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談話室 / Conversation Room

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[3687] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Nov 18 23:59:15 2018

10月27日土曜、与野本町の後は、急いで横浜山下町へ移動。この公演を観てきました。

KAAT神奈川芸術劇場 ホール
2018/10/27, 18:00-17:30.
Created by Tuan Le, Nguyen Nhat Ly, Nguyen Lan Maurice, Nguyen Tan Loc.
Director: Tuan Le; Musical Director: Nguyen Nhat Ly; Artistic Director: Nguyen Lan Maurice; Choreographer: Nguyen Tan Loc.
Performers: Tran Duc An, Do Manh Hung, Bui Quoc Huy, Truong Chinh Phu, Nguyen Nhat Quang, Pham Van Son, Nguyen Van Thanh, Tran Ban Tin, Dinh Van Tuan, Quach The Nam, Dang Tram Anh, Nguyen Ton Doan Khanh, Nguyen Thi Lien, Nguyen Khanh Linh, Hoang Thi Lien.
Musicians: Thanh Hai, Luong Thang Long, Do Trong Thai, Nguyen Truong Tho, Nguyen Thi Phuong Thao.
Produced by Lune Production

今年の2月にベトナムの近代化をテーマとしたショー À Ố Show で来日公演した ヴェトナムの現代サーカス Lune Production [鑑賞メモ] が、 半年も経たずに次のショーを持って来日しました。 À Ố Show で洗練された演出のショーが楽しめたので、このショーにも足を運んでみました。 今回のショーは、いわゆるサーカスのテクニックは全く使っておらず、ダンスに基づくショー。 ベトナムの農村を舞台にし、米をテーマとしていますが、コンセプチャルという程ではありませんでした。 衣装や舞台美術がそれ風で、民族楽器をアクセントに使ったり、動きの中に民族舞踊的なものを使ったりもしていましたが、 群舞あり、パ・ド・ドゥありと、コミカルなマイムの場面あり、鳴り物を手に観客と一緒に盛り上がる場面もあり、 構成としてはかなりベタなエンタテインメント性の高いダンスショーでした。 サーカスのテクニックをベースにしているショーでステロタイプな演出があまり気にならないのは、 その技に目を取られて気にならないということもあるかな、と思ってしまいました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

16時半終演なら移動1時間半でギリギリ間に合うかと考えていたのですが、 アンコールもあって少々延びて、開演に間に合わず。途中からの入場ができる公演で良かったです。 しかし、時間に間に合うようなスケジュールだとしても、移動だけで疲れてしまうので、 彩の国さいたま芸術劇場とKAAT神奈川芸術劇場のハシゴは少々無理があったと痛感。 二度と無理はしまいと反省。

[3686] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Nov 18 19:09:42 2018

3週間前の話になってしまいましたが、10月27日土曜の午後は与野本町へ。この公演を観てきました。

イスラエル・ガルバン 『黄金時代』
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2018/01/20, 15:00-16:30.
Coreografía: Israel Galván.
Israel Galván (baile), Alfredo Lagos (guitarra), David Lagos (cante).
Estreno el 17 de febrero de 2005 en el XIII Festival Flamenco Cajamadrid, Madrid.

フラメンコを起点としながら、Akram Khan との Torobaka など、そのジャンルを超えてコンテンポラリーダンスの文脈でも活動するスペインのダンサー/振付家 Israel Galván。 フラメンコの文脈で度々来日していましたが、それはノーチェックでした。 2016年にキャンセルになった Torobaka の日本公演を Akram Khan との共演ということで興味を持ち、今回の公演でやっと観ることができました。

黒い衣装に舞台装置を使わずスポットのダウンライトを中心に使うというミニマリスティックな舞台に、 数分の曲ごとに演技・演奏を区切るような構成演出で、ダンスの公演というより、音楽のライブを観てるよう。 Akram Kahn とのコラボレーションもあるくらいでナラティヴな演出などの仕掛けもあるかと予想していたこともあり、 確かに高速なステップなどの見所はあるものの、最初のうちは意外とオーソドックスだったかなと退屈しました。 しかし、中盤にもなると、ステップ音だけとか楽器音だけとか、音の切り出し方とかが面白くなってきました。 さらに後半になると、移動、回転や床に座る動きやユーモラスな仕草も増え、観客も温まってく感じもわかって、グッと引き込まれて、楽しめました。

客層も、コンテンポラリーダンスでは見ないような、おそらくフラメンコを踊っていると思われる方も少なくありませんでした。 スタンダードと思われる曲では客席からも掛け声が上がるときも。 曲や踊りの型を知っていればもっと楽しめたかもしれません。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

10月末から11月中ばにかけての3週間、米国出張を含む怒涛の出張ラッシュとなってしまい、 公演や展覧会を観に行くどころか、このサイトを更新する余裕すらありませんでした。 趣味生活とサイト更新の遅れを、少しずつ取り戻したいものです。

[3685] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Thu Oct 25 21:39:40 2018

先週末の土曜も、二週連続、三軒茶屋へ。この舞台を観てきました。

サーカス・シルクール 『LIMITS/リミッツ』
世田谷パブリックシアター
2017/10/20, 14:00-16:00.
Ensemble: Saara Ahola (acrobatics, aerial acrobatic and vocals), Anton Graaf (acrobatics and teeterboard), Oscar Karlsson (acrobatics and teeterboard), Sarah Lett (acrobatics and roue cyr), Peter Åberg (acrobatics, juggling and vocals), Samuel Andersson (musician).
Director and concept: Tilde Björforsl; Text: Tilde Björfors, the ensemble, Nadia Ben Belgacem, Arash Dehvari, Kajsa Bohlin, Tatiana-Mosio Bongonga, Qutaiba Aldahwa, Javid Heidari; Composer: Samuel “Looptok” Andersson; Set design: Fanny Senocq, Stefan ”Drake” Karlström, Joel Jedström, Tilde Björfors; Costume design: Jonna Bergelin; Video scenography/projections: Johannes Ferm Winkler, Tom Waldton and Per Rydnert/Visual Relief; Lighting design: Fredrik Ekström; Sound technician: Fredrik “Börje” Danielsson.
Premiere: March 19, 2016 Västerås

毎年10月の三茶de大道芸に合わせて 世田谷パブリックシアターで開催されるサーカス公演は、 コンテンポラリーサーカスを観る良い機会と、毎年楽しみにしています。 今年はスウェーデンのコンテンポラリーサーカスのカンパニー Cirkus Cirkör。 前に観たのは2005年でしたので [鑑賞メモ]、久々です。

今回のプロダクション Limits は、2015年のプロダクション Borders の続編とのこと。 100万人以上の難民が欧州に殺到した2015年欧州難民危機をテーマにしたプロダクションです。 サーカスで時事問題を扱う場合は風刺的な寓話やコメディのような形で扱うことが多いように思いますが、 この作品ではそのアプローチは取らず、難民に関する統計的なデータを演技の背景に投影したり (Talking Heads の “Nothing But Flowers” の ビデオを連想しました)、 難民の証言をナレーションのように流したり、関連する映像を投影したりという、ドキュメンタリに違い扱い。 しかし、例えば難民の証言に着想した演技がされているかと言えば、あると言えばそうかもしれないとは思うものの、説得力というか必然性を感じつ程ではありませんでした。 その扱いは、背景というか、複数の演技に統一感を持たせてまとめ上げるための道具立てのよう。 スチームパンク風だったり戦間期モダン風だったりそういう世界観の代わりに、トピカルな題材を使うのも一つの試みとは思いますし、それなりに成功していたとは思います。 しかし、こういうノンフィクションに基づく舞台作品としてドキュメンタリ演劇があるわけですが、 そのような面白さがあったか、という程ではなく。 そもそもドキュメンタリーサーカスのようなものはあり得るものなのかと、そんな問題が頭を過りました。

そんなテーマはさておき、 トランポリンやティーターボード (シーソー) など縦方向の動的な動きも使ったアクロバットや、 エアリアルやシルホイールからなるパフォーマンスを楽しみました、 特に大きな透明のビニール袋に包まれた状態から始まる古着を結び繋げたかのようなティッシュのエアリアルは、最後を飾るに相応しかったでしょうか。

このようなプロダクションも悪くないのですが、 Cirkus Cirkör の近年のプロダクションというと、 Stockholm Konstsim Herr と Neptun Konstsim という2つのシンクロナイズドスイミングのチームとコラボレーションした2017年の Aquanauts [trailer] や、 スウェーデン Folkoperan (フォルクオペラ歌劇場) との共同制作で BAM 2018 Next Wave Festival にもラインナップされた Philip Glass のオペラ Satyagraha (2016年初演) [trailer] など、観たいものです。 もちろん、日本に呼ぶには予算的にかなり難しいプロダクションとは思いますが……。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

終演後は、三茶de大道芸を軽く流して観ながら、久々に三軒茶屋界隈を散策。 弦巻、そして、若林に住んでいた1年半前までの約20年間、ほぼ毎週末、散策がてら週末の買物に出ていた地元の商店街でした。 最近は、世田谷パブリックシアターに来ても、駅とキャロットタワーの間を移動する程度で、太子堂商店街や栄商店街を歩くのも久しぶりでした。 1年ブランクが開くと、店の入れ替わりもそれなりにあることに気付かされます。 若林時代にお気に入りだった栄商店街の奥の三叉路の近くにあるカフェに久しぶりに入ったら、 席のレイアウトが変わっていて、お気に入りだった窓に向かう一人席が無くなっていたり。 確実に時間は流れてるんだなと、思い知らされたひとときでした。

そんなカフェで、夜に観る予定の野外公演に備えて体力を温存していたら、暗くなって土砂降りの雷雨に。 それでも、池袋に向かって移動を始めたのですが、渋谷駅での乗換中に中止の連絡がありました。 観る予定だったのは、 池袋西口公園を舞台とした Giorgio Barberio Corsetti 演出による The Threepenny Opera 『野外劇 三文オペラ』。 他の日への振替も難しく、見逃しでしょうか。御天道様には勝てません。

[3684] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Oct 22 23:05:01 2018

先々週末の話になってしまいましたが、13日午後は三軒茶屋へ。この舞台を観てきました。

世田谷パブリックシアター シアタートラム
2018/10/13 15:00-16:30
構成・演出: 小野寺 修二.
脚本: 平田 俊子; 音楽: 阿部 海太郎.
出演: 小林 聡美, 貫地谷 しほり, 小田 直哉 (大駱駝艦), 崎山 莉奈, 藤田 桃子, 古川 玄一郎 (打楽器奏者), 佐野 登 (能楽師 宝生流シテ方).
美術: 杉山 至; 照明: 沢田 祐二; 音響: 池田 野歩; 衣裳: 堂本 教子.
企画・監修: 野村 萬斎.
初演: 2018年10月, 世田谷パブリックシアター シアタートラム.

