチロウのジャグリングのデュオへと。 エアリアル以降は個々のパフォーマーをフィーチャーしたような構成もあり、個々の動きも楽しむことができた。 エアリアルだけでなく枠等を使った縦方向の動きでもシャープさを見せてくれた吉田や、 後半の3つの枠で作った三角形のスペースでの枠も駆使したアクロバティックな動きを見せてくれた谷口など、特に印象に残った。

今回の音楽も 坂本 だが、ドラムレスで、2人の cello に accordion という少々変則的な編成。 抽象的なヴォイシングながら女性ヴォーカルが入ることで、今までにも増して叙情的に感じられた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3666] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 19 20:32:23 2018

この週末は初秋のような涼しさ。 久々の散策日和だったので、土曜はランチがてら二ヶ領用水沿いを等々力緑地まで散策。 ついでにこの展覧会を観てきました。

川崎市民ミュージアム所蔵のポスターと町田市立国際版画美術館所蔵の絵本からなる、 ロシア革命後から1932年までのポスターと絵本の小規模な無料の企画展。 Владимир Маяковский [Vladimir Mayakovsky] の手がけたポスター Окна РОСТА [ROSTA Window] や Густав Клуцис [Gustav Kurtsis] のフォトコラージュのポスターなど、 Russian Avant-Garde の展覧会で観る機会の多いものもあったけれども、 この展覧会では、лубок [lubok] と呼ばれる民衆版画の流れを汲むという、しかし、より写実的で作家性の高い版画や、 Дмитрий Моор [Dmitry Moor] など風刺画をバックグラウンドに持つような作家のプロパガンダポスターに焦点を当てていました。 もちろん、Моор のポスターにも、同時代の Avant-Garde のデザインとの共通点は感じられます。

この時期の革命ロシアのグラフィックデザインの展覧会はそれなりに観てきているが [鑑賞メモ]、 Александр Родченкo [Aleksandre Rodchenko] のような構成主義的なアヴァンギャルドのものを中心に構成されることがほとんど。 Дмитрий Моор のポスターも観たこと、さほど印象に残っていませんでした。 小規模で構成主義が控えめな企画なだけ、民衆版画風や風刺画のプロパガンダポスターも少なからずあったのだな、と気付かされました。 無料の小企画展の上、観たことのある作品も少なからずありそうだったので、さほど期待していなかったのですが、意外と興味深く観ることができた展覧会でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3665] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 13 23:18:25 2018

先週末の土曜は昼前から神保町へ。 ソ連時代の1950年代から1980年代にかけて活動したジョージア [グルジア] の映画監督 Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。 彼の「祈り」三部作の上映が岩波ホールでやってます。 10年前に観た三部作の最後の作品 Покаяние [მონანიება / Repentance] 『懺悔』 [鑑賞メモ] の印象も良かったので、残りの2本を観てきました。

Мольба [ვედრება / The Plea]
『祈り』
1967 / Грузия-фильм (СССР) / 77 min. / B+W
Режиссёр: Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。

19世紀ジョージア [グルジア] の詩人 Важа Пшавела [ვაჟა-ფშაველა / Vazha Pshavela] の叙事詩に基づくという映画。 都市での様子からして舞台は19世紀かと思われますが、旧式な銃程度で近代的な文化はほとんど入ってきていないコーカサスの山中が舞台。 主人公キリスト教徒の戦士 Алуда は敵対するイスラム教徒の戦士を討ち取るのですが、敵戦士への敬意を払ったことを咎められ、属する部族から追放されてしまいます。 放浪ののち、討ち取った戦士の身内に客人として迎えられるものの、その部族の人々に気付かれ、捕らえられ、討ち取った戦士の墓の上で処刑されてしまいます。 映画は、象徴性の高い画面構成の白黒サイレント映画にナレーションや音楽を付けたような作り。 セリフは一部の例外を除いてそのまま使われず、口の動かない映像にアフレコで言葉を付けているので、発話なのか内面描写なのか判然としません。 コーカサス山中の草木の少ない自然の風景や石造りの建物を捉えた白黒の映像は、見慣れないこともあって、まるで異星のよう。 レズギンカ (民族舞踊音楽) やポリフォニーなど、コーカサスらしい音楽が多く使われていました。 冒頭の場面で Алуда のもとへ客人として訪れてきた女神のような女性が、 Алуда 処刑の後、Алуда の部族に処刑 (乞食と結婚させられた上で絞首刑) されるのですが、 象徴的とはいえ、若干蛇足のようにも感じられてしまいました。 淡々と余白の多いミニマリスティックな作りで、宗教対立の不条理を物語ってくるというよりも、 音楽的、詩的とも感じる映像が印象に残る映画でした。

Древо желания [ნატვრის ხე / The Wishing Tree]
『希望の樹』
1976 / Грузия-фильм (СССР) / 107 min. / colour
Режиссёр: Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。

ソ連時代のグルジアで活動した小説家 Георгий Леонидзе [გიორგი ლეონიძე / Georgii Leonidze] の短編集に基づくという映画。 舞台は、ロシア革命直前の20世紀初頭のグルジアの農村。 母を失い父と祖母の家に移り住んできた美しい娘 Марита [Marita] は従兄弟の Гедиа [Gedia] と相愛の仲となるが、 村長の意向もあり裕福な農家の息子 Шэтэ [Shete] と結婚させられる。 Шэтэ が家を空けた間に Марита に会いに Гедиа が訪れるが、それを知られた Марита は村中を引き回しの上、処刑されてしまう、という物語です。 同じコーカサスの山中を舞台にしても、色付きで見ると、かなり現実的。 セリフが入って、個々の登場人物の描き込みが深くなり、ぐっと物語性が強くなったよう。 叙情的とも感じられる美しい映像表現も残していましたが、人物描写に基づくユーモア、皮肉がぐっと表に出てきていました。 美しい Марита や素朴な好青年 Гедиа よりも、 ボロボロながら19世紀後半の都会の女性のような服装をした白塗り化粧の年齢不詳の女性 Фуфала [Pupala] や、 村中の男に色目を使う女、不誠実そうな聖職者、子供相手に革命を語る革命家、「希望の木」を求め歩いて凍死してしまう男など、 個性的な脇役の方が味わい深いです。 革命前をノスタルジックにではなく因習や迷信に囚われた社会として描く (特に聖職者を否定的に描く) あたりは、ソ連映画らしいとも感じました。

後になるほど描写の象徴性が薄れてナラティヴになり、ユーモアを強めて行くように思いますが、 19世紀の宗教対立を背景とした Мольба、 ロシア革命前の因習や迷信に囚われた農村を背景としたДрево желания、 そして、革命後のスターリンの大粛清を背景とした Покаяние と、 不条理な社会によって善良な個が殺されるという救いの無い悲劇を描いた映画という点で、 なるほど共有するテーマも感じられる映画でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3664] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 12 18:32:48 2018

10日金曜は夏季休暇を取ってのんびり。午後に大崎というか御殿山へ。この展覧会を観てきました。

小瀬村 真美
『幻画〜像(イメージ)の表皮』
原美術館
2018/06/16-2018/09/02 (月休;7/16開;7/17), 11:00-17:00 (水11:00-20:00)

今年の2月に恵比寿 MA2 Gallery でのグループ展で観て気になった作家 [鑑賞メモ] の展覧会。 その時はベールを撮った写真作品だったが、 今回の展覧会はルネッサンス期の静物画や肖像画をに基づく作品が中心に構成されていた。 それも、ルネッサンス期の絵画を動かすことで異化してイデオロギーを表出させるシミュレーショニズムというより、 それを題材としたミニマリスティックな時間変化表現を追求した「液晶絵画」作品 (もしくは写真) だった。

静物画の構図どおりに実際の物を配置して、長期間に渡るインターバル撮影で写真アニメーション化した「黴」 (2003) など、 その「静物」が朽ちていく様など 『液晶絵画』展 (東京都写真美術館, 2008) で観た [鑑賞メモ] の Sam Taylor-Wood の “Still Life” (2001) や “Little Death” (2002) を思い出させるものがあった。 もしくは、静物画のように物を並べたテーブルの上に物を落とすとほぼ同時にテーブルクロスを引いてテーブル下に物を落とす様を高速度カメラで撮影し スローモーション化した “Drop Off” (2015) など、 Bill Viola [鑑賞メモ] の高速度カメラを使った静物画バージョンのよう。 ただ、インターバル撮影写真アニメーションと高速度カメラスローモーションが併置されたことで、 一見静止画に見えるようなミニマリスティックな時間変化表現の両側を見るような面白さになっていた。

2月にも観たベールから人物を消した写真シリーズ “Veil” (2011) や、 静物にかけた薄布をドレープの形を残して薄布だけオプジェ化した “Drape” シリーズ (2013-2014) にも、 彼女の拘りを感じたけれども、「黴」と “Drop Off” の対比ほどは印象は強く残らなかった。

原美術館の展示は写真撮影可能な場合が多く、併設のレストランも以前は撮影可能だったのですが、 今回行ったら撮影不可となっていました。 中庭も綺麗でいわゆる「インスタグラム映え」しそうな場所なだけに、撮影をする人も多く、それに伴いトラブルも多かったのでしょうか。 それ自体は仕方ないかとは思うのですが、 今まで観に行く度に展覧会のイメージケーキを写真に記録してきたので、それができなくなってしまったのは、少々残念。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3663] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sat Aug 11 0:18:07 2018

先週末の土曜8月4日の話ですが、日比谷で展覧会を観た後は、御茶ノ水へ移動。 ソ連・ロシア映画の上映会プロジェクト KINØアテネ・フランセ文化センターの主催で、 ソ連の映画監督Александр Медведкин [Aleksandr Medvedkin] の1930年代の映画の 上映会があったので、観てきました。

Счастье
『幸福』
1934 / Москинокомбинат (СССР) / 65 min. / B+W / silent
Режиссёр: Александр Медведкин