世田谷パブリックシアターが2003年から継続しているシリーズ 現代能楽集 第9弾はかぐや姫の話で知られる『竹取』。 現代能楽集は観たことがなかったのですが、カンパニーデラシネラの 小野寺 修二 [鑑賞メモ] が構成・演出を手掛けるということで、観てみました。

小野寺 修二なのでもっと物語る演出になるかと思いきや、イメージを重視した演出でした。 台詞もあれどイメージを膨らます契機という程度で、物語ももはや断片的でした。 小林 聡美 と 貫地谷 しほり の女優枠2人がいることもあってか、ダンスやマイムの身体の動きの面白さで見せるというより、 むしろオブジェクトのマニピュレーションとそれによる空間操作を意識した演出。 古川 の演奏する打楽器の他は舞台にあるのは、全体を天井から床に向かって砂袋で可動なように張られた何本もの伸縮ロープのみ。 このロープの配置の変更と、人の動きとライティングで、次々と空間を変容させていくアイデアは、さすがです。 片面畳片面障子のパネル2枚のみを使い、俳優たちがそれを立てたり寝かせたりスライドさせながら動かしつつ、その上を小林聡美が歩いていくことで、大屋敷を表現したり。 (これは、Simon McBurney: Shun Kin [鑑賞メモ] を思い出しました。) 最近、LEDのポータブル照明を使った演出を多用していますが、 薄布への影や光を使った演出、水の波紋への光の反射を使った演出など、光使いも巧くなったな、と。

その一方でで、女優2人はオーラあるんだろうなと予想していたのですが、むしろそれを消すような演出にも感じました。 登場人物のキャラ立ちの面白さとか、そういう印象がほとんど残りませんでした。 また、台詞にしても、現代的な台詞から、落語的なものから狂言の詞や謡まで、音楽も打楽器を中心にした抽象的なものから、西洋的な歌まで。 あえて多様にしたのだとは思うのですが、多様性を生かすというよりバラバラに感じられてしまいました。 全体としては楽しめたのですが、そんな引っかかりも感じてしまった舞台でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3683] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Oct 21 22:15:32 2018

表参道界隈でバイアニュアルで開催されているダンス・フェスティバル Dance New Air [2016年の鑑賞メモ]。 今年は、7日日曜の午後に2つ、14日日曜の午後に1つの、計3つの公演を観てきました。

レクチャーパフォーマンス
ゲーテ・インスティトゥート東京ドイツ文化センター
2018/10/07, 12:00-14:10.
『ダンスハ體育ナリ 其ノ一 体育教師トシテノ大野一雄ヲ通シテ』
構成: 木野 彩子.
出演: 林 洋子, 戸井 香織, 木野 彩子.
初演: 2016年2月, Dance Archive Project 2016, BankART Studio NYK (横浜).
『ダンスハ體育ナリ? 其ノ二 建国体操ヲ踊ッテミタ』
構成: 木野 彩子.
出演: 林 洋子, 戸井 香織, 木野 彩子.
初演: 2018年2月, Dance Archive Project 2018, 明治神宮外苑聖徳記念絵画館 (東京).

大野 一雄 は戦前にモダンダンスを習い、戦後、舞踊家として公演を始め、1960年代以降、土方巽と暗黒舞踏第一世代として活動した舞踏家。 戦前、日本体育会体操学校 (現日本体育大学) を卒業し、以降、1980年に退職するまで、兵役中を除き体育教師でもあったとのこと。 そんな、大野 一雄の二面性と木野自身のお茶ノ水女子大学卒業後、保健体育教師を経てダンサーとなったバックグラウンドを重ねつつ、 舞踊教育と体育教育の関係や戦間期〜戦中の体操を中心とする身体文化を実演しつつレクチャーするというパフォーマンス。 其の二の前半では「教室」の外に出てのレクチャーもありました。 ユーモアを交えつつ要領を得た話の巧さもあって、とても楽しめました。 しかし、ダンスは体操かという問題設定は、本質論的議論をするには、それぞれの対象が広過ぎて悪問だよな、と感じてしまいました。 特に、ダンスの方は、舞台舞踊、儀礼、余暇、教育などの様々な文脈の話を恣意的につまみ食いしているような感も。 体育とダンスの違いとしてアートのイデオロギーというかロマン主義的な芸術観が述べられるわけですが、 本人の中にはその結論が先にあるという印象も受けてしまいました。 ま、本人の創作の動機としては分からなくないのですが。

Rachid Ouramdane
Tordre
スパイラルホール
2018/10/07, 16:00-17:00.
Concept and Choreography: Rachid Ouramdane.
With: Annie Hanauer & Lora Juodkaité.
Lighting Design & Set Design: Sylvain Giraudeau.
Exectice Production: CCN2 - Centre choréographique national de Grenoble
Premiere: November 2014, Bonlieu Scène Nationale - Annecy, France.

フランス・グルノーブルの CCN2 - Centre choréographique national de Grenoble の芸術監督・振付家としてコンテンポラリーダンスの文脈で活動する Rachid Ouramdane による作品。 左手肘から先が義手のダンサー Annie Hanauer とスピンを得意とするダンサー Lora Juodkaité。 使われるナレーションからして二人の個人的な背景に着想してるのでしょうが、演出はあくまでミニマリスティック。 スピンし続ける Juodkaité に凄さというか陶酔感を感じることもありましたが、約1時間、少々単調に感じました。

スパイラルホール
2018/10/14, 15:00-16:30.
Concept and Choreography: Paula Rosolen.
Dance: Alina Bilokon, Léonard Engel, Sanna Lundström, Stephan B. Quinci, Leonardo Rodrigues, Paula Rosolen, Tamara Saphir.
Original Lighting Design: Tanja Rühl.
Production: Paula Rosolen / Haptic Hide and Takako Senda.
Premiere: September 2014, Théâtre de la Ville - Abbesses, Paris, France.

2015年からドイツ・フランクフルトで活動するコンテンポラリーダンスのカンパニー Haptic Hide を主宰する Paula Rosolen による作品。 エアロビクスの身体語彙を使った三幕物の抽象ダンス。 音楽は一切使わず、足音が音楽のように聞こえました。 ショーダンスのように音楽や照明などを使って派手にわかりやすくショーアップ演出することはせずに、ストイックに淡々としていたのは良かったですし、転びの動きも使った第二幕は面白かった。 しかし、エアロビスクとバレエの社会的な文脈の違いや制度への視点があるかと予想していたのですが、それはあまり感じられず、 フックになるポイントがあまりなく淡々し過ぎて三幕一時間余はさすがに長く感じてしまいました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3682] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Thu Oct 18 23:31:58 2018

6日土曜の晩は、さいたま新都心から新宿まで戻って。このライブを聴いてきました。

Björn Meyer
新宿 Pit Inn
2018/10/06, 20:00-21:00.
Björn Meyer (6-string electric bass guitar).

元 Nik Bärtsch's Ronin で Anouar Brahem のグループや Bazar Blå などでの活動で知られる スウェーデン出身でスイスを拠点に活動する6弦ベースギター奏者、Björn Meyer。 Ronin のライブは聴いたことがありましたが [鑑賞メモ]、ソロは初めて。 初のソロアルバム Provenance (ECM, ECM2566, 2017, CD) が良かったので、 楽しみにしていました。 フレットありの6弦 electric bass のソロを、アンコール一回を含めて約1時間半、 CDで聴かれたような繊細な音空間が楽しめたライブでした。

エレクトリックベースのソロといっても Jaco Pastorius のような技巧的な運指を駆使するような演奏ではありませんし、 Ronin の Zen-Funk のようなミニマルなグルーブを感じさせることもありません。 アルペジオや同音の反復なども使いつつ、時にプリペアドで音色を弄りつつソフトな音を、ルーパーを駆使してテクスチャを織り上げていくよう。 後半に強いスラッピンクの音も使いましたが、electric bass というより、guitar の爪引きを聴いているよう。 そんな演奏に静かに耳を傾けるライブでした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3681] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Oct 16 23:45:08 2018

10月3日は午前中まで広島で仕事をしていたのですが、晩までになんとか東京へ戻り、このオペラをソワレで観てきました。

William Kentridge
Die Zauberflöte
新国立劇場オペラパレス
2018/10/03, 18:30-21:30.
Libretto by Emanuel Schikaneder. Music by Wolfgang Amadeus Mozart.
Conductor: Roland Böer. Production: William Kentridge. Co-director: Luc De Wit. Set Design: William Kentridge, Sabine Theunissen. Costume Design: Greta Goiris. Lighting Design: Jennifer Tipton. Projection Design: Catherine Meyburgh. Video Operation: Kim Gunning. Supervisor for the Lighting: Scott Bolman. Stage Manager: Takahashi Naohito [高橋 尚史].
Cast: Sava Vemic (Sarastro), Steve Davislim (Tamino), 安井 陽子 [Yasui Yoko] (Königin der Nacht), 林 正子 [Hayashi Masako] (Pamina), 九嶋 香奈枝 [Kushima Kanae] (Papagena), André Schuen (Papageno), 升島 唯博 [Masujima Tadahiro] (Monostatos), etc.
Chorus Master: 三澤 洋史 [Misawa Hirofumi]. Chorus: 新国立劇場合唱団 [New National Theatre Chorus]. Orchestra: 東京フィルハーモニー交響楽団 [Tokyo Philharmonic Orchestra].
Production of Aix-en-Provence Festival and Rouen Opera, created at Théâtre de la Monnaie in 2005.