無能な農夫「クズ」を主人公に、ロシア帝国時代から集団農場時代の変化を風刺的に描いた映画。 時代はすでに社会主義リアリズムですが、風刺画的な誇張がされた描写で、シュールというかマジックリアリズム的にすら感じます。 農業の集団化の陰の面はほとんど風刺の対象となっていないのは、この時代では仕方ないでしょうか。 2000年の上映会の時に観たことのある映画、その時に観た印象 [鑑賞メモ] と大筋ではさほど変りませんでしたが、 細部、特に後半の記憶がかなり脱落していたことに気づかされました。 内戦時の描写もあったような記憶があったのですが、実際はバッサリ字幕説明で飛ばされていて、何と混同していたのだろう、と。 バッサリ飛ばす字幕の説明が不条理で、それはそれで面白かったのですが。

Новая Москва
『新しいモスクワ』
1938 / Мосфильм (СССР) / 77 min. / B+W
Режиссёр: Александр Медведкин
[YouTube]

1938年に制作されるも、Сталин [Stalin] の不興を買い、お蔵入りしていたという映画。 舞台は1930年代のソ連。シベリアで開発に従事する技術者 Зоя は、 当時進められていたモスクワ改造計画に憧れて作った電動式模型と映画を組み合わせた装置を モスクワの展覧会で展示することになり、モスクワに出ることとなった。 その時の話を、恋愛も絡めてコミカルに描いた映画でした。 といっても、ロマンチックコメディとしては描写があっけらかんとし過ぎて、少々物足りなく感じました。 当時進んでいたモスクワ改造の様子、教会や古い街並みが爆破で取り壊されて行く様子、近代的な橋への架け替え、道路の拡幅や地下鉄の建設、結局完成しなかったソヴィエト宮殿など、 1930年代のモスクワ改造の様子を垣間見ることができました。 2011年にモスクワを訪れたことがあり、あの街の構造がこうしてできたのかと、感慨深く観ることができました。 この映画は、モスクワ改造計画やシベリア開発のプロパガンダ映画という面もあったと思いますが、さほどプロパガンダ臭を感じさせることはなく、 近代化による生活改善の素晴らしさだけでなく、古い街並みに対する感傷も描いていました。 そんな所が逆に Stalin の不興を買ったのかもしれません。

ところで、Интернет-музей Центральная студия документальных фильмов というプロジェクトが、 YouTube Channel を作っていて、この映画を全編公開しています。 それ以外にも1920〜1940年代の映像を多くアップロードしています。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3662] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 6 23:35:26 2018

危険な猛暑が続きますが、この週末の土曜は、昼に日比谷へ。この展覧会を観てきました。

『大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン』
千代田区立日比谷図書文化館
2018/06/08-08/07 (6/18,7/16休), 10:00-20:00 (土-19:00,日祝-17:00)

1910年代後半から1930年代前半にかけての日本のモダンなグラフィックデザインの展覧会。 杉浦 非水、竹下 夢二、小村 雪岱、古賀 春江、村山 知義など。 近年だと『描かれた大正モダンキッズ 婦人之友社「子供之友」原画展』 (板橋区立美術館, 2016) [鑑賞メモ] などあり、 それなりに観てきているので、新鮮に楽しめたという程ではありませんが、 やはりこの時代のグラフィックは好みです。 すっかり忘れていて、展覧会を観ている間は気付かなかったのですが、 大正イマジュリィ学会が協力しているということで、 『大正イマジュリィの世界 —— デザインとイラストレーションのモダーンズ』 (渋谷区立松濤美術館, 2010) [鑑賞メモ] と内容はかなりの被っていたのでしょうか。

最も目を引いたのは、やはり、1920年代後半の大阪松竹座のグラフィックデザイン。 特に『松竹座ニュース』はほとんどロシア構成主義デザイン。 実際にロシア構成主義デザインのポスターか出版物と思われるものをコラージュしたデザインもあったので、影響は直接的だったのでしょう。 そんな表紙に、戦前松竹映画でのタイアップでも知られるクラブ白粉の広告が一緒にコラージュされてるという所が、実に面白く感じました [関連する鑑賞メモ]。 現在の大阪松竹座は歌舞伎、新派や新喜劇を主に上演する劇場になっていますが、 当時は海外の演劇や舞踏の公演もあり、映画上映や音楽コンサートもあるホールだったとのことで、 モダンの最先端だったのだろう、と。 戦間期の大阪松竹座に焦点を当てた展覧会などあったら、観たいものです。

鷲田 清一 (編著) 『大正=歴史の踊り場とは何か』 (講談社選書メチエ, 2018) での「大正」もそうですが、 元号が大正の1910年代半ばから年号が昭和に改まって戦時色が強くなる1930年代半ば頃までをまとめて 「大正(モダン)」と呼ぶことが多いわけですが、 震災復興後のモダン都市東京などを「大正モダン」と呼ぶのは、やはり微妙に違和感を覚えます。 大阪松竹座も1923年オープンで、1925年には改元があるわけですし。 元号で社会が変わるわけでもなく、元号で呼ぶと日本一国史的な色が強くなりますし、 戦間期という元号に依存しない呼称の方がまだマシなのではないか、と感じることが少なくありません。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3661] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 5 20:04:27 2018

ジョンダリ台風が迫った先週末の土曜は、映画だけ観て帰ろうかと思っていたのだけれど、 観終わった時点でまだ3〜4時間は余裕がありそうだったので、神保町から竹橋へ足を伸ばして、 この展覧会を観てきました。

Gordon Matta-Clark
Mutation in Space
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2018/06/19-2018/09/17 (月休; 7/16,9/17開; 7/17休), 10:00-17:00 (金10:00-21:00).

1970年代にニューヨーク拠点に活動し、1978年に35歳で夭折した現代美術作家の回顧展。 再開発エリアの使われなくなった建物を切断したり穴を開けたりする ”Building cuts” のプロジェクトで知られている。 ”Building cuts” については、今までも写真やビデオ、図面などで見たことはあったし、 今ならビデオプロジェクション程度で済ましてしまうことが多いだろうが、 実際に建物を半ば破壊的に手を加え「空間を変容」させてしまう力強さや面白さを感じていた。 しかし、写真やビデオなどの資料では、実際にどのように穴を開けていたのか全体像を掴みづらいものがあった。 今回、展示されていた1:8模型を見て、なるほどこのようになっていたのかと腑に落ちた。 また、このような作品の背景として、1970年代のニューヨークは治安が悪化し富裕層が郊外へ移住し人口が流出し、都市問題が噴出していたこと、 そして、Gordon Matta-Clark が作品とできるような建築物が多くあったことにも気付かされた。

確かに、1971-73に運営したレストラン FOOD は、オルタナティヴスペースの先駆とも言えるものとは思うけれども、 Matta-Clark の活動を「都市への介入」とまで言うのは過大評価なようにも感じられてしまった。 1973年以降、「メタファーとしての空隙、隙間、余った空間や、放置されたまま活用されない空間」あるいは「もし機能があるとしてもあまりにばかばかしいので、機能という考え方自体が馬鹿にされてしまっているような空間」を見いだそうと “Anarchitecture” というグループによる活動を展開したとのこと。 これには、赤瀬川 原平 の『超芸術 トマソン』 (1982) やトマソン探しをした「路上観察学会」も連想させられた。 テイストはかなり異なるわけだけど、Anarchitecture から『超芸術 トマソン』への影響はあったのかもしれない。 そして、Matta-Clark のクールで強力な作風 (実際に建物に手を入れてしまう) と、 赤瀬川 原平の力の抜けた諧謔味の違いも – 時代やお国柄の違いというより作家の個性の違いと思うが – 興味深く感じられた。

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[3660] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Jul 31 21:25:31 2018

ジョンダリ台風が迫った土曜は、大荒れになる前に、と、午前のうちに神保町へ。 神保町シアターの特集 『映画で愉しむ――石坂洋次郎の世界』から、 この映画を観てきました。

『若い人』
1937 / 東京発声 / 白黒 / 81min.
監督: 豊田 四郎. 原作: 石坂 洋次郎 『若い人』
市川 春代 (江波 恵子), 小日向 傳 (間崎 慎太郎), 夏川 静江 (橋本 スミ), 英 百合子 (江波 ハツ), 山口 勇 (江口 健吉), etc

あらすじ: 函館の女学校で生徒に人気の教師の間崎は、酌婦の私生児で問題行動が多い生徒の江波を親身に指導する。 江波は間崎に好意を寄せ、間崎の注意を引くべく問題行動を繰り返す。 間崎に好意を寄せている女教師の橋本は、江波への指導について間崎を諌める。 間崎は東京への修学旅行の引率するが、往路の間、江波と一緒にいることの多い真崎を見て、他の生徒たちは二人の仲を疑うようになる。 東京では、橋本の義母が間崎を面会に訪ね、橋本を将来の妻にと言われる。 面会の様子を盗み聞きしていた江崎は、帰路では真崎の注意を引く行動をしなくなり、修学旅行後は学校を休みがちになる。 やがて、江波が休みがちになっているのは真崎の子を妊娠したからではないかという噂がたち、その噂を知った橋本は真崎を遠ざける。 そんな中、女生徒の寮で盗難騒ぎがあり、捜索中に橋本は江波の診断書を目すする。 それで間崎の潔白を知り、橋本は間崎との仲を戻す。 ある晩、母と喧嘩をした江波は、間崎の下宿に転がり込んでくる。 間崎は江波を泊めるわけにはいかないと、橋本に彼女を託す。 橋本は嫌がる江波を連れて行こうとするが、やがて江波が間崎に好意を寄せていることに気付く。 橋本は江波を待たせて、間崎の元へ戻り、彼に江波と結婚するように言う。 間崎はそんな橋本を自分に正直になれと諭すのだった。

石坂 洋次郎 原作の戦前映画といえば、清水 宏 監督の『暁の合唱』 (松竹大船, 1941) が素晴らしかったので [鑑賞メモ]、 他の作品はどうなのだろうという興味で観てきました。 学園物というほど女生徒間のやりとりが描かれず、かなりメロドラマ的でした。 原作とは異なり、間崎は江波をあくまで生徒として接しようとするよう描いていましたが、 それでも女学校を舞台とした男性教師と女生徒、女性教師の三角関係という設定は現代ではありでしょうか。 その設定はさておき、三角関係メロドラマとして見た場合、 女性を挟んでの三角関係が無いという設定のせいか、松竹映画のような繊細な女性描写を得意としないせいか、 女性の登場人物の心理描写が薄く、あくまで間崎が主人公の映画でした。 原作とは異なる展開の、江波を外に待たせたままという所での終わり方も、 観ていて半端に感じられましたが、これは続編を作るつもりだったのでしょうか。

『暁の合唱』もありますが、清水 宏 は女学校を舞台とした学園物『信子』 (松竹大船, 1940) も撮っています。 そんなこともあって、清水 宏 だったらどう撮ったかな、と思いつつ観てしまいました。 女性の描写の巧さだけでなく、もっと野外ロケをうまく使ったのではないかと。 映画は函館を舞台としていたのですが、 函館山の麓の洋館が並ぶ街並みや、連絡船の着く港の様子など、 函館の街の様子がよくわかるショットがほとんど無かった (そもそも函館でロケをしたかも怪しい) のは、残念でした。

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[3659] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 29 20:30:33 2018

先週末の日曜は、午後に高円寺へ。この舞台を観てきました。

ガラピア・シルク 『マラソン』
座・高円寺 1
2018/07/22, 15:00-16:30.
De et Avec: Sébastien Wojdan; Mise en piste: Sébastien Wojdan / Gilles Cailleau.
Un spectacle Galapiat Cirque / Sébastien Wojdan; Création janvier 2013.