新国立劇場オペラの芸術監督に 大野 和士 が就任しての初めてのシーズンの最初の演目は、 現代美術の文脈で知られる William Kentridge の演出による Mozart の『魔笛』。 Kentridge の個展 What We See & What We Know (東京国立近代美術館, 2010) [鑑賞メモ] も楽しみましたし、 Kentridge 演出による Alban Berg のオペラ Lulu を Metropolitan Opera のイベントシネマで観て [鑑賞メモ]、 生で観てみたいと思っていたところ。早速、シーズン最初の公演を観てきました。

Kentridge の Die Zauberflöte は2005年のプロダクションで、 Kentridge の手掛けたオペラとしては2作目。 19世紀の箱型カメラの内部を模した舞台にの内部に書き割り的な背景を作り、 時に照明を落としてその上からネガポジを反転した Kentridge のドローイングを投影するという演出。 ネガポシを反転するとこで、白色光で空間にドローイングしているよう。 プロジェクションマッピング技術を駆使した最近の演出に比べると素朴さは否めないものの、 ドローイングのアニメーションのプロジェクションは多層的で、時に舞台全体を覆い、異空間の中に歌手が浮かび上がるよう。 しかし、レチタティーヴォではなく台詞で物語を進めるという形式もあるかと思いますが、 抽象的にシンボリックに物語るわけではなく、少々ベタな演出にも感じました。

時に没入感もあるプロジェクションは見応えありましたが、全体として面白いという程では無かったのは、 最初は成敗すべき相手だった Sarastro が後半は試練を乗り越えて受け入れてもらうべき相手に入れ替わっているという捻りがあるものの、 基本的には主人公に葛藤が感じられない英雄成長譚でというのが、自分の好みではなかったということはあるかもしれません。 しかし、原作の時代設定の古代エジプトではなく、このプロダクションでは bustle などの登場人物の衣装からして19世紀後半「帝国の時代」に時代設定されていたのですが、 時代設定の意図が掴みかねて、その妙が楽しめなかったというのもあるかもしれません。 「『魔笛』演出・美術 ウィリアム・ケントリッジ スペシャルトークを開催しました」 (新国立劇場オペラ 公演関連ニュース, 2018-10-03) によると、 「写真的な世界」と「写真そのものが発明された黎明期という時代」を結びつけたようなのですが、 元の作品の18世紀啓蒙主義的な主人公の解釈をいじっていなかったので、あまり整合していないように感じてしまいました。

やはり、Metropolitan Opera でやった Дмитрий Шостакович [Dmitri Shostakovich] の Нос [The Nose] や Alban Berg の Lulu のような20世紀の作品で Kentridge 演出のオペラを観たかった、と、不完全燃焼気味になりました。 もしくは、去年2017年には Salzburg Festival で手掛けた Berg の Wozzeck。 しかし、Die Zauberflöte ですら集客が厳しかったら、 Нос [The Nose]LuluWozzeck のような演目を日本に持ってこれないでしょう。 この公演が成功してまた次があることを願うばかりです。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

実は、6日土曜のマチネを取ったつもりでいたのですが、発券して見たら平日ソワレ。 日を間違えてチケットを取ってしまうことは滅多にない (というか今まで記憶に無い) のですが、 よりによってチケットが高額なオペラでやってしまいましたよ。 一日ズレていたら完全にアウトでしたが、出張から戻る日でよかった……。 しかし、移動で4時間、観劇で3時間、座り続けたので、流石に座り疲れました。 こういうことは二度とやりたくありません。

オペラを観る予定でいた土曜の午後の予定がすっぽり空いたので、 6日土曜はふと思い立って、昼にさいたま新都心へ。 さいたまスーパーアリーナで開催されていたフィギュアスケートの Japan Open 2018 を観てきました。 2016年にライブストリーミングで観て気に入っていた Мария Сотскова [関連発言] の代理による出場が直前に決まったということもあり、生で観ておく良い機会かな、と。 当日券で、会場に着いたのも開場後ということで、ほとんど最上列の席になってしまいましたが、 表情はともかく演技は十分に見えました。 というか、暗い照明を多用する現代的な演出のダンスや演劇では席が悪いと観れたものでは無い場合が多いのですが、そこまで酷くないことがわかったのは収穫。 一応、国際スケート連盟公認のオープン競技大会ですが、試合としてショーアップされた競技大会の部分よりも、 エキシビジョン的に演出されたゲストスケーターの演技の方が楽しめました。 そういう意味では、同日晩に開催されたガラ形式のアイスショー Carnival on Ice を観た方がよかったのでしょうが、晩は別件があったので、仕方ありません。 推しについていえば、演技の出来は残念でしたが、生で観て良かったかな、と。遠目でも一目でわかる高さ、スタイルの良さだと、つくづく。 フィギュアスケート観戦など子供の頃にしたことがあるような記憶もありますが、実質初めて。 普段と勝手が違いアウェーに感じることも少なくありませんでしたが、一度は体験してみて悪くはなかったでしょうか。

[3680] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Oct 14 21:44:00 2018

2週間前の話になってしまいましたが、台風24号の迫った9月30日の夕方、 六本木でこのコンサートを観てきました。

音楽詩劇研究所 presents Saadet Türköz, Аня Чайковская, Мария Корнева, Sainkho Namtchylak
SuperDeluxe
2018/09/30 17:30-19:00
Saadet Türköz (vocals), Аня Чайковская [Anya Tchaikovskaya] (vocals), Мария Корнева [Marya Korneva] (vocals), Sainkho Namtchylak (vocals), 八木 美知依 [Michiyo Yagi] (箏 [koto]), 河崎 純 [Jun Kawasaki] (contrabass), 石塚 俊明 [Toshiaki Ishizuka] (drums, percussion), チェ ジェチョル [崔 在哲, Choi Jae Chol] (chang), 黒田 鈴尊 [Reison Kuroda] (尺八 [shakuhachi]), 大塚 惇平 [Jumpei Ohtsuka] (笙 [sho]), 小沢 あき (guitar), 亞弥 (dance), 三浦 宏予 (dance), etc.

トルコや旧ソ連圏の jazz/improv やそれに近い folk の文脈のミュージシャンとパフォーマンスを伴うライブというか音楽劇を制作してきている 河崎 純 の音楽詩劇研究所 [2011年の鑑賞メモ]。 今回のプロジェクトではトルコからシベリアにかけての4人の女性歌手をフィーチャーし、 Continental Isolation と題した “Eurasian Opera” を 9月27, 28日に座・高円寺2で上演したのですが、そちらは都合が合わず。 30日のコンサートの夜の部を観ました。 4人の歌手は一緒に歌うことはなく順に登場してそれぞれ歌うというもの。 2名のダンサーも登場しましたが、座・高円寺2での公演とは違いコンサートということで、踊るスペースも十分に無く演出的に目立つということもなく、あくまで演奏中心。 台風24号が接近し鉄道運転見合わせも計画されていたため19時終演と決めての予定より短めのコンサートでした。

最初に登場したのは、ロシア・シベリア地方イルクーツクを拠点に活動する Мария Корнева [Marya Korneva]。 小沢 あきの guitar と大塚 惇平 の笙の伴奏で、時にクラシカルに、時にジャズ・ボーカル風に、オーバートーンの歌唱も少し交えて。 ハイトーンというかソプラノな声は綺麗で、リズム隊の無い控えめな伴奏もあって、エアリーにも感じました。 さらに 八木 美知依 の箏が入って少し歌いました。

続いて、前に観た Sound Migration [鑑賞メモ] にも参加していた Saadet Türköz。 トルコ・イスタンブールを拠点に活動する、東トルキスタンのカザフ系をルーツに持つ歌手です。 箏だけの伴奏で舞台脇でオペラに出演していた歌手と思しき人たちとひとしきり声を出し合った後、 八木 の箏(主にベース箏)と チェ ジェチョル の韓国の伝統的な打楽器 chang の作り出すヒプノティックなビートに合わせて 迫力あるシャーマニックで抽象的な歌唱を聴かせてました。 さらに、伴奏が 河崎 純の bass と 石塚 俊明の drums に替わってしばらく歌いました。

三番手は、ウクライナ出身で最近はロシア・サンクトベテルブルグを拠点に活動する Аня Чайковская [Anya Tchaikovskaya] 黒田 鈴尊 の尺八と 石塚 の繰り出す軽いパーカッションのみの伴奏で、ウクライナの民謡をベースにしたという歌を。 口に篭るように響かせつつ最後にしやくり上げるようないかにも東スラブの民謡を思わせる歌い口ですが、 Сергей Старостин [Sergey Starostin] のプロジェクト等などロシア〜東欧の民謡に基づく音楽のCDで聴いたことはありましたが、 生で聴いたのは初めてかもしれません。 尺八の音も、低音 Калюка (ロシアの伝統のエアリードの管楽器) のようで、歌唱に合っていました。 途中、東スラブというより、東地中海かバルカンを思わせるような節回しの歌も一曲耳に残りました。 最後は、ベース、箏に日本の歌手も加わって、日本の子守唄風の歌から、いつの間にかウクライナ民謡風に繋ぎました。

最後はロシア・シベリア地方はトゥバ共和国出身で、ソ連時代から jazz/improv の文脈を中心に活動を続ける Sainkho Namtchylak。 drums と chang の繰り出す強いビートと掛け合うように、jazz 的なスキャットではないものの、リズミカルなヴォイシング。 伝統的なオーバートーン歌唱ホーメイ (Хөөмей) でも知られるわけですが、後半に少し使っただけでした。 経歴からして結構な年齢かと思いますが、まだまだ衰えを感じさせないパフォーマンス。 昼の部にも出演していたということもあり、他の3人より短めでした。