座・高円寺の夏の子供向けプログラム『世界をみよう!』の今年の現代サーカスの演目は、 Galapiat Cirque の Sébastien Wojdan 独り舞台。 得意技と思われるナイフ芸 (knife throwing) を中心に、ジャグリングに綱渡りやアクロバティックな動きと芸も多彩。 さらに音楽も自身で楽器を演奏し、ギター、ベース、サックスにトランペットを演奏しそれをルーパーで回してライヴで音を重ねて音楽を作り出して行くという。

実に多芸なのだが、エンターテナー的に観客にフレンドリーに技をアピールして見せて行くのではない。 服装もグレーのTシャツに黒いパンツという地味な服装で、短く刈り詰めた髪型に短い髭と少々強面。 芸に用いる道具も黒い板や金属の網など、暗く色味を抑えたものが多い。 まるで修行しているかのように淡々とストイックに芸を見せていくのだが、 それが、一歩間違えると大怪我をするスリリングなナイフ芸に合っていた。 一人で休みなく淡々と約1時間半、汗だくになりながら芸を続ける様子は、長距離走を走るようで、 開演時に測った76.9kgの体重が、終演後には75.4kgと、1.5kgも減っていた。 それがこの演目のタイトルの由来のようだ。

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[3658] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 22 20:22:01 2018

この土曜も猛烈な暑さになりましたが、そんな中、昼過ぎに東池袋へ。この舞台を観てきました。

あうるすぽっと
2018/7/21, 14:00-15:30.
Idée originale et écriture du spectacle: Vincent Dubé; Direction artistique et mise en scène : Vincent Dubé
Interprètes: Yohann Trépanier, Raphaël Dubé, Maxim Laurin, Ugo Dario; Olivier Forest (musicien).
Compositeur: Frédéric Lebrasseur.
Crée: May 2015.

Machine de Cirque は、カナダ・ケベック州ケベック・シティを拠点に2013年に設立されたコンテンポラリーサーカス・カンパニー。 まだレパートリーは2作品だけのようだが、カンパニー名ともなっている最初の作品で来日した。 コンテンポラリーダンス作品に多く観られる抽象的でコンセプチャルな作品でもなく、 象徴的な演出で大きなストーリーを浮かび上がらせる程でもなく、 比較的素朴に技を繋いで行くような演出だったけれども、 ミュージシャンも技に絡みつつ、アクロバティックなパフォーマンスも楽しい舞台でした。

スチールパイプで三段の足場を組んで、両翼にチャイニーズポールとなる柱を二本組立てた装置を使ってのパフォーマンス。 出演は男性ばかりの4人ということで、技は力強くコミカルなものが中心。 アクロバットにトラペーズとチャイニーズポールの組み合わせや ティーターボード (teeterboard) だけでなく、 ジャグリング、一輪車などの技も組み込んでいました。 女性の観客を舞台に上げての好色なキャラクターによるコミカルなマイム劇や、 素っ裸になってのタオルを使ったジャグリングなど、おバカな演技も交えて、笑いを取っていました。 大道芸フェスティバルの中の特別プログラム等に組み込むと受けそう、と思ってしまいました。 アーティなコンテンポラリーサーカスも好きですが、こういうサーカスも楽しいものです。

音楽は、アコースティックなドラムセットと電子楽器も組み込んだパーカッションのセットを使い分けつつ、パーカッシヴな生演奏。 それも、ミュージシャンに脇での伴奏に徹させるのではなく、セットを可動式にしてパフォーマンスに巻き込み、 ミュージシャンも、セットに留まらず、足場自体を打楽器にしたり、ミュージカル・ホースを使ったり、 フィナーレのティーターボードの場面にはエレクトリックなカヴァキーニョかウクレレを弾い歩いたりもしました。 やはり、サーカスの音楽は生演奏の方が、パフォーマンスも盛り上がります。

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[3657] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Thu Jul 19 23:41:51 2018

先の土曜の午後は、炎天下の中、早稲田大学戸山キャンパス33号館へ。 4月から少し空きましたが、今回で第50回となる 桑野塾に顔を出してきました。 今回のテーマは「シャガール!クレズマー!チンドン!」で2件の報告がありました。

1件目は武隈 喜一「シャガールの聴いた音――クレズマーとイディッシュ演劇」。 第一次世界大戦によってパリに戻れなくなった Marc Chagall が、革命後の1922年にパリに戻るまでの間、 活動に関わったモスクワの国立ユダヤ人劇場 ГОСЕТ (Государственный Еврейский Театр) [GOSET] や その演出家 Алексей Грановский [Alexis Granowsky] の話でした。 ユダヤ人劇場といっても宗教色はさほど感じられず、むしろ Мейерхольд の Биомеханика や ФЭКС の Эксцентризм と共通する点の多い前衛的な作風だったとのこと。 しかし、音楽監督 Лев Пульвер [Lev Pulver] が ГОСЕТ での演劇作品のために作った音楽はクレズマーだったとのこと。 ГОСЕТ で録音された Pulver の音楽の録音は残っているようで、 CD にもなっているようです。 また、演出家 Грановский は映画監督としても活動していて、ГОСЕТ の俳優も多く出演しているサイレント映画 Еврейское счастье [Jewish Luck] (1925) は、 YouTube で全編観ることができます。

後半は、大熊 ワタル・こぐれ みわぞう「チンドン・クレズマー 交流見聞録」。 ここ数年に交流を深めた海外のクレツマーのミュージシャンや海外のフェスティバルの話でした。 カナダの大規模なサマーキャンプ KlezKanada や トロントの Ashkenaz Festival の話など。 しかし、最も興味を惹かれたのは、Brave Old World の Alan Bern によるプロジェクト Semer Ensemble。 ベルリンで Hebräische Buchhandlung [Hebrew Bookstore] を経営していた Hirsch Lewin がナチスが政権を取る直前の1932年に設立したレーベル Semer (1938年に突撃隊によって襲撃され活動を終えています) が残した戦間期ベルリンのユダヤ人の音楽を再演するプロジェクトです。 少し聴いた限りでは、クレズマーというより戦間期のカバレットソングに近く聴こえました。 2016年には Piranha からCDもリリースされていたのですが、完全に見落としていました。 というか、今年の2月に Alan Bern が来日していたことにも気付いていませんでした。うーむ。

今回は久々に久々に懇親会まで参加できて、とても楽しめました。 最近は趣味生活も低調になってしまっていますが、このような会で色々話を聞くと、 もっと色々観たり聴いたりしたいという好奇心が刺激されて良いなあと、つくづく。

[3656] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jul 16 22:26:12 2018

先の水曜11日は仕事で都心に出ていたので、仕事帰りに京橋へ。 国立映画アーカイブで、 開館記念の企画の1つとして、また、日本におけるロシア年2018の一環として 『ロシア・ソビエト映画祭』が始まりました。 ということで、まずはこの映画を観てきました。

Матильда [Mathilda]
『マチルダ 禁断の恋』
2017 / 108min. / color.
Фильм Алексея Учителя [A film of Alexei Uchitel]
Сценарий: Александр Александров [written by Alexander Aleksandrov]; Оператор: Юрий Клименко [director of photography: Yuriy Klimenko]; Хореограф: Алексей Мирошниченко [ballet choreographer: Alexey Miroshnichenko]
Музыкальный Руководитель: Валерий Гергиев [music producer: Valery Gergiev]; Композитор: Марко Белтрами [music by Marco Beltrami]
Michalina Olszańska (Матильда Кшесинская [Mathilde Kschessinska]), Lars Eidinger (Николай Александрович [Nicholas Alexandrovich of Russia]), Данила Козловский [Danila Kozlovskiy] (Воронцов [Vorontzov]), Григорий Добрыгин [Grigoriy Dobrigin] (Андрей Владимирович [Andrey Vladimirovich]), Luise Wolfram (Алиса Гессен-Дармштадтская [Alix von Hessen-Darmstadt]), Thomas Ostermeier (Фишель [Dr. Fischel]), etc
Rock Films, ООО «Матильда», Фонда Кино, Мариинский Театр [Kinostar presents Rock Films, Mathilde ltd. and Mariinsky Theatre with the support of Russian Cinema Fund present]
予告編 [YouTube]

去年公開されたばかり新作、19世紀末のロシア皇室を舞台とした歴史メロドラマ映画です。 自伝本『ペテルブルグのバレリーナ クシェシンスカヤの回想録』(平凡社, 2012; Souvenirs de la Kschessinska, 1960) で知られる サンクト・ペテルブルグのマリインスキー劇場 (Мариинский Театр) のバレリーナ マチルダ・クシェシンスカ (Mathilde Kschessinska) (ポーランド人で「クシェンスカヤ」はロシア名のカタカナ表記) と、 後にロシア皇帝ニコライ二世と皇太子ニコライ (Николай Александрович) の、 ニコライの皇帝即位とヘッセン=ダルムシュタット公女アリックス (Alix von Hessen-Darmstadt) との結婚によって終わる恋を描いています。 自伝本は未読でメロドラマチックな物語にどれだけ脚色が入っているのか判断しかねますが、 舞台もエカテリーナ宮殿 (Екатерининский дворец) やマリインスキー劇場ということで、実にゴージャスなメロドラマでした。 自分の好みとは少々異なる映画とも思いましたが、 まさに「市民に夢と感動を与える視覚芸術」としてのオペラ・バレエの継承者としての映画 [関連メモ] と納得することしきりでした。

ニコライと愛人マチルダ、婚約者アリックスの三角関係だけでなく、 ニコライとの仲を裂こうとする皇后 (ニコライの母)、 さらにマチルダを巡る男たち、マチルダへ一方的に狂信的に恋する下士官ヴォロンツォフ (Воронцов)、 マチルダに献身的に尽くすニコライの従弟アンドレイ (Андрей Владимирович) (後に愛人関係となり、ロシア革命時に亡命したパリで結婚) など、 重なり合う三角関係や身分違いの関係が物語を駆動していきます。 女性側はマチルダとアリックスの直接対決の場面などメロドラマチックな見所がありましたが、 男性側の人物描写が薄かったのが物足りませんでした。 ヴォロンツォフは内面を描かない事でグロテスクな人物に仕立ていましたが、 階級の違いに対するルサンチマンもっと表に出した方が面白くなったのでは。 ロシアでの公開時にロシア正教によって聖列されている皇帝の名誉を傷つける作品として議論を呼んだいう評判を耳にしていましたが、 さほどスキャンダラスではなく、かなりオーソドックスなメロドラマ映画に感じられました。

実際のエカテリーナ宮殿やマリインスキー劇場でロケをし、 マリインスキー劇場が制作に協力したことも話題の映画で、マリインスキー劇場バレエ団による舞台の再現なども確かに見所とは思います。 観るまで気付いていなかったのですが、2017年に来日した Малый драматический театр (ロシア国立サンクトペテルブルグ マールイ・ドラマ劇場) [鑑賞メモ] で主演していた Данила Козловский が、ヴォロンツォフ役を怪演していました。 主役ニコライを演じた Lars Eidinger は Schaubühne Berlin (ベルリン・シャウビューネ劇場) [鑑賞メモ] の俳優で 2005年来日の際に Nora に Dr. Rank 役で出演していました [鑑賞メモ]。 特に狙って観に行ったわけではないのですが、意外なことに、舞台で生で観たことがある俳優が主要な役で出ていた映画だったんだな、と。 Schaubühne に関しては、アリックス役の Luise Wolfram も元劇団付き俳優で、 アリックス付きの医師フィッシェル役は芸術監督 Thomas Ostermeier が演じているという。 どうやら、Schaubühne も映画制作にかなり協力していたようです。 そんな所も観どころの映画かもしれません。

ちなみに、今年の12月に日本公開が決まったようです [CINRA.NETの関連記事]。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

しかし、今年は『日本におけるロシア年2018』なのですが、 公式サイトらしきサイトにも情報がほとんど無く、 どこで何をやっているのか、ほとんど掴めません。どうしたものかと。

[3655] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 8 20:55:34 2018

先週末の土曜の話ですが、昼に池袋西口 東京芸術劇場で TACT/FESTIVAL 2018 を観た後、埼京線で与野本町へ。 この舞台を観てきました。

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2018/06/30, 15:00-16:40.
Mise en scène et chorégraphie: Philippe Decouflé; Assitante chorégraphique: Alexandra Naudet
Musiques originales: Pierre Le Bourgeois - Peter Corser, Raphael Cruz et Violette Wanty (Duo), Cengiz Djengo Hartlap.
Avec: Flavien Bernezet, Alexandre Castres, Meritxell Checa Esteban, Julien Ferranti, Suzanne Soler, Violette Wanty.
Eclairages et régie générale: Begoña Garcia Navas; Conception vidéo et réalisation: Olivier Simola et Laurent Radanovic; Scénographie: Alban Ho Van, assisté d'Ariane Bromberger; Création costumes: Jean Malo, Laurence Chalou (Vivaldis), Assistés de Charlotte Coffinet et Peggy Housset.
1. Duo 『デュオ』 2. Le Trou [The Hole] 『穴』 3. Vivaldis 『ヴィヴァルディ』 4. Évolution [Evolution] 『進化』 R. 5. Voyage au Japon [A Journey to Japan] 『日本への旅』
Première: La Coursive - Scène Nationale de la Rochelle, 16 Mai 2017

最近は2年おき程度の頻度で来日している Cie DCA - Philippe Decouflé [鑑賞メモ]。 今回の来日での演目は新作短編集ということで、作風の異なる5編とインタリュード的なエアリアルの演技1つという構成。 もともと作風にバラエティショー的ながあるとはえいえ、全体としては少々見応えに欠けたが、 Decouflé のアイデアの引出の多様さを楽しむことができた。

最初の Duo は、 前回来日の Contact ではポップアイドルのように歌って踊った Violette Wanty と、 やはりカウンターテナーで歌った Julien Ferranti の2人が、 楽器を演奏しつつ、歌いつつ、踊るという作品。 (正確には、flute を差し出したり、upright piano を押し動かすもう一人の3人構成。) Julien は upright piano を弾きつつ、Violette は flute を弾きつつ。 アクロバティックなポジションで flute を吹くという技も見せつつ、 カバレット風の落ち着いた大人な雰囲気でまとめていたのも良かった。 サーカスでは、パフォーマー自ら歌い演奏することが少なくないけれども、 コンテンポラリーダンスでダンスと演奏と歌をここまで一体化させるというのも、さすが Decouflé らしい。 最近、歌手にダンスを踊らせる現代演出のオペラを続けて観たばかりだが [鑑賞メモ]、 コンテンポラリー・ダンスではダンサーにも歌や楽器演奏のスキルを求められることも増えていくのかもしれない。

続く Le Trou は、 Duo の二人が床に開いた穴から顔や手足を出しての、少しコミカルなパフォーマンス。 後半になると Decouflé が穴からせり上がるようにして登場。 スリット穴だらけのスーツから、まるで手品をするかのように手を出し入れする動きを見せた。

短編3作目は Vivaldis は、タイトル通り バロック後期18世紀初頭のヴェネチアの作曲家 Antonio Vivaldi を使ったダンス。 時に Découflé も加わったが、6人のダンサーが、 カラフルなニットのレオタードもしくはジャンプスーツのような衣装と飾りのある目出し帽というスタイルながら、 時にバレエスタジオにあるようなバーを用意し、バレエ的な動きを多用したダンスを繰り広げた。 衣装だけでなく、ループ状に動きを繋ぐかのようなコミカルな動きを見せたり、逆光でシルエットで見せたり、と Decouflé らしいセンスも感じたが、 クラシックの曲を使いバレエのイデオムを多用するという意外な面を見たようにも感じた。

短編4作目は、Évolution は、6人のダンサーによるライヴでビデオ撮影投影を駆使したパフォーマンス。 下着のような衣装で、複数設置されたカメラの前で踊り、映像投影とダンスを組み合わせて行く。 舞台背景を上下二段に割って、下は映像を投影せずにダンサーの背景とし、上段に平行移動するように映像を投影するというのが、基本パターン。 そこに live electronics を駆使した即興ライヴでディレイをかけたりループさせるかのように、過去の動きをスチルで固定したり。 違う場所での2人のダンスを映像上ではまるで組み合って踊っているように見せたり、と、精度の高い動きが出来ないと難しいトリッキーなこともして見せていた。

この後はインターリュード的に差し込まれた R とだけ示された Suzanne Soler によるエアリアルパフォーマンス。 低い位置で大きくスイングしながら、フロアの男性ダンサーと半ば組むかのように踊るというもの。 少し暗めで色を抑えた演出で、舞台全面に半透明のスクリーンを置いて、ライヴの映像投影とも組み合わせて幻想的。 やはり、Decouflé の作品ではエアリアルは不可欠だな、と。

最後は、Voyage au Japon。 度々来日している Decouflé や Cie DCA のメンバーたちの日本の印象を、 客観的にではなくあくまで主観的な印象のままに、セットや小道具も多めに、少々コミカルに作品化した作品。 音楽に bossa nova が多用されたりと、ジャポニズムというより、私的な印象を重視しているように感じられた。 この作品では Decouflé も全面的に参加して、白い襦袢に赤いヒールと和傘で少々セクシーな女装の後ろ姿も見せた。 全体的にキッチュなセンスだったが、舞台全面のスクリーンへの投影も合わせて、早足で行き交う雑踏の人々を描いば場面など、スタイリッシュに見せるときもあった。

作風が様々で一概に比べがたいが、最も気に入ったのは最初の Duo。 意外にクラシカルな面を見せた Vivaldis も良かった。

終演後に Decouflé のトークがあったのだが、演出意図を訊くような質問ははぐらかしがち。 しかし、Vivaldis はオーソドックスなダンスを好んだ母に向けられた作品で、衣装デザインも母の部屋のイメージから来ていることなど、 いい話も聞くことができた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

今週末は土曜の午後に恵比寿へ。 そろそろ、『内藤正敏 異界出現』 が終わってしまうので、東京都写真美術館へ。 年間パスポートを持っているので、 『MOTコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ』『世界報道写真展2018』 と、開催中の展覧会を一通り。 今回はこれとどれもピンと来ませんでした。うむ。ま、こういうこともあるでしょうか。

晩は行きつけのジャズ喫茶、 渋谷メアリージェーンガトー・リブレ (田村 夏樹 (trumpet), 藤井 郷子 (accordion), 金子 泰子 (trombone)) のライヴ。 今回は食事会付きということで、1時間程のライブの後は、常連客を中心としたパーティという感に。 淡々というか飄々とした雰囲気のライブも含め、アットホームな雰囲気での会を楽しみました。 こういう会に「鑑賞メモ」を残すのは無粋なので、しません。

[3654] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 1 23:52:19 2018

東京芸術劇場の地階ロワー広場で『WONDER WATER』を観た後は2階へ移動。続いてこの公演を観てきました。

東京芸術劇場 プレイハウス
2018/06/30, 12:00-13:40.
Mise en scène et chorégraphie: Blanca Li.
Musique: Tao Gutierrez; Scénographie, dramaturgie: Pierre Attrait; Vidéo: Charles Carcopino; Lumières: Cathy Olive; Costumes: Laurent Mercier.
Avec les danseurs: Yacnoy Abreu Alfonso, Peter Agardi, Rémi Bénard, Iris Florentiny Julien Gaillac Joseph Gebrael Yann Hervé Aurore Indaburu Alexandra Jézouin Pauline Journé Margalida Riera Roig Gaël Rougegrez Yui Sugano Victor Virnot; Percussions, chant: Bachir Sanogo.
Production et Diffusion: Chaillot - Théâtre National de la Danse.
Création à Chaillot en septembre 2017 avec 14 danseurs et un musicien.