様々な国・地域のミュージシャンを集めてのプロジェクトというのは、得てして顔合わせしたというレベルに留まってしまうことが多いのですが、 組み替えながらも小編成で演奏したこともあってか、音に多様性もあり、期待以上に楽しめました。 4人の歌手で90分、一人あたり30分も無かったこともあり、物足りなさも感じました。 特に、Аня Чайковская [Anya Tchaikovskaya] の歌声がとても気に入りました。 サンクトベテルブルグの jazz/improv のミュージシャンたちと新作を録音したとのこと、 それがリリースされるのを楽しみにしています。

会場は六本木の西麻布寄りにある SuperDeluxe。 1990年代、麻布十番にあった建築事務所 Klein Dytham architecture の一角にあったオルタナティブスペース Deluxe が、 移転拡大する形で2002年にオープンしたスペースです。こ この SuperDeluxe から、2019年1月閉店のお知らせが出ました。 理由は「ビルの老朽化により賃貸契約が継続不可となった為」。 Deluxe はさほどでもなかったのですが、SuperDeluxe になってからは主に jazz/improv のライブを目当てに年数回足を運んできました。 ダンス等のパフォーマンス、インスタレーション、建築やデザインのトークなど、多様なイベントに使われていて、そういうイベントで行ったこともあります。 古いビルの地下のコンクリート打ちっ放しの空間に、空調照明以外ほとんど手を入れず、 イスやテーブルを並べ替えることで自由にレイアウトできる、まさにオルタナティヴスペースという雰囲気が好きです。 お知らせによると、「この先にも新しい実験を出来る場を提供する準備も進めています」とのこと。そちらも期待します。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

台風接近の予報で20時にはJRが計画運休すると報道されていたので、行くべきか直前まで悩んだのですが、行って良かったと、つくづく。 終わらなくても19時には中座するつもりでいたのですが、主催者の配慮で19時終演で、中座せずに済みましたし。 19時の時点ではまだ風は強くなく、トラブルに遭うことなく20時頃に帰宅できました。 23時には暴風雨になったので、余裕を持って19時終演にして良かったのだと思います。

この週末は土曜の昼夜に舞台を2本観る予定を先に入れてしまっていたので、 Terje Isungset と Eurasian Opera Tokyo 2018 のどちらを金曜に観て、どちらを日曜に観るか、悩みました。 オペラを観たかったようでもあり。しかし、これだけ被ってしまうと、どうしようもありません。

[3679] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Wed Oct 10 0:44:36 2018

9月29日土曜の晩は、池袋西口から横浜山下町へ移動して、3週末づつけでKAAT。 で、この舞台を観てきました。

KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2018/09/29, 19:00-20:30.
Based on the film Town Bloody Hall by Chris Hegedus & D. A. Pennebaker.
Directed by Elizabeth LeCompte.
Enver Chakartash, Matthew Dipple, Ari Fliakos, Gareth Hobbs, Greg Mehrten, Erin Mullin, Scott Shepherd, Maura Tierney, Kate Valk.
2016 May 11-27: Advance showings at The Performing Garage; 2016 September 21-24: Performances at deSingel, Antwerp, Belgium.

ニューヨークを拠点とする1975年に結成されたカンパニーによる二度目の日本公演。 いわゆる戯曲作品ではなく、過去の歴史的な出来事の記録に題材を取って上演するとこで知られていて、 2015年の初来日公演の演目 Early Shaker Spirituals (2014) は、1976年にLPとしてリリースされたシェーカー教徒の聖歌を再現する作品でした。 といっても、残念ながらこの来日公演は見ることができず、今回観るのが初めて。 今回観たのは1971年にニューヨークの Town Hall での開催された討論会「女性解放に関する対話」を収録したドキュメンタリー映画 Town Bloody Hall に取材した作品。 カンパニーの作風や元になった討論会に関する予備知識があまりなく、台詞主導の辛気臭い作品かもしれない、と嫌な予感もしていました。

実際の所は、小説家 Norman Mailer がホストを務めるということで、客観的なデータに基づくものというより、主観的で文学的なレトリックを駆使したもの。 ホストの Mailer や場を乱そうとした Jill Johnston といい、胡散臭さすら感じる個性的なキャラクターで、なるほどこれは舞台作品にできるな、と、納得。 The Wooster Group による舞台作品化は、TV番組でよく使われる再現ドラマのようなリアリズムに基づくものではなく、 元のドキュメンタリー映画を音を消して上映しつつそれに合わせて演じたり、Normal Mailer 役として2人の俳優を使ったり。 一人の登場人物を複数の俳優で演じるというのはマイム等でよく見られることですが、 一人の俳優がその登場人物になりきって統一的な内面のある人物として演じるのとは異なり、討論会の状況を構成する一要素を作り出すような演出に感じられて、興味深かったです。 さらに、Norman Mailer 監督・主演の映画 Maidstone (1970) を織り交ぜたり、 実際は打ち切られてしまった Jill Johnston の講演の後半を、著書 Lesbian Nation に書かれた全文から復元して、最後に付けたり、と、 状況の再構成にとどまらないところもありました。

一時期、FESTIVAL/TOKYOでドキュメンタリー演劇を観る機会が多くあったわけですが、 そんな中では、レバノン内戦の戦士や政治リーダーたちに関する実際にあった出来事を再構成した Rabih Mroué: How Nancy Wished That Everything Was An April Fool's Joke [鑑賞メモ] のことを少し思い出しました。 形式的な作風が似ていたわけではないのですが、映像/ドキュメンタリー映画だけ観ていたら途中で飽きていたかもしれないと思うだけに、 リアルに演じているのではなくても人が語ることによって耳を傾けさせる力を感じさせるという点に共通するものを見たような気がしました。

ところで、余談ですが、ニューヨークの Town Hall というと、このハコで録音されたライブ盤 Anthony Braxton: Town Hall (Trio & Quintet) 1972 (Trio, 1972; hatART, 1992) が最初に思い浮かびます。 他にも、1960年代のESPレーベルのリリースにも、Ornette Coleman や Albert Ayler、Sun Ra など、 Town Hall でのライブ音源がよく使われていました。 そんなこともあって、音楽ライブ向けの音響を考慮した作りの会場なのかと想像していたのですが、 舞台中に上映されていたドキュメンタリー映画から垣間見られる様子はそうではありませんでした。 あんな所でやったライブだったのか、と、会場の様子を知ることができたのも、収穫でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3678] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Oct 8 19:28:20 2018

先週末の話になりますが、9月29日は昼に池袋西口へ。この舞台を観てきました。

Camille Boitel
MA étude
カミーユ・ボワテル 『間 エチュード』
東京芸術劇場シアターイースト
2018/09/29, 15:00-16:30.
a show by Camille Boitel.
concept and direction: Camille Boitel and Sève Bernard.
production design: Camille Boitel and June Aoki [青木 淳]; light and manipulation on stage: Kenzo Bernard; stage management: Hugo Frison.
with: Camille Boitel, Sève Bernard, June Aoki [青木 淳], and Sho [笙] player Tokiko Ihara [井原 季子].
production and touring: L'immédiat.

度々日本で制作・公演しているフランスのサーカス・アーティスト Camille Boitel の 来年の初演に向けて制作中の MA 『間』の 創作プロセスのプレゼンテーションというかトライアウト(試演)を観てきました。 試演といっても、それなりに作品風に纏めてくるのかと思いきや、 作品全体のプランや作品を構成する各スケッチの創作意図などの説明にもそれなりの時間を割き、 予想以上に「創作プロセスのプレゼンテーション」の色が濃いものでした。

といっても、個々のスケッチをとってみれば、へたなダンスのショーケース公演の短編作品以上の完成度があるものもありました。 何に着想して制作しているのか垣間見れたという興味深さもありましたが、 完成作では一場面となってしまいここの印象が薄くなりがちのものを切り出して見る事で、その場面でのアイデアや狙いがはっきり感じられるよう。 MA は「叶わぬ恋の物語」というテーマの作品で、 演じたスケッチは Boitel と Bernard が、うまくいかない男女を様々な形で演じていくというもの。 そのテーマもあってか、今までの作品よりもとっつきやすくわかりやすくなったように感じました。

以前から Jacques Tati との共通点を感じていたのですが [鑑賞メモ]、この試演はそういうコメディの色が強く感じられました。 作品全体としては床を順次崩壊させていくプランのようなのですが、 崩壊する装置を使ったアクロバティックなコメディという意味では、Buster Keaton とかも連想させられます。 うまくいかないスケッチの後には「だめだこりゃ」と言いたくなるというか。 詩的でロマンチックな皮を被っていますが、いわゆるサーカス芸というより、アクロバティックなスラップスティック・コメディに系譜付けできるような表現とも言えると 腑に落ちた試演でした。

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[3677] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Oct 1 23:27:17 2018

先週金曜の晩は、新宿二丁目へ。このライブを観てきました。

Terje Isungset with Sara Marielle Gaup Beaska
新宿 Pit Inn
2018/09/28, 20:00-22:00.
Terje Isungset (percussions, jew harp), Sara Marielle Gaup Beaska (voice), Asle Karstad (sound engineer).

今年の頭から「東京の音」というプロジェクトに取り組んできたノルウェーの打楽器奏者 Terje Isungset のファイナル公演が、9月29日〜30日の3日間、新宿 Pit Inn で開催されました。 2月「冬」には奥多摩の仕込み水を材料にした大田区での氷楽器の制作と公演、 5月「春」には八丈島での自然素材を使った楽器の制作と公演、 8月「夏」には奥多摩での自然素材を使った楽器の制作と公園、 で、このファイナルは「秋」で都会の音という位置付けです。 「冬」「春」「夏」も公演情報などは目にしていたのですが観てはいませんでした。 ファイナルも他の予定と被って日程的に厳しかったのですが、なんとか、その初日というか前夜祭という位置付けの公演を聴いてきました。

この晩は「春」「夏」で制作した自然素材で作った楽器 – ほとんどが打楽器 – を使ってのコンサート。 まずは制作の様子を撮影した約30分のビデオを上映した後、ソロの演奏を少々、その後、 スカンジナビア半島の北部に住むサーミ (Sami) の伝統的な歌唱法による歌 joik の女性歌手 Sara Marielle Gaup Beaska をゲストに迎えてのデュオに。 ビデオ上映とアンコール1回を含めて約2時間のコンサートでした。

ビデオで観た制作の様子における迷いの無さからも窺えるが、 どのような音を出したいのか、音の好みは本人も明確なよう。 今まで3回来日公演を観ていますが [鑑賞メモ] 八丈島の砂、竹や奥多摩の石や木材を材料にすることで音に大きな変化はありません。 非整形のオブジェを当てたり擦ったりすることで発する倍音成分の多い微かな音をバーブ深目に増幅して作り出す音のテクスチャは相変わらずでした。

ゲストの Sara Marielle Gaup Beaska は、Steiner Raknes どのデュオ Arvvas で何回か来日していますが、そのライブは観ていません。 Isungset の氷楽器のアルバム Hibernation (All Ice, 0905, 2009, CD) などにもフィーチャーされていて、 それで聴いたことはありましたが、生で聴くのは初めて。 赤を基調としたサーミの伝統的な衣装も可愛らしく、即興もやりましたが、伝承曲や既に作られた歌を中心に。 と言っても明瞭なメロディや歌詞があるわけでは無い、倍音成分の多い歌唱なので、Isungset の音世界に合っています。 CDでは囁くように聞こえる録音レベルですが、ライブではマイク無しでもしっかり響くような歌声を楽しむことができました。

土曜の晩には氷楽器を使ったコンサートが予定されていたのですが、既に他の予定が入っていて観られず。 今年2月の氷楽器のコンサートも年度末の平日晩ということで見られず。 つくづく、氷楽器コンサートとは縁が無いんだな、と。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

海外招聘のダンスや演劇の公演は数ヶ月前にはチケット販売開始になる一方、 jazz/improv のライブ情報が出回るのは1ヶ月ほど前であることが多く、 気付いた時には既に観劇の予定が埋まっているというパターンが少なくありません。 同じくらいのタイミングで判れば観る方も調整のしようもあるのに、と思いつつ、 ジャンルによる習慣の違いは調整し難いものもあるのでしょう。 ほとんどの観客はジャンルで棲み分けていてそもそもそんなニーズがあるとも思えないし、 コントロールし難いものにくよくよしても仕方ないと思いつつ……。

[3676] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 30 21:43:35 2018

これも先週末の話になりますが、日曜の午後は埼玉は与野本町へ。この舞台を観てきました。

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
2018/09/23, 15:00-16:30.
Fragments, Not Forgotten 『断片 — 忘れることのない記憶』
Choreography: Seeta Patel
Dancers: Company of Elders; Rehasal Director: Simona Scott.
Sound Editing: Pete Maxey; Music - extracts from: John Metcalfe, Olafur Arnaulds; Including voice recordings from Company of Elders.
A Tentative Place Of Holding 『テンタティブ・プレイス・オブ・ホールディング — 永遠の生に向かって』
Choreography: Adrienne Hart;
Dancers: Company of Elders; Rehasal Director: Simona Scott.
Outside Eye: Natalie Corne. Music - extracts from: Adrian Wardle: “Corpus Phase IV”, John Cage: “Triple-Paced”, Nils Frahm: “All Melody”.
Abyss 『深淵』
Choreography: Dickson Mbi
Dancers: Company of Elders; Rehasal Director: Simona Scott
Music Composer: Roger Goula Sarda. Creative Support: Paris Crossley, Victoria Shulungu, Stephanie Berge, Farooq Chaudhry, Julia Cheng & Company of Elders.

英国国立のコンテンポラリーダンスの劇場 Sadler's Wells が 教育普及プログラムの一環としてプロデュースしている高齢者によるダンスカンパニー Company of Elders。 Sadler's Well では面白そうなコンテンポラリー作品が上演されることが多く、ウェブサイトで上演作品をよくチェックしてきています。 そんな劇場が、60歳以上、最高齢は89歳という年齢構成でどんな作品を制作しているのかという興味もあって観てきました。

トリプルビルで、3作品の振付家のバックグラウンドは、それぞれ、 Seeta Patel が南インド伝統舞踊 Bharatanatyam、Adrianne Hart はコンテンポラリーダンス、 Dickson Mbi はヒップホップダンスで、 3人とも若いプロフェッショナルなダンサーを使ったコンテンポラリーダンス作品を発表してきている振付家です。 振付家のバックグラウンドは多様ですが、その身体語彙を押し付けることはなく、 その作品からはそのような振付家のバックグラウンドを感じさせることはほとんどありませんでした。 最初の作品 Fragments, Not Forgotten こそダンサーのプライベートの声を使う所など Pina Bausch 的なナラティブな演出も感じる時もありましたが、 アブストラクトな A Tentative Place Of HoldingAbyss など、 高齢者の身体語彙を活かしたポストモダンダンスのような仕上がりに感じました。 最も楽しめたのは、 フロアに光で不完全な格子状のパターンを動かしつつ、それと緩やかに関係付けるように位置どりをしつつ手足を動かしていく A Tentative Place Of Holding でしょうか。

高齢者が踊るということで、早くて切れのいい動きなどは使われません。ステップを踏む程度で脚を上げるような動きもほとんど無く、腕を上げる動きも緩いものです。 それでも、自分の親とほぼ同世代と考えると、かなり踊れているのではないでしょうか。 比較的若く見える背の高い女性が一人、目立ってきれの良い踊りを見せていました。 終演後のトークの話を聴くと、プロフェショナルなダンサーとしての活動はしていなかったものの、 高齢者になる前からアマチュアとしてバレエやダンスを習ったり踊ったりしてきた方が多そうです。 トークでは多様なバックグラウンドを強調していましたが、トークに上がったダンサー3名の 引退前の職業は、テレビ局勤務、ロシア女性に関する社会学の研究者、数学の講師ということで、 労働者階級や裕福なブルジョワというより、中産階級のインテリが多そうです。 オーディションで絞っているというわけではなく、 そもそも Sadler's Wells のワークショップに参加したりオーディションを受けたりする機会が発生するような コンテンポラリーダンスの受容層を反映しているということでしょう。

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[3675] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 30 11:57:00 2018

先週末の話になりますが、二週続けて土曜の午後は横浜山下町へ。この舞台を観てきました。

KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2018/09/22, 15:00-16:00.
La marche
De et avec Mathurin Bolze
Régie générale, son: Jérôme Fèvre; Mise en lumière: Jérémie Cusenier
Creation 2015
Ali
De et avec Mathurin Bolze et Hèdi Thabet
Régie générale, son: Jérôme Fèvre; Lumière: Ana Samoilovich.
Creation 2008

Mathurin Bolze は1990年代半ばから主に現代サーカスの文脈で活動し、2001年に自身のカンパニー Cie MPTA を主宰する、フランス・リヨンを拠点とするサーカス・アーティスト。 観るのは初めてで、ほとんど予備知識無しで観ましたが、アクロバティックな技を駆使しながらも、力みを感じさせない、静かな美しさのある2作品が楽しめました。

最初の La Marche は人間大の回し車を使った作品。 回し車の中で、静かに歩く、小走りで走り、時に回転に身を任せるように、時にシルホイールのようにダイナミックに。 ライティングも控えめに、 Eric Satie の Gnossienne No. 1 に歩行に関するテキスト (Frédéric Gros: Introduction à la petite bibliothèqur du marcheur から採られているとのこと) の朗読を乗せた音楽も淡々。 後半は輪の中に椅子を固定し、さらに動きに変化を加え、 下から輪のスリット越しのライティングを使い、視覚的にもより幻想的に。 変化を付けながらも大技で盛り上げるようなことはしない演出も良かった。

次に上演した Ali は、18歳の時に癌で左脚を失ったという Hèdi Thabet とのデュオ。 道具としては上腕固定型の杖 (ロフストランドクラッチの杖) は使うが La Marche の回し車のような装置は使わず。 時にアクロバティックに、時にマーシャルに、又は、二人三脚となって静かにユーモラスに。 全体としては淡々とした動きながら、片脚の Thabet が Bolze をリフトしたりマーシャルな投げ技の動きをしたりと、片脚でもここまで動けるのかと見応えある場面もありました。

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[3674] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Sep 25 22:00:38 2018

木曜は都心で仕事だったので、仕事の後に新宿二丁目へ。このライブを観てきました。

Alone Together
新宿 Pit Inn
2018/09/20, 20:00-21:30.
Alone Together: Lauren Newton (voice), Heiri Känzig (doublebass); guest: 佐藤 允彦 [Masahiko Satoh] (piano)

アメリカ出身ながら Vienna Art Orchestra の創設メンバーなど欧州 (主にドイツ語圏) の free jazz/improv の文脈で活動する女性歌手 Lauren Newton が、 やはりアメリカ出身の ex-Vienna Art Orchestra で欧州で活動する doublebass 奏者 Heiri Känzig とのデュオで来日しました。 JAZZ ART せんがわ 2018 にも出演していたが時間が合わず、Pit Inn でのライブを観ました。 途中休憩1回にアンケートを含めて約1時間半のライブでした。

日本での Lauren Newton のライブというと jazz のイデオムを感じさせない、声をテクスチャのように用いる完全即興のスタイルのものばかりでしたが、今回は jazz のイデオムを感じさせるもの。 と言っても、スタンダードを歌うわけではなく、free 以降ならではの抽象的なヴォイシング。 特に、後半、piano の加えてのトリオになってから、 初顔合わせとは思えない Känzig の dass と砂糖の piano のインタープレイが良かった。 わかりやすいメロディを弾くわけではなく、特殊奏法も駆使してるのですが、繰り出されるフレーズに小技が効いているというか、シャレてると感じた程でした。

疲れてるし、Lauren Newton は何回も観てるし、と、若干腰引けてたのだが、仕事の後に頑張って観に行った甲斐がありました。 今まで観た Lauren Newton の出たライブの中で最も楽しめたかもしれません。

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[3673] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Sep 24 22:31:50 2018