スペイン出身で現在はフランス・パリを拠点に活動する振付家・映像作家 Blanca Li の公演が TACT/FESTIVAL 2018 のプログラムの一つとして上演された。 Blanca Li に関する予備知識はほとんど無かったが、 Chaillot のプロダクションということで観て観た。 タイトルは夏至もしくは冬至を意味する単語。四季というか火、気、水、土を物語ではなく抽象的な映像とダンスで表現する抽象ダンス作品。 映像も火や雲、波などをテクスチャにしたほとんど抽象的なもので、下着に近い衣裳ということもあって、特定の地域性は強調していなかった。 しかし、kora や djembe、そして griot 風の歌を使った音楽、 そして、最後の「土」の場面でダンサーたちがひょうたんボウルを頭の上に乗せて歩く姿もあって、 西アフリカのサヘルのイメージを強く想起させられた。

舞台美術はシンプルでミニマリスティック。 舞台奥にせり上がったスロープがあり、波打たせた白い布が上下して、時に雲のように頭上を覆い、時に床に広がる。 抽象的な映像を背景や舞台に大写しすると立体感が損なわれがちだが、 背景だけでなく白布もスクリーンに使うことで、テクスチャのような映像の立体感が強調されるよう。

テクスチャ的な映像に少々 post-classical な electronica な音楽というのは少々ありがちかと思ったけれども、 それだけでなく、ダンサーの掛け声やボディパーカッション、そして、ミュージシャンによる楽器の生演奏や生の歌を交えていた。 テクスチャのような映像に負けないバレエ的というより体操的にすら感じる力強い動きのダンスの存在感もあって、 スタイリッシュながら身体的な生々しさも感じる舞台だった。

四つの場面のうち最も良かったのは、ポスターにもなっていた「気」の場面。 送風機による強風の中、白布をたなびかせつつ踊る様は、時に Loie Fuller へのオマージュを感じさせつつ (特に最初の女性ダンサーのソロ)、力強く美しかった。 その一方で、5, 6人のダンサーが近寄って、息で吸い寄せたり吹き放したりするような動きを組み合わせ行く場面も、ユーモラスで気に入った。

Campagnie Blanca Le は 明和電機 [Maywa Denki] とコラボレーションした Robot (2013) という作品を作っている。次は是非これを上演して欲しい。

終演後、劇場ロビーで、観客参加型のイベントがありました。 といっても、Blanca Li 自らのインストラクションで、短いダンスを踊るというものですが。 参加してみたのですが、普段の運動不足の体では付いて行くのか難しく、途中脱落してしまいました。 最近、体力運動能力の衰えが著しく、これはいけないと反省することしきりでした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

土曜は、この後、与野本町へ移動して、さらにもう一本観たのですが、これについてはまた後ほど。

[3653] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 1 20:12:44 2018

東京芸術劇場でGW恒例の家族向けの演劇祭 TACT/FESTIVAL が、今年はこの週末へ移動。 というわけで、土曜は午前中には池袋西口へ。まずはこれを観ました。

東京芸術劇場ロワー広場
2018/6/30, 11:00-11:20.
衣裳: びびのこずえ; 音楽: 川瀬 浩介.
パフォーマー: ホワイトアスパラガス: 谷口 界, ハチロウ.
制作進行: ひびのこずえ事務所 湯本 真由美; 舞台監督: 守山 真利恵.

コスチュームアーティスト ひびのこずえ が 大道芸だけでなく舞台へも活動を広げているアクロバット (谷口 界) とジャグラー (ハチロウ) の2人組、ホワイトアスパラガス と 音楽の 川瀬 浩介とコラボレーションした作品。 2017年の奥能登国際芸術祭で初演した 作品 [YouTube] の再演です。 もっと舞台作品らしいものを予想していたのですが、大道芸ステージに近いロワー広場が会場ということもあって、客弄りもあり、大道芸的な雰囲気も。 去年の秋に大道芸ワールドカップin静岡でホワイトアスパラガスを観た時は [鑑賞メモ]、 演技間に隙があってだらっと緩い雰囲気に感じることもあったのですが、 ちゃんとした制作・演出と得たこともあってか、今回はそんなことは感じさせず。 しっかり演出した大道芸という感じで、これはこれで楽しめました。

海をテーマにした三部構成で、最初はダイバー。 水中の動きのマイムから、ボンベから出る泡をイメージしたかのようなバルーンを纏っての旋回するようなダンス。 続いてはクラゲで、チューブやバルーンで造形したクラゲを纏ってのリングのジャグリング。 流石に動きづらそうで、技を失敗することも少なからずでしたが、大道芸的な客とのやり取りでそこはフォロー。 最後は魚と網でアクロバティックなダンス。 イメージの流れを切らないようにするためか、大技を決めて見せるような場面は作っていませんでしたが、 大道芸気分で観ていると、もう少し技の見せ所があったらな、と。 造形の丸さ可愛さもあってか、ほのぼのとした雰囲気のパフォーマンスで、NHK Eテレの 幼児・子ども番組の雰囲気に近いものを感じました。

ひびのこずえ と 川瀬 浩介 は 森山 開次 とのコラボレーションが多く、 その一つ、『サーカス』 (2015年初演) に ホワイトアスパラガスの谷口が初演時から出演しているということも、このような作品が生まれた背景にあるのでしょうか。 『サーカス』は観ていないのですが、やっぱり観ておけばよかったかな、と。

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FACT/FESTIVAL 2018 の公演はもう一つ、 Compagnie Blanca Li: Solstice を観ていますが、 これについてはまた後ほど。

[3652] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Jun 26 23:48:53 2018

日曜はのんびり過ごしているのですが、夕方に自宅でこのストリーミングを観ました。

Filmed at the Liverpool Empire Theatre, Saturday 28 October 2017.
Direction and Choreography: Akram Khan; Visual and Costume Design: Tim Yip; Music: Vincenzo Lamagna after the original music of Adolphe Adam; Orchestration: Gavin Sutherland; Lighting Design: Mark Henderson; Dramaturgy: Ruth Little.
Cast: Tamara Rojo (Giselle), James Streeter (Albrecht), Jeffrey Cirio (Hilarion), Stina Quagebeur (Myrtha), Begoña Cao (Bathilde), Fabian Reimair (Landlord), etc
English National Ballet Philharmonic, Gavin Sutherland (music director), Matthew Scrivener (leader), Alexandros Koustas (solo viola / Cretan lyra).
URL: https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018089059SC000/.

コンテンポラリーダンスの文脈で活動するバングラディシュ系イギリス人の振付家 Akram Khan が English National Ballet の為に新たに振付たロマンチック・バレエ作品 Giselle。 評判が良くて気になっていたところ、 NHKプレミアムシアターでの放送がNHKオンデマンドに載ったので、観てみました。

移民の働く工場に舞台を置き換えたというのが話題でしたし、 飾り気無い殺伐した舞台美術はいかにも現代演出らしく好みでしたが、 このような時代設定を置き換える演出は現代演出のオペラにも良くあり、 むしろ、Patrice Chéreau 演出の Elektra [鑑賞メモ] を連想させられました。 それだけに、Bathlide や Landlord がブルジョワの経営者や投資家のような姿でなく、 むしろ18世紀の王侯貴族を思わせる衣装で出てきたのは、少々残念。 第二幕になると、舞台や時代を置き換えが活かされず、なんとも中途半端に感じられてしまいました。

カタックなどはほとんど感じさせず、ポワントを使いバレエのイデオムが強い踊りであるものの、 表現主義的というより説明的に感じる程、丁寧に物語や内面を描写するダンスでした。 第二幕の棒を使った演出などは好みでしたが、 説明的なダンスやピートを聴かせてドラマチックに盛り上げるような音楽にバシッと揃った群舞は、 コンテンポラリーダンスというよりエンタテインメントに近く感じらrてしまいました。 Desh でもわかりやすい演出をしていましたし [鑑賞メモ]、 最近はこういう作風なのでしょうか。

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[3651] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 24 20:43:32 2018

この週末土曜は雨模様。そんな中、横浜みなとみらいへ。会期末のこの展覧会へ飛び込んできました。

Nude - Art from the Tate collection
横浜美術館
2018/03/24-2018/06/24 (木休;5/7休,5/3開), 10:00-18:00 (5/11,6/8 -20:30).