月曜祝日だった敬老の日は、午後に恵比寿へ。この展覧会を観てきました。

Sugiura Kunié: Aspiring Experiments - New York In 50 Years
東京都写真美術館 2階展示室
2018/07/24-2018/09/24 (月休;9/17,9/24開,9/18休) 10:00-18:00 (木金 -20:00, 7/26-8/31木金 -21:00)

1963年に渡米し Chicago Art Institute に学び、1967年以降ニューヨークを拠点に活動する 写真を主なメディアとする現代美術作家の展覧会。 観てみれば2000年代以降の写真に見覚えのある作品がありましたが、ほとんどノーチェックの作家でした。

最初期1966-67年の魚眼レンズで撮ったヌードをソラリゼーション等のエフェクトをかけつつ合成したような作品シリーズ『孤』 (Cko) など、 サイケデリックな画面に時代を感じる興味深さ。 しかし、もっとも興味深かったのは、1968年以降1970年代にかけて制作されたフォトキャンバスのシリーズ。 写真をキャンバスにプリントした作品だが、ポピュラーな人や物をプリントした Pop Art 的な作品ではなく、 アクリル絵具で描いたカラーフィールドフィールドペインティングのような部分の彩度の低い色合いも渋く、 感光剤の塗りムラのあるキャンバスへ焼いた抽象度の高い画面構成の白黒写真のプリントは、むしろ抽象表現主義に近しい表現に感じられました。 高架電車の高架下をプリントした Small Deadend street (1977) では粗い塗りムラが使われる一方、 クローズアップのヌードを使った Untitled 3 (1970) など 塗りムラも鉛筆画の細かいタッチのようで、 被写体と塗りムラの組み合わせも絶妙でした。

フォトグラムの手法を主に使った1980年代以降の作品がむしろ彼女の代表的な作風なのでしょうが、 画面はダイナミックになるのだけど、偶然性等の要素が強くなるためか、画面の面白さは少々後退してしまったように感じられました。

The Magic Lantern - A Short History of Light and Shadow
東京都写真美術館 地下1階展示室
2018/08/14-2018/10/14 (月休;9/17,9/24,10/1,10/8開,9/18,10/9休) 10:00-18:00 (木金 -20:00, 8.16,17,23,24,30,31 -21:00)

19世紀的な (発明はもっと遡りますが) メディアとしてのマジック・ランタン (幻燈、幻灯機) の、メディア史的な展覧会。 興行師による見世物だけでなく科学技術の教育プレゼンテーションとしても使われ、20世紀に入り映画に取って替わられた、19世紀のメディアとしての資料展示は興味深く観られました。 しかし、現在のプロジェクションマッピングやパブリックビューイングはマジック・ランタン直系というより映画を経た動画による表現であり、 特別展示の 小金沢 権人 の作品もスライドショーではなくビデオインスタレーションでやはり動画による表現。 むしろ、OHP (Over Head Projector) を経てプレゼンテーションソフトに至る系譜や、 駅構内や電車内で一般化しているデジタルサイネージでの表現に、 マジック・ランタン直系の動画とは異なった表現のあり方を見せた方が良かったのでは、と。

コレクション展示の 『TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら』 も観たのですが、企画意図を掴みかねたか、ピンときませんでした。そういう時もあるでしょうか。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

三連休の一日は完全休養日にしたいと思いつつ、会期末の迫っている展覧会が色々ありますし、 さほど疲れなさそうなこの展覧会へ。 この夏の展覧会は、見逃してしまったものも結構あったような気がしますが、仕方ありません。うむ。

[3672] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Sep 24 19:08:15 2018

先週末の話になりますが、16日の日曜は午後に横浜山下町へ。

KAAT神奈川芸術劇場 ホール
2018/09/16, 15:00-16:45.
Devoted
Chorégraphie: Cecilia Bengolea et François Chaignaud
Musique: Philip Glass, Another Look at Harmony Part IV
Lumières: Jean-Marc Segalen; Costumes: Cecilia Bengolea et François Chaignaud avec l'atelier du CCN - Ballet de Lorraine.
Danseuses: Amandine Biancherin, Agnés Boulanger, Pauline Colemard, Inés Depauw, Vivien Ingrams, Sakiko Oishi, Elsa Raymond, Ligia Saldanha, Céline Schoefs.
Première le 12 mai 2015 à l’Opéra National de Lorraine
Steptext
Chorégraphie: William Forsythe
Musique: Jean-Sébastien Bach - Partita No. 2 BWV1004 in D minor, Chaconne
Décors, lumières et costumes: William Forsythe
Danseurs: Agnés Boulanger, Jonathan Archambault, Alexis Bourbeau, Luc Verbitzky
Créé en janvier 1985 par l'Aterballetto Italie; Entrée au répertoire du CCN – Ballet de Lorraine le 19 Février 2009 à l’Opéra national de Lorraine
Sounddance
Chorégraphie: Merce Cunningham
Musique: David Tudor, Untitled 1975/1994
Décor, costumes et lumières: Mark Lancaster
Danseurs: Clara Brunet, Vivien Ingrams, Valérie Ly-Cuong, Elsa Raymond, Céline Schoefs. Jonathan Archambault, Charles Dalerci, Nathan Gracia, Rémi Richaud, Willem Jan Sas.
Créé par la Merce Cunningham Dance Company, le 8 Mars 1975 à Detroit, Michigan; Entrée au répertoire du CCN – Ballet de Lorraine le 14 mars 2014 à l’Opéra national de Lorraine.

Ballet de Lorainne はフランス・ロレーヌ地方の首邑ナンシーのコンテンポラリー作品をレパートリーとするバレエ団。 4年前に観た howroomdummies #3 はむしろ 人形劇をバックグラウンドに持つ Gisèle Vienne & Etienne Bideau-Rey の演出の色も濃いものだったが、 今回は現代バレエ、ポストモダンダンスの作品からなるトリプルビル。

Devoted は、Philip Glass のミニマルミュージックに乗って、99人の女性ダンサーば、少し脇を締めて両腕を広げた位置で、ポワント立ちでクルクルと回るターンが印象的な作品。 シェネというほど腕の反動をほとんど使わないところも、ミニマリスティック。 肘を上げるように腕の位置を変えるだけでも、ふっと大きな変化に感じられました。 このような作品では、かっちり揃い過ぎると単調になってしまうわけですが、どう多様性を織り込むかもポイント。 少し深い緑にレオタードの色は統一されていたものの、ハイネックに長袖からキャミソールまで上半身の形状や、片足ストッキングの色は様々。 それだけではなく、シンプルな立ち位置とライティングの区画の使い方で舞台全体としての見え方に変化を付けていくのが面白かった。 ターン以外の動きも変化を付けていましたが、静的なポワント立ちなどよりも、ポワント技から外れる その場で走るような動きや拳を突き上げガッツポーズをするような動きが面白かった。 見た目に可愛らしさすら感じさせるところがあり、トリプルビルの中では最も楽しめました。 しかし、約25分間袖に下がることなく、ほとんどポワント立ちで踊り続けるので、 それなりにスキルのあるダンサーが揃ってないと上演難しそうな作品です。

Steptext は Forsythe の作品ですが、観るのは初めて。 バレエの動きのイデオムを原形留めないほど脱構築という印象ある振付家ですが、この作品はさほどでもなく、 暗転など使わずに始まるオープニングと言い、断片的な音楽の使い方と言い、むしろの編集の妙。 赤いレオタードの女性ダンサー1名と黒いレオタードの男性ダンサー3名ですが、もちろん、男女の物語のようなナラティブは感じさせません。 男女くんでの動きにおいて、腰でサポートするというより、両手を組んでの動きを多用。 女性ダンサーが大柄だったせいか、ハンド・トゥ・ハンドのアクロバットを見ているようと感じる時もあり、その力強さが良かった。

Marce Cunningham の Sounddance も観るのは初めて。 David Tudor の電子ノイズな音楽は定位を動かすような工夫もあったのですが、背景の布にダンサーの衣装の色が被ってしまい、視覚的にも聴覚的にも単調。 DevotedSteptext で集中が切れてしまったか、 作品を掴みかねてしまいました。

衒いを感じさせないオーソドックスなコンテンポラリー作品からなるバレエ公演でしたが、こういう公演も良いものです。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

しかし、バレエ公演という意識がなかったので、コンサバな服装のおじさまおばさまや子供と、バレエな客層にちょっとびっくり。 後半、斜め前のおじさまが動き出したり、少し離れた隣のおばさまがビニール袋をガサゴソしたりと、明らかに集中を欠いてたのが、ちょっと微笑ましかったです。 バレエを習ってると女の子たちも多かったのですが、楽しんでくれたでしょうか。

[3671] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Sep 18 0:24:44 2018

この週末の土曜は職場でやり残しの仕事を済ませた後に、仙川へ。このライブを観てきました。

Peter Evans + 石川 高 + 今西 紅雪 / 千野 秀一 ソロ / Peter Evans + 千野 秀一 + 坂本 弘道
JAZZ ART せんがわ 2018
せんがわ劇場, 仙川
2018/09/15, 16:30-18:00
Peter Evans (trumpet, piccolo trumpet), 石川 高 [Ko Ishikawa] (笙 [sho]), 今西 紅雪 [Kohsetsu Imanishi] (箏 [koto]); 千野 秀一 [Shuichi Chino] (piano); Peter Evans (trumpet, piccolo trumpet), 千野 秀一 [Shuichi Chino] (piano, urklavier, objects), 坂本 弘道 [Hiromichi Sakamoto] (cello, effects, objects).