イギリスの近現代美術のコレクションを所蔵し Tate Modern などの美術館を運営する外郭公共団体 Tate のコレクションに基づく「ヌード」をテーマにした美術展。 実際に通して観るとエロティシズムを感じるものは多くなく、むしろ、裸体表現を通して19世紀以降の近現代美術史を見せるような、見応えのある展覧会でした。 19世紀から20世紀にかけての西洋近現代美術史というと、MoMAGuggenheim が示すような、 19世紀後半のフランス印象派 (French Impressionists) に始まり、戦間期はフランスとニューヨークの前衛を経て、戦後はアメリカのモダニズムへというのがメインストリームですが、 さすが Tate ということでイギリスの作家の作品が多い構成。 もちろん、独自の展開を見せるというよりメインストリームへの目配せもあり同時代性を示すような構成でしたが、イギリスの作家はあまり馴染みが無いこともあり、新鮮に感じられました。

今回の展覧会の目玉作品 Auguste Rodin: “Le baiser [The kiss]” (1901-4) も興味深く観ましたが、 やはり、最も興味深く観たのは、戦間期モダニズムに焦点を当てた「3 モダン・ヌード The Modern Nude」。 観る機会のあまり無い Wyndham Lewis, David Bomberg や William Roberts などモダニズム運動 Vorticism 界隈の作品を観ることができました。 David Bomberg: “The Mud Bath” (1914) など抽象絵画でしたし、 Wyndham Lews: “Indian Dance” (1912) や William Roberts: “Athletes exercising in a gymnasium” (1920) にしても 裸体表現というより抽象化された身体表現に近いものがありましたが、造形的なアプローチが面白いです。

あと、現代的なコンセプチャルな写真作品を中心に構成された「8 儚き身体 Vulnerable Budy」のコーナーも好みでした。 Cindy Sherman のセルフポートレート [鑑賞メモ] や YBA (Young British Artists) の Tracey Emin [鑑賞メモ] のような有名な作家だけでなく、初見の作家も興味深かった。 やはり YBA 文脈の Fiona Banner の文字だけでヌードを記した “Split Nude” は YBAというよりむしろ Barbara Kruger や Jenny Holter といったNYのポストモダンに近いものを感じました。 また、Dineke Dijkstra の出産間も無い母子のポートレート (1994) は、被写体選択のセンスもありますが、タイポロジーを思わせる抑制された演出の写真が好みで、他の作品も観て観てみたくなりました。

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[3650] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jun 18 23:24:38 2018

土曜の夕方は表参道から池袋西口へ移動。この舞台を観てきました。

『斜面』 SHA-MEN
東京芸術劇場シアターウエスト
2018/06/16, 17:00-18:25.
作・演出: 小野寺 修二.
美術: 土岐 研一
出演: 首藤 康之, 王下 貴司, 雫 境, 藤田 桃子, 小野寺 修二.
企画: サヤテイ, NAPPOS UNITED; 主催: NAPPOS UNITED, カンパニーデラシネラ.

マイムをバックグラウンドに持つ 小野寺 修二 (ex-水と油) とバレーダンサー 首藤 康之 とのコラボレーション。 5年前に観た『シレンシオ』 (東京芸術劇場, 2013) はさほどでは無かったが [鑑賞メモ]、 最近の 小野寺 修二 はとても楽しめているので [鑑賞メモ]、 今度はどうなるだろうという興味で足を運んでみた。 今回も明確な物語無く短いスケッチを連ねていくような作品だったが、 『シレンシオ』のような抽象的なテーマではなく、クラシカルな犯罪映画にありそうなイメージを繋ぎ合わせたよう。 それも、戦間期のノワール映画から1970年代の日本の刑事物の映画まで、時代は広めに撮られているように感じられた。

タイトルにあるように舞台3箇所に斜面が設けられ、斜面上での不安定な動きと犯罪映画のサスペンス感を繋ぐのかと期待したのだけど、 あまり斜面を活かせていないようにも感じられてしまった。 舞台上手の急な斜面は、そこを駆け上るような動きも多用していたし、小野寺が椅子を置いて座ろうとする場面など印象にも残った。 しかし、舞台奥にあった下手から上手へ下る斜面などは出入りのスロープという程度だったし、 舞台下手のテーブルを置かれていた小さな斜面など斜面であることを生かした演出は記憶に残らなかった。 今回は『シレンシオ』でのような女優枠が無く、身体能力の高い人たちによるパフォーマンスだっただけに、そこは残念だった。

首藤が手に色を変化させられるハンディのLED照明を持ち、自身の顔や体を照らしながら踊る場面も印象的だった。 しかし、『WITHOUT SIGNAL! 〔信号がない!〕』 (KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ, 2017) [鑑賞メモ] で観られたような電子ガジェット使いはその程度。 マイムらしくドアや椅子を動かしながらのパフォーマンスも多用されていたのだけど、 狭い舞台のせいもあるのか、時空間を変容させているのではなく、単に動かしているだけに見えてしまうことが多かった。 そういう所も少々物足りなく感じた。

全体としては『シレンシオ』よりも動きが面白く楽しめたように思うのだけど、 不完全燃焼したような気分になってしまった公演だった。少々期待のレベルを上げ過ぎただろうか。

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[3649] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 17 18:34:15 2018

土曜は午後に表参道へ。この展覧会を観てきました。

Going Away Closer –– Japan-Cuba Contemporary Art Exhibition
スパイラルガーデン
2018/06/06-2018/06/17 (会期中無休), 11:00-20:00.
岩崎 貴宏, 高嶺 格, 田代 一倫, 三瀬 夏之介, ミヤギ フトシ, 持田 敦子, 毛利 悠子, Glenda León, José Manuel Mesías, Reynier Leyva Novo, Leandro Feal.

今年の3月から4月にかけて、キューバ・ハバナの Centro de Arte Contemporáneo Wifredo Lam で開催した同タイトル (スペイン語でのタイトルは Yendo más cerca) の展覧会の日本展。 テーマは日本とキューバの近さ/遠さとのことだが、観ていてそれを意識させられることはあまりなく、コンセプチャルなインスタレーション中心の展示は、地域性を形式的に付与されたグローバルな現代美術だった。

最も印象に残ったのは 持田 敦子 の工事現場用のパイプや足場、脚立を使って、純粋階段を組んだインスタレーション『距離,その落下,その痕跡について』 (2018)。 川俣 正 など少々連想させられるマッシブで建築的なインスタレーションだけれども、純粋に階段にフォーカスしているよう。 モーターでゆっくり回転する金物や磁石を用いた動きや白熱電球の点滅の不規則さも味わい深い 毛利 悠子 のインスタレーション『白くまと感光紙』 (2018) も良かった。 キューバの作家の作品の印象が薄かったのは少々残念。

少々空虚な展示に感じたのは、スパイラルガーデンという商業施設の空間のせいもあるかもしれない。 例えば、アーツ千代田3331や (今は無き) BankART Studio NYK のようなスペースだったら、もっと味わい深く楽しめたのではないかと思うところもあった。

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[3648] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Jun 11 22:16:40 2018

先週末土曜の晩は、行きつけのジャズ喫茶で呑んでから、日比谷へ。このバレエの上映を観てきました。

Royal Opera House, 27 March 2018.
上映: TOHOシネマズ日比谷, 2018-06-09.
Choreography: Wayne McGregor.
Music: Leonard Bernstein: Chichester Psalms.
Set designer: Edmund de Waal; Costume designer: Shirin Guild; Lighting designer: Lucy Carter.
Conductor: Koen Kessels; Concert Master: Sergey Levitin; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House.
Dancers: Federico Bonelli, William Bracewell, Harry Churches, Melissa Hamilton, Francesca Hayward, Chisato Katsura, Paul Kay, Sarah Lamb, Calvin Richardson, Joseph Sissens, Akane Takada
World premier.
Choreography: Liam Scarlett.
Music: Leonard Bernstein: Synphony No. 2 The Age of Anxiety
Designer: John Macfarlane; Lighting: Jennifer Tipton.
Conductor: Barry Wordsworth; Concert Master: Sergey Levitin; Piano: Robert Clark; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House.
Dancers: Sarah Lamb (Rosetta), Alexander Campbell (Emble), Bennet Gartside (Quant), Tristan Dyer (Malin), et al.
First performed 2014.
Choreography: Christopher Wheeldon.
Music: Leonard Bernstein: Serenade for Solo Violin, Strings, Harp and Percussion (after Plato's “Symposium”)
Set designer: Jean-Marc Puissant; Costume designer: Erdem Moralioglu; Lighting designer: Peter Mumford
Conductor: Koen Kessels; Violin soloist: Sergey Levitin; Concert Master: Melissa Carstairs; Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House
Dancners: Matthew Ball, William Bracewell, Lauren Cuthbertson, Tierney Heap, Ryoichi Hirano, Mayara Magri, Yasmine Naghdi, Marcelino Sambé, Beatriz Stix-Brunell, et al.
World premier.

Royal Opera House Cinema Season 2017/18 唯一のコンテンポラリー・バレエのプログラムは、 20世紀後半のアメリカの作曲家/指揮者 Leonard Bernstein の100周年を祝うトリプルビル。 2014年に初演された The Age Of Anxiety 以外の2作は新作。 数少ないコンテンポラリー・バレエの上映ということで、観てきました。

最初の作品は Wayne McGregor。 使われた音楽 Chichester Psalm (1965) は、 チチェスター大聖堂 (Chichester Cathedoral) から委嘱された合唱曲ですが、 旧約聖書の詩篇 (Psalm) から撮られたヘブライ語の歌詞というユダヤ教色のある曲 (Bernstein はユダヤ系)。 しかし、McGregor が付けたタイトルは、日本語の「幽玄」から撮られたもの。 抽象的な美術と照明、ほとんどユニセックスな衣装によるダンスを付けることで、 宗教的なコーラスからの持つ幻想的で厳かな雰囲気を抽象化して表現しようとしていたのでしょうか。 ミニマリスティックな演出は好みですし、くるくる旋回しながら飛び去るようなエンディングも印象的でしたが、 「幽玄」だったかというと、ちょっと違うようにも感じました。 コーラス曲を使うことも McGregor の一つの試みだったのだろうと思いますが、 Woolf Works [鑑賞メモ] での Max Richter のような、 electronica 的な音楽の方がやはり合っているようなとも思ってしまいました。

続く Liam Scarlett の作品に使われた音楽は、 イギリスの詩人 W. H. Audin の詩 The Age Of Anxiety (1947) に着想した Synphony No. 2 (1965)。 演出は元となった詩に基づく物語バレエで、 第二次世界大戦開戦直後1940頃のニューヨークの酒場を舞台として、そこでの男女4人の出会いを通して、 開戦直後の「不安の時代」の雰囲気を描いていました。 男性3人のうち2人が休暇中の兵士という服装。 紅一点 Rosetta もワンピースにボレロにハイヒール、羽織るコートはトレンチというモダンな服装で、 必ずしもファッショナブルではないバーの雰囲気や、ジャズのイデオムも入る音楽もあって、 物語バレエというよりセリフの無いミュージカルを観ている気分になりました。 バーの店内から街中への場面転換、Rosetta の部屋へ移動して、再び街中へ、という場面展開も巧みで良かったです。