去年 [鑑賞メモ] に続いて、今年も JAZZ ART せんがわ へ。 余裕があれば1日ゆっくり観たい所でしたが、ですが、日曜は既に予定あり。というわけで、観られたのは、土曜のこの坂本 弘道セレクションの公演のみでした。

Peter Evans は、Clean Feed などのレーベルに録音を残してきている NYを拠点に jazz/improv の文脈で活動する trumpet 奏者。 そんな彼を迎えて、前半は邦楽器とのセッション、千野のソロを挟んで、後半は千野、坂本とのセッションでした。 前半の邦楽器とのセッションといっても、雅楽の笙と、近世の楽器である琴という組み合わせからわかるように、 邦楽のイデオムを用いることは無く、音のテクスチャを重ねていくようなセッションだった。 Evans も、明確なメロディを演奏するどころか、マウスピースをまともに鳴らすようなことすらほとんどなかった。 千野の疎なピアノソロの後のセッションは、打って変わって、強い音で吹くことが多い展開。 千野もピアノだけでなく自作か大幅改造らしき urklavier という小型の琴のような弦楽器を、 そして、坂本もチェロを、ファンやバイブレータ、オブジェクトを使って音を駆使して、手数多く音を鳴らす展開。 直前にテクスチャを重ねるようなセッションがあったせいか、少し1970s風とも感じるフリーな即興セッションでした。

2008年に始まった日本の jazz/improv のミュージシャンをメインとしたフェスティバル JAZZ ART せんがわ ですが、 公式なアナウンスはありませんが、この2018年の第11回で ラストになるとのこと。 これは、会場の せんがわ劇場 の運営が直営管理から調布市文化・コミュニティ振興財団が指定管理者の下に移行するに伴ってのこと。 2015, 6年と行かなかったものの、初回から足を運んでいたフェスティバルだっただけに、一つの時代が終わったかかと感慨深いものがあります。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

夜の部はやめておいたのですが、帰ってすぐ寝落ちというか寝込んでしまったので、無理しなくて良かったかな、と。

[3670] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 16 13:42:26 2018

先週末の話になりますが、日曜の午後に新宿二丁目へ。このライブを観てきました。

新宿 Pit Inn
2018/09/09, 15:00-16:30.
Kristjan Randalu (piano)

ECM よりリーダー作 Absence (ECM, ECM 2586, 2018) をリリースしたばかりの Estonia 出身の piano 奏者がソロで来日した。 日曜の午後のライブは、アンコール2回を約1時間半程。 後半に内部奏法などを使った演奏もしたけれども、 端正でクラシカルに聴こえることもある、ECM らしいと感じられる、オーソドックスなピアノソロだった。

CDでは guitar 奏者 Ben Monder などと共演しているが、今回はソロということで、 CDで聴かれるほど疎に空間を感じさせるような演奏では無かった。 と言っても、アルペジオやトレモロで飾り立てるというより、 むしろ淡々とミニマルな反復のなかに強勢でメロディを浮かび上がらせるよう。 そして、そんな所に electronica 以降の jazz / improv との同時代性を感じた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

9月5日は台風21号の影響が残る中、一泊の予定で札幌へ。 昼はまだJR北海道が全線運休という中、バスや地下鉄を乗り継いてなんとか札幌に辿り着けたのですが、追い打ちをかけるように翌未明に北海道胆振東部地震が発生。 ホテルに宿泊できなくなった人も多かった中、ホテルが土曜までの延泊をさせてくれ難民状態を免れただけでも、幸運でした。 土曜の夕方には、なんとか帰ることができました。 3.11東日本大震災のような経験をすることはそうはあるまいと思っていましたが、まさか10年経たずして再び経験することになるとは。うむ。

[3669] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Sep 2 20:38:26 2018

今週末は不安定な天気だったわけですが、そんな中、昼に水戸へ。この展覧会を観てきました。

Rei Naito: on this bright Earth I see you
水戸芸術館現代美術ギャラリー
2018/07/28-2018/10/08 (月休;9/17,9/24開;9/18,9/25休), 9:30-18:00 (9/1-10/8 9:30-17:00)

『信の感情』 (東京都庭園美術館, 2014) [鑑賞メモ] 以来となる国内での 内藤 礼 の個展。 前回の個展では繊細なインスタレーションで感覚を研ぎ澄ますようなインスタレーションが無かった。 この展覧会ではミニマリスティックなインスタレーションが多くあり、久しぶりに感覚を研ぎ澄ますような鑑賞が楽しめた。 こんな展覧会は『すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している』 (神奈川県立近代美術館鎌倉, 2009) [鑑賞メモ] 以来だろうか。

会場入ってすぐのインスタレーション「母型」 (2018) は細く白いテグスで直径数mmのスフレビーズ (透明な樹脂の玉) とを複数ある一定のエリアに疎らに垂らしたもの。 エリアの前後を締めるようにやはり直径1〜2mmのシルバーの鈴を垂らしていた。 テグスがあまりはっきり見えないので、空間が微かに発泡しているよう。

自然光のみの陰影のあるギャラリー空間に、 小さな鏡や木製の人型、垂らした白い風船、水を張ったガラス瓶など、 光の微かなきらめきや微かな空気の流れを意識させるようなインスタレーションは相変わらず。 また、がらんとした3番目のギャラリーに細い糸を2本垂らしただけという「無題」 (2018) や、 最後の薄暗いギャラリーの奥の高さ2〜3mの所に細い白糸と小さな白ビーズで疎なリングを2つ吊るした「Two Lines」 (2017) のような、 この辺りにあるはずだと意識的に目を凝らして探さないと見えないような作品もあった。

長い通路状の展示空間は窓がほとんど潰されて薄暗くなっていたのだけれど、 一箇所中程の高さ2mくらいの所に開けられた小窓「窓」 (2018) から入る光の繊細も良かった。 ガラスに白枠を付けて木製の人形などを配したものを壁にかけた「窓」と題された作品が10点あり、 この薄暗い長い空間にも2点展示されていたのだけれども、 遠目に見ると奥から入る光を反射してガラスが煌めき、まるで窓が開いているかのように見えたのも美しかった。

他にも、『信の感情』にもあった白いキャンパスにうっすら色が浮かぶような作品「color beginning」シリーズ、 ステンレス製の白い小さな水路に息を吹きかけ生じる波紋を観る「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」 (2018) のような、 繊細なミニマリズムを楽しむような作品が多いのだが、 そんな中、モデルの女性が写った白黒グラビアの雑誌の頁をくしゃくしゃにした上で壁に吊るした 「顔(よろこびの方が大きかったです)」に感じられた微かなキャンプ風味が、その意図が掴みきれないながら、少々気になった。

最後のギャラリーに、観客が持って帰ることができる白い丸い薄紙が置かれている。 ギャラリーは薄暗くて光にかざして見ても何か書かれているように見えなかったが、 一通り観た後のカフェでスマートフォンのカメラで撮って拡大して、何が書かれているのかやっと読むことができた。 寡黙なインスタレーションに静かに目をやり、そのささやかなな煌めきを眺めているうちに、こちらへ「おいで」と誘われていたのかと。そんな気になった鑑賞体験だった。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

ちょっとしたきっかけで、最近、Françoise Hardy: If You Listen (Kundalini, 1972) をよく聴いていたのですが、 まさに表題曲の歌詞のようなインスタレーションの展覧会で、これも何かの巡り合わせなのかな、と。

Now for something completely different...

フィギュアスケートの2018/19シーズンが開幕して、先週末から ISUJunior Grand Prix シリーズが始まりました。 Junior Grand Prix は YouTube チャンネルがあり、ストリーミング観戦の敷居が低いのがありがたいです。 先週末の Bratislava は Ice Dance を後追いて観た程度でしたが、 今週末の Linz は土曜晩にゆっくりライブで観てしまいました。 ちょっと気になる公演もあったのですが前売り完売状態でしたし、 不安定な天気で外出中にゲリラ豪雨に遭遇するリスクも高かったですし、 家でのんびりフィギュアスケート観戦するというのも悪くないかな、と。

[3668] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 26 19:29:52 2018

土曜は午後に横浜みなとみらいの新港地区へ。この舞台を観てきました。

横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
2018/08/25 15:00-16:00
Artistic Direction and Original Choreography Akram Khan; Direction and Adaptation Sue Buckmaster (Theatre-Rites).
Music Composition: Jocelyn Pook; Lighting Design: Guy Hoare; Stories imagined by Karthika Naïr and Akram Khan; The grandmother’s fable in Chotto Desh is taken from the book The Honey Hunter; Written by Karthika Naïr, Sue Buckmaster and Akram Khan.
Dancer: Dennis Alamanos.
Akram's voice: Masaya Mimura; Father's voice: Akira Koieyama; Mother's voice: Meg Kubota; Jui's voice: Lilian Carter; Japanese translation: Osamu Inoue & Yuko Inoue.
Producer: Claire Cunningham on behalf of AKCT
Co-commissioned by MOKO Dance, Akram Khan Company, Sadler’s Wells London, DanceEast, Théâtre de la Ville Paris, Mercat de les Flors Barcelona, Biennale de la danse de Lyon 2016 and Stratford Circus Arts Centre.
World Premiere: 23 October 2015, DanceEast, Ipswich, UK.