しかし、Yugen での衣装もユニセックスで抽象的な役から、 The Age of Anxiety でのセクシーな女性主役 Rosetta の役へ、 トリプルビル中の2作を続けて、それも両極端な主役を踊る Sarah Lamb は、凄いと感心。

最後の Christopher Wheeldon が使った音楽は、 ミュージカル音楽 West Side Story (1957) など多作だった1950年代の作品 Serenade (1954)。 Wheeldon といえば、 Alice's Adventures in Wonderland [鑑賞メモ] や The Winter's Tale [鑑賞メモ] のようなハイテクな物語バレエという印象が強いわけですが、今回は抽象バレエ。 けど、シリアスな抽象よりも、ユーモラスな第三楽章が好みでした。 スチルで見てたときは衣装も少々合わないように感じていましたが、動きの中で見るとさほど違和感無し。 しかし、バレエのイデオムが強い動きなので、 ミニマリスティックな衣装ではなく、いっそ古代ギリシャに寄せた演出でも良かったかもと思ってしまいました。

指揮者としての Berstein は別として、作曲家としては West Side Story のようなミュージカル音楽しか知らなかったので、 シリアス・ミュージックの作品を聴くことができたのも収穫。 ミュージカル音楽では無いとはいえ、戦後のトータル・セリエリズムなどの典型的な現代音楽とは異なる折衷的な作風は、やはり、バレエ音楽として使いやすいのかな、と。 Bernstein の音楽はもちろん、 McGregor がコーラス曲を使ったり、Wheeldon が抽象バレエ作品に取り組んだり、と、 振付家の意外な面をみることもできて、そういう点でも興味深く見ることができました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

上映したTOHOシネマズ日比谷は、この3月末にオープンしたばかりの東京ミッドタウンの中の映画館。 それも、16.5×6.9mの巨大スクリーンTCXと音響DOLBY ATMOSのスクリーン5での上映ということで、 どんなものだろうという様子見もあって、日比谷にしたのでした。 実際のところ、座席数も395ある大箱でスクリーンまでの距離もあり、大きさを体感する程ではなく。 むしろ、ポツポツとしか埋まっていない席に、これは次は無いかもと心配になりました。 2330終映となると終電に間に合わないので、いつもの日本橋にした人も多かったのではないでしょうか。 自分の場合は終電には間に合うけど、体力的にせめて2230終映がありがたいなあ、と。

[3647] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 10 23:03:30 2018

先週、釧路へ行ったとき、この展覧会を観てきました。

『風に導かれ 僕は旅をする』
北海道立釧路芸術館
2018/04/14-2018/06/13 (月休;月祝開,翌火休), 9:30-17:00.

全く予備知識なく、移動中の待ち時間に入った美術館でちょうどやっていた展覧会は、 熱気球のパイロットにして、気球からの航空写真を得意とする写真家の写真展でしt。 気球を使った冒険的なフライトからの写真の非現実的に感じるほどの写真も美しかったですが、 バルーンフェスティバル (熱気球大会) で撮った、地上の人と目を合わせることが出来るほどの低さから撮った写真のシリーズが面白かったです。 絞りを開いて焦点深度を浅くして撮っているのか (動く気球から撮っているので、シャッター速度を早めにして、絞っているのではないかと思うのだが)、 のか、撮影後の処理なのか判断しか寝たけれども、 本城 直季 のようなミニチュア写真のような仕上がりに、気球を見上げたり、気にせずに仕事などをしている人が、人形のように写っているのが面白かった。 このようなジャンルの写真は、東京都写真美術館で取り上げられることのあまり無く、あまり接する機会が無いこともあるのか、新鮮に楽しめました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3646] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 10 22:30:44 2018

話が前後しますが、先々週末の土曜5月26日は、夕方に新宿二丁目へ。 このショーケース・ライブを見てきました。

新宿 Pit Inn
2018/05/26 16:30-22:00.
Weekend Guitar Trio: Robert Jürjendal (electric guitar), Tõnis Leemets (electric guitar), Mart Soo (electric guitar).
Olli Hirvonen New Helsinki: Olli Hirvonen (electric guitar), Luke Marantz (piano), Marty Kenney (bass), Nathan ELlman-Bell (drums)
Peedu Kass Momentum: Peedu Kass (doublebass), Kristjan Randalu (piano), Toomas Rull (drums)
Utopianisti: Markus Pajakkala (saxophone, flute, percussion), Olli Helin (trumpet), Antero Mentu (guitar), Anssi Solismaa (keyboards), Tuomas Marttila (marimba, percussion), Jaakko Luoma (bass), Rolf Pilve (drums).

北欧フィンランドと湾を挟んだ隣国エストニアの二カ国の音楽を紹介するショーケース FINEST Sounds の日本でのイベントが 5月23日から27日にかけて東京各所で開催されていたのですが、その一つ、 Finest Jazz Music Night を観てきました。 フィンランドからは Olli Hirvonen New Helsinki と Utopianisti の2組、 エストニアからは Weekend Guitar Trio と Peedu Kass の2組が出演しました。

最初に登場したのは、今年で結成25周年となる Weekend Guitar Trio。 2000年前後に中東欧の音楽に探りを入れていた頃 [関連発言] に知り、出演した中では唯一CDを持っていたグループ。 ツアーを意識したのか、今回のコンサートでは、3人ともソリッドボディの electric guitar で、 Soo 以外の二人は Steinberger (もしくはその類似) のヘッドレスでボディも小型のものを使っていました。 guitar 3人の音をどう組み合わせているのかCDで聴いている限りではわからなかったのだが、 Tõnis Leemets が高音域で旋律を弾くことが多い lead guitar 的な役割、 Robert Jürjendal は低音部を着実な押さえるような bass 的な役割。 Mart Soo はエフェクトを使うことも多く、rhythm を刻みつつも、時に lead も取るよう。 そんな3人の軽快な演奏が楽しめました。

続いて、フィンランドの electric guitar 奏者 Olli Hirvonen 率いる4tet New Helsinki。 イギリスと北欧の新しい jazz の動きを紹介してきているレーベル Edition から リリースがあります。 guitar はエフェクトを使って音響的なテクスチャを作り出すような演奏というより細かく技巧を凝らして弾くまくるスタイル。 そのリズムもあってか、かなり jazz rock 的に感じられました。

三番手はエストニアの Peedu Kass Momentum。 今までノーチェックで、今回聴くのは初めて。 編成としては piano trio ですが、流麗に聞かせるだけでなく、 electronica 以降ならではの細かく強い反復を使った曲などもあり、 いかにもコンテンポラリーな演奏が楽しめました。

トリはフィンランドから、7人と編成が大きめのアンサンブル Utopianisti。 2010年から活動しているようですが、今回聴くのは初めて。 MCで Frank Zappa に言及していたように、かなり1970sっぽい Prog rock 色もある jazz rock。 メンバーは比較的若く、当時から活動していたというより、そのスタイルもオマージュ的な意味合いが強いのでしょうか。

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比較的余裕を持って会場入りしたので着席できましたが、立ち見も出る程の混雑。 この長丁場を立ち見は辛いかも。 というか、あまり良く無い席に5時間余りは、座っていても辛かったです。 途中休憩時間に席を立った時、腿がつってしまったり。うーむ。 もう少し広めで席も良いホールでやっても良かったんじゃないかな、と。

[3645] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jun 3 15:26:05 2018

この週末土曜は、昼過ぎには白金台へ。この展覧会を観てきました。

French Picture Books: Collection of Shigeru Kashima
東京都庭園美術館 新館・本館書庫
2018/03/21-06/12 (第2,4水曜日), 10:00-18:00 (3/23,24,30,31,4/6,7: 10:00-20:00).

『19世紀パリ時間旅行 -失われた街を求めて-』展 (練馬区立美術館, 2017) でも素晴らしいコレクションを楽しむことができた [鑑賞メモ] 鹿島茂コレクションに基づく展覧会。今回のテーマは19世紀から20世紀前半にかけてのフランス絵本。 Jean-Jacques Rousseau の「こどもの発見」に始まり戦間期までというという時代の対象範囲は 『こどもとファッション -小さい人たちへの眼差し-』 (東京都庭園美術館, 2016) [鑑賞メモ] と同じ。 同じ社会の変遷を今度は子供向けの本で辿るような興味深さがありました。

フランスでは絵本文化の発達のスタートが遅く19世後半に入ってからということで、1848年革命以前の資料は少なめ。 19世紀半ば (ファッションでいうとクリノリンの時代) の絵本は、風刺画などと同様、少々デフォルメがあるものの写実的な版画です。 第三共和制の時代 (Art Nouveau の時代) になると Maurice Boutet de Monvel のような、シンプルな線と色面の使い方もモダンな作家も登場します。 しかし、やっぱり最も好みだったのは、André Hellé や Nathalie Parain のような戦間期モダニズムのセンスを感じる作家でした。

André Hellé は第一次世界大戦前の19世紀末から活動していますが、戦間期 Art Deco で知られる作家。 1910年代以降の可愛らしくユーモラスに簡略化された線描のセンスは、いかにも戦間期モダニズムと同じセンスを感じるもの。 先日『チャペック兄弟と子どもの世界』 (渋谷区松濤美術館, 2018) で Josef Čapek の舞台デザイン画 (複製) を観たばかりだった [鑑賞メモ]、 Claude Debussy 作曲のバレエ La Boîte à Joujoux の André Hellé によるオリジナルの挿絵を見ることができました。 Čapek のような Avant-Garde 味はありませんが、Hellé の可愛らしさもまた良いものです。 1925年パリの Art Deco 展に出展したという玩具の写真も展示されていましたが、 復刻でもいいので実際の物が見たかったものです。

もう一人、目を捉えたのは、1920年代に革命ロシアの ВХУТЕМАС (国立高等芸術技術工房) に学び、 1928年以降、結婚で移住したフランス・パリで活動した Nathalie Parain (Наталья Челпанова)。 黒や赤などのシンプルな色の幾何学図形で構成した Ronds Et Carrés (1932) など、まさに Russian Avant-Garde の構成主義的デザイン。 もちろん、後年、構成主義の色は薄くなっていくのですが、 『幻のロシア絵本1920-30年代』 (東京都庭園美術館, 2004) [鑑賞メモ] で観た Самуил Маршак などの Russian Avant-Garde の絵本と繋がるところもあって、とても興味深く観ることができました。

東京都庭園美術館 本館
2018/03/21-06/12 (第2,4水曜日), 10:00-18:00 (3/23,24,30,31,4/6,7: 10:00-20:00).

1983年の美術館としての開館以来、何度となく足を運んでいるので特に期待していなかったのですが、 普段は公開していない3階の温室「ウィンターガーデン」が特別公開していたので、久々に足を踏み入れてきました。 光の多く入れるための広い窓ガラスといい、白黒の市松模様といい、この部屋は Art Deco というより Bauhaus などのモダニズムのデザインに近いもの。 Marcel Breuer の Chair S35 も似合います。 やっぱり、旧朝香宮邸の中でもこの空間は好きです。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

梅雨前の良い天気で、少々暑いくらいでしたが、散策日和。庭園の散策も気持ちいいものでした。 雨の時も趣あって悪くはないのですが、やはり、この美術館は庭園も楽しめる天気の時に行きたいものです。

[3644] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue May 29 23:34:59 2018

先週木曜は都内で仕事をしていたので、仕事帰りに初台へ。恒例のこのコンサートを聴いてきました。

The Music Of Unsuk Chin
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル, 初台
2018/05/24, 19:00-20:50
Mannequin - Tableaux vivants for orchestra (2014-15): I. Music Box - Fever Dream; II. Sandman and Child; III. Dance of the Clockwork Girl; IV. The Stolen Eyes
Clarinet Concerto for clarinet and orchestra (2014): I. Mirage -Fanfare - Ornament; II. Hymnos; III. Improvisation on a groove
Cello Concerto for cello and orchestra (2006-08, rev.2013): I. Aniri; II.; III.; IV.
Ilan Volkov (conductor), Jérôme Comte (clarinet), Isang Enders (cello), 読売日本交響楽団 [Yomiuri Nippon Symphony Orchestra].

現代音楽 (contemporary classical) の作曲コンペに合わせて開催されるコンサート『コンポージアム』。 今年の審査員は韓国出身ながら György Ligeti に師事しベルリンを拠点に活動するという Unsuk Chin。 フライヤに書かれていたこと以上の予備知識が無かったのですが、『コンポージアム』は例年聴きに行ってますし、 この日は都内で仕事だったので、仕事帰りに「定点観測」気分で足を運んで観ました。

去年の Heinz Holliger ほどハードモードな感じ [鑑賞メモ] ではなく、 打楽器音が耳を捉えるときはあったのですが、通して聴いてピンと来ることがありませんでした。 オーケストラが変則的な編成ではなく、分かり易く特殊な演奏をするという程では無かったということもあるかと思いますが。 こういう年もあるでしょうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3643] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon May 28 22:42:36 2018

先々週末の話ですが、19日土曜の午後は渋谷松濤へ。この展覧会を観てきました。

Those Children Keep on Playing: Children's Themes in the Works of the Čapek Brothers
渋谷区立松濤美術館
2018/4/7-5/27 (月休,4/30開), 10:00-18:00 (金-20:00).

戦間期のチェコで活躍した画家/デザイナー Josef Čapek と小説家/劇作家 Karel Čapek の 子どもをテーマとした作品に焦点を当てた展覧会です。 絵画や絵本挿絵など兄 Josef の方がメインと言っていい内容でした。 Čapek Brothers の展覧会を観るのも 『チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド』 (神奈川県立近代美術館, 2002) 以来久しぶり [鑑賞メモ]。 絵本などの子どものテーマということ自体は戦間期モダンらしいとも思いましたが、 今回は戦間期アヴァンギャルド色が薄く、少々緩い展覧会に感じました。

そんな中で気になったのは、衣装・舞台デザイン画の複製が展示されてたバレエ『おもちゃ箱』 (1925)。 Claude Debussy 作曲のバレエ La Boîte à Joujoux (1913) の プラハ初演 (1925) のために Josef Čapek がデザインしたものです (オリジナルのデザインは André Hellé)。 これが女性の衣装などオリジナルよりアヴァンギャルド風味で、原色使いや造形に Oskar Schlemmer の Die Triadische Ballett (1922) の影響すら感じられるもの。 複製のみとはいえ、これを知ることが出来ただけでも収穫でした。 この Josef Čapek デザイン版のバレエの再現上演がされていたら見てみたいものです。

展覧会前半のみの展示でオリジナルを見逃してしまったのですが、 築地小劇場の『人造人間』 (Karel Čapek: R.U.R. (1920) の日本初演 (1924)) 時のポスターの複製が展示されていました。 他にも、築地小劇場での初演時と再演時の写真の展示があり、その違いも興味深いものがありました。 最近の自分の興味のせいか、子どもテーマではなく、演劇とか舞台デザインなどに焦点を当てた展覧会を観たくなってしまいました。 このような展覧会としては、2010年に早稲田大学演劇博物館で 『現実から想像へ チェコ舞台衣裳デッサン画展』 という小規模な展覧会があったのですが、当時は気付いていませんでした。見逃し痛恨。

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[3642] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun May 27 19:23:05 2018

5月16日は都内で仕事をしていたので、仕事帰りに赤坂というか青山一丁目へ。 赤坂区民センター 区民ホールで開催された『Uzbekistan Week in Japan コンサート』を観てきました。 『Uzbekistan Week in Japan』というのは、5月15日〜21日に開催されていた、 ウズベキスタンの文化芸術や観光を日本に紹介する展覧会やコンサートからなる一連のイベントで、 このコンサートはその一つでした。 直接見る機会の少ないウズベキスタンの音楽や舞踊を楽しむ良い機会かと思い足を運んで観ました。 大使館イベントらしく一般への告知がほとんど無いに等しいイベントでしたが、 無料コンサートということもあるのか、会場は立ち見が出るほどの混雑。これは意外でした。 開演間際に会場にたどり着いたのですが、なんとか最後列の席に座れました。 約2時間ほどあったので、立ち見にならずに助かりました。

開演は18時半ということでしたが、混雑もあり30分近く押してスタート。 開会のスピーチの後、いきなり、女性歌手 Munojat Yolchieva が登場。 Ensemble "Maqam" の演奏と、"Gavhar" Dance Ensemble の踊りを伴いながら2曲ほど歌ました。 Yulchieva は shashmaqam と呼ばれる Sufi 音楽の歌手で、 Smithonian FolkwaysWorld Music Medien, Felmay などの欧米のレーベルからのリリースがあり、 自分も以前からCDでは聴いたことがある歌手。張り上げるような通る歌唱も迫力あり、さすがの聞き応え。 これが観られただけでも行った甲斐がありました。

Yolchieva が下がった後も、入れ替わり立ち替わり様々な歌手が出てきました。 ナヴォイ劇場 (Navoiy teatri) のオペラ歌手の Umid Israilov、Farangiz Shamsieva、 ポピュラー音楽の歌手としては女性歌手 Zulayho Boyhonova、Rohila Rozimova に男性グループ Sukhon などが出演していたようです。 (詳しいわけではないので、確かとは言いがたいですが。) オペラ歌手が来ていたのは、ナヴォイ劇場が第二次世界大戦直後にソ連に捕虜となった日本人によって建設されたという縁があってのことでしょうか。 Umid Israilov はオペラ Turandot の有名な曲 Nessem Dorma を歌いましたが、 やはりこれは Uzbekistan に因んだ歌ってことでしょうか。 作品の舞台設定は北京ですが、Turandot って「トゥーラーン (中央アジアのチュルク系の地) の娘」って意味ですし。

伴奏の楽団は “Maqam” Ensemble と紹介されていたように思いますが、これは固有名詞ではなく一般名詞でしょうか。 5人編成で舞台上手から Uzbek rubab、oud、spike fiddle、flute、Doira (frame drum) でしょうか。 それぞれのミュージシャンの名前はわかりません。 Yolchieva だけでなくポピュラー音楽の歌手が出ているときはずっと伴奏していました。 伝統的な楽器による完全にアコースティックな演奏ではなく、 若干近代化された楽器を使い、時にシンセサイザー (録音済みの音源か?) も使ってビートを強調したり音を厚くしたりしていました。

歌の間じゅう、様々な踊りを楽しませてくれた舞踊団は “Gavhar” Dance Ensemble と紹介されていましたが、 “Gavhar” というのはウズベキスタンの有名な女性舞踊家 Gavhar Katyakubova の弟子たちによる舞踊団ということなのでしょうか。 2017年に70歳を記念するイベントがあったようなのですが、 その時の記事 に載っている写真と同じダンスも踊っていたように思います。 伝統的な民族舞踊というより、伝統的な音楽や舞踊のイデオムを用いた舞台舞踊でした。 衣装も民族衣装風でしたが、踊りやすそうな軽くて柔らい生地といい、 鮮やかな色使いやスパンコールなどの光り物使いは、いかにも舞台衣装のように見えました。

しかし、いかにも大使館が主催するような、メインは二国間交流のセレモニーをすることで、 音楽やダンスはそれを華やかに盛り上げる演し物という感じの、 トータルな演出など考慮されていないイベントを、久々に体験したような。 日本の音楽も取り上げる、ということでしょうが、その選曲も、 楽団に「さくらさくら」を演奏させたり、オペラ歌手に1「小指の思い出」を歌わせたり、 男性グループに「世界に一つだけの花」を歌わせたり、という。 しかし、さすが大使館が呼ぶだけあって、それなりの人たちを呼んでいたよう。 Munojat Yolchieva や “Gavhar” Dance Ensemble など、有料の単独公演として見たかったものです。

欧州諸国だと大使館というよりアンスティチュ・フランセとか ゲーテ・インスティトゥートのような組織が主催して、 単独のコンサートや展覧会として成立するようなディレクションをしたイベントをしています。 その一方で代々木公園のタイ・フェスティバルベトナム・フェスティバルブラジルフェスティバルのような、 仕事や留学で日本に来ているその国の人々も楽しめる野外フェス感覚のイベントも定着しています。 それらに比べるとかなり素朴なイベントでしたが、タイフェスだって最初の頃はこんなものでした。 満席になるほどの人気でしたし、継続することで洗練されていけば、と期待したいものです。