2013年に来日公演した Akram Khan Company の DESH [鑑賞メモ] を子連れ家族向けの作品として作り直した作品です。 明示的ではないものの、フライヤの作りにしても、この日本公演も夏休みの子連れ家族向けの公演という位置付けでしょうか。

主人公の Akram の一人舞台ですが、Akram だけでなく父母などのセリフのナレーションや効果音に合わせて踊るというもので、 Desh よりも、ナレーションが丁寧になっていたでしょうか。 Desh を観た時はわかりやすく作り過ぎではないかとも思いましたが、 子供にも観せる作品という心算で観るとむしろちょうど良いくらい。 作品のテーマも、バングラディシュの独立戦争の部分がほぼ削られ、むしろ、 移民の子のアイデンティティの問題や父子の葛藤をメインに据えた形になっていて、 そういったところも家族向け作品らしいと感じられました。

コンテンポラリーダンス作品として観ようなどという変な気構えで臨まなかったせいか、 National Theatre Live にありそうな、身体表現や象徴的表現が多めの現代的な演出の演劇を観ているような気分で楽しむことができました。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

終演後、会場で偶然遭った友人と関内界隈のクラフトビールの店を21時頃まで(5時間!)ハシゴ。 あの界隈は個性的な店が沢山あって、開拓しがいがあります。 これから暫く DanceDanceDance@YOKOHAMA 2018 関連公演で横浜関内近辺へ行く機会が続くので、 暫くはこちらも楽しめそうです。

呑んでいる間は楽しいのですが、翌日にどっと疲れが出てしまいます(弱)。うーむ。

[3667] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 20 23:13:04 2018

土曜の晩は三軒茶屋へ。この舞台を観てきました。

2018/08/18 18:00-19:30
演出・振付: 目黒 陽介; 音楽: 坂本 弘道; 美術: 鎌田 朋子; 衣装: 田村 香織
目黒 陽介 (juggling), 長谷川 愛実 (aerial, dance), 谷口 界 (acrobat, dance), ハチロウ (juggling), 安岡 あこ (dance), 吉田 亜希 (aerial, dance), 入手 杏奈 (dance); 坂本 弘道 (cello, musical saw, electronics), 菅原 雄大 (cello, violin), 玉井 夕海 (voice, accordion)

コンテンポラリーサーカスのカンパニー ながめくらしつ [鑑賞メモ] の結成10周年となる公演。 主催の 目黒 陽介 はジャグラーで、活動当初はジャグリングの舞台作品を作るカンパニーを謳っていたが、 ジャグリングの技を見せるような場面はかなり後退し、ダンスやアクロバットの中に自然に溶け込むよう。 ジャグリングも、作品を構成する多様な身体能力の一つとなっていた。 伊坂 幸太郎 の短編小説『終末のフール』に着想したとのことだが、物語るような演出は無く、 むしろ、生演奏の音楽に合わせて抽象的に表現するような作品だった。

客席は入口側とその反対側の二面に設けられ、その間ほぼ中央に不揃いの方形の金属枠が3台置かれていた。 開演後すぐに舞台脇にあった身の丈が隠れる高さの板で舞台中央を塞ぎ、向こう側のパフォーマンスの様子がほとんど見えないようにして進んだ。 自分が座った側では、ミュージシャンは菅原と玉井の2人。 ダンスやアクロバティックな動きはもちろん、 ダンスやジャグラーとダンサーの絡み––長谷川が積極的に妨害するような動きをするものや、 安岡が脱力するようにジャグラーに身体を預けたり––などのパフォーマンスが繰り広げられた。 舞台中央の壁の向こう側がどうなっているか分からず全体像が掴めないというのは作品のコンセプトかと思うが、 空間、そして視野が狭くなってしまい、動きの面白さを殺してしまっていた。 もう一度向こう側も観てみたいと思うようなフックも無かったのは、物足りなかった。

そのうち、奥側で長谷川の、手前側で吉田のティッシュのエアリアルが始まった頃から、ぐっと舞台に引き込まれた。 対角線にティッシュを配することで高さだけでなく幅奥行きが広がり、仕切られていた空間がぐっと広がったよう。 そして、実際に仕切りは取り払われ、3つの方形の枠を自在に使ったバフォーマンスになった。 最初の枠を使った鉄棒やチャイニーズポールのような動きを密に組み合わせたような動きから、 谷口、安岡、入手をそれぞれをメインにフィーチャーしてのソロ的な動き、 そして、目黒とハチロウのジャグリングのデュオへと。 エアリアル以降は個々のパフォーマーをフィーチャーしたような構成もあり、個々の動きも楽しむことができた。 エアリアルだけでなく枠等を使った縦方向の動きでもシャープさを見せてくれた吉田や、 後半の3つの枠で作った三角形のスペースでの枠も駆使したアクロバティックな動きを見せてくれた谷口など、特に印象に残った。

今回の音楽も 坂本 だが、ドラムレスで、2人の cello に accordion という少々変則的な編成。 抽象的なヴォイシングながら女性ヴォーカルが入ることで、今までにも増して叙情的に感じられた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3666] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 19 20:32:23 2018

この週末は初秋のような涼しさ。 久々の散策日和だったので、土曜はランチがてら二ヶ領用水沿いを等々力緑地まで散策。 ついでにこの展覧会を観てきました。

川崎市民ミュージアム所蔵のポスターと町田市立国際版画美術館所蔵の絵本からなる、 ロシア革命後から1932年までのポスターと絵本の小規模な無料の企画展。 Владимир Маяковский [Vladimir Mayakovsky] の手がけたポスター Окна РОСТА [ROSTA Window] や Густав Клуцис [Gustav Kurtsis] のフォトコラージュのポスターなど、 Russian Avant-Garde の展覧会で観る機会の多いものもあったけれども、 この展覧会では、лубок [lubok] と呼ばれる民衆版画の流れを汲むという、しかし、より写実的で作家性の高い版画や、 Дмитрий Моор [Dmitry Moor] など風刺画をバックグラウンドに持つような作家のプロパガンダポスターに焦点を当てていました。 もちろん、Моор のポスターにも、同時代の Avant-Garde のデザインとの共通点は感じられます。

この時期の革命ロシアのグラフィックデザインの展覧会はそれなりに観てきているが [鑑賞メモ]、 Александр Родченкo [Aleksandre Rodchenko] のような構成主義的なアヴァンギャルドのものを中心に構成されることがほとんど。 Дмитрий Моор のポスターも観たこと、さほど印象に残っていませんでした。 小規模で構成主義が控えめな企画なだけ、民衆版画風や風刺画のプロパガンダポスターも少なからずあったのだな、と気付かされました。 無料の小企画展の上、観たことのある作品も少なからずありそうだったので、さほど期待していなかったのですが、意外と興味深く観ることができた展覧会でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3665] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 13 23:18:25 2018

先週末の土曜は昼前から神保町へ。 ソ連時代の1950年代から1980年代にかけて活動したジョージア [グルジア] の映画監督 Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。 彼の「祈り」三部作の上映が岩波ホールでやってます。 10年前に観た三部作の最後の作品 Покаяние [მონანიება / Repentance] 『懺悔』 [鑑賞メモ] の印象も良かったので、残りの2本を観てきました。

Мольба [ვედრება / The Plea]
『祈り』
1967 / Грузия-фильм (СССР) / 77 min. / B+W
Режиссёр: Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。

19世紀ジョージア [グルジア] の詩人 Важа Пшавела [ვაჟა-ფშაველა / Vazha Pshavela] の叙事詩に基づくという映画。 都市での様子からして舞台は19世紀かと思われますが、旧式な銃程度で近代的な文化はほとんど入ってきていないコーカサスの山中が舞台。 主人公キリスト教徒の戦士 Алуда は敵対するイスラム教徒の戦士を討ち取るのですが、敵戦士への敬意を払ったことを咎められ、属する部族から追放されてしまいます。 放浪ののち、討ち取った戦士の身内に客人として迎えられるものの、その部族の人々に気付かれ、捕らえられ、討ち取った戦士の墓の上で処刑されてしまいます。 映画は、象徴性の高い画面構成の白黒サイレント映画にナレーションや音楽を付けたような作り。 セリフは一部の例外を除いてそのまま使われず、口の動かない映像にアフレコで言葉を付けているので、発話なのか内面描写なのか判然としません。 コーカサス山中の草木の少ない自然の風景や石造りの建物を捉えた白黒の映像は、見慣れないこともあって、まるで異星のよう。 レズギンカ (民族舞踊音楽) やポリフォニーなど、コーカサスらしい音楽が多く使われていました。 冒頭の場面で Алуда のもとへ客人として訪れてきた女神のような女性が、 Алуда 処刑の後、Алуда の部族に処刑 (乞食と結婚させられた上で絞首刑) されるのですが、 象徴的とはいえ、若干蛇足のようにも感じられてしまいました。 淡々と余白の多いミニマリスティックな作りで、宗教対立の不条理を物語ってくるというよりも、 音楽的、詩的とも感じる映像が印象に残る映画でした。

Древо желания [ნატვრის ხე / The Wishing Tree]
『希望の樹』
1976 / Грузия-фильм (СССР) / 107 min. / colour
Режиссёр: Тенгиз Абуладзе [თენგიზ აბულაძე / Tengiz Abuladze]。

ソ連時代のグルジアで活動した小説家 Георгий Леонидзе [გიორგი ლეონიძე / Georgii Leonidze] の短編集に基づくという映画。 舞台は、ロシア革命直前の20世紀初頭のグルジアの農村。 母を失い父と祖母の家に移り住んできた美しい娘 Марита [Marita] は従兄弟の Гедиа [Gedia] と相愛の仲となるが、 村長の意向もあり裕福な農家の息子 Шэтэ [Shete] と結婚させられる。 Шэтэ が家を空けた間に Марита に会いに Гедиа が訪れるが、それを知られた Марита は村中を引き回しの上、処刑されてしまう、という物語です。 同じコーカサスの山中を舞台にしても、色付きで見ると、かなり現実的。 セリフが入って、個々の登場人物の描き込みが深くなり、ぐっと物語性が強くなったよう。 叙情的とも感じられる美しい映像表現も残していましたが、人物描写に基づくユーモア、皮肉がぐっと表に出てきていました。 美しい Марита や素朴な好青年 Гедиа よりも、 ボロボロながら19世紀後半の都会の女性のような服装をした白塗り化粧の年齢不詳の女性 Фуфала [Pupala] や、 村中の男に色目を使う女、不誠実そうな聖職者、子供相手に革命を語る革命家、「希望の木」を求め歩いて凍死してしまう男など、 個性的な脇役の方が味わい深いです。 革命前をノスタルジックにではなく因習や迷信に囚われた社会として描く (特に聖職者を否定的に描く) あたりは、ソ連映画らしいとも感じました。

後になるほど描写の象徴性が薄れてナラティヴになり、ユーモアを強めて行くように思いますが、 19世紀の宗教対立を背景とした Мольба、 ロシア革命前の因習や迷信に囚われた農村を背景としたДрево желания、 そして、革命後のスターリンの大粛清を背景とした Покаяние と、 不条理な社会によって善良な個が殺されるという救いの無い悲劇を描いた映画という点で、 なるほど共有するテーマも感じられる映画でした。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3664] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 12 18:32:48 2018

10日金曜は夏季休暇を取ってのんびり。午後に大崎というか御殿山へ。この展覧会を観てきました。

小瀬村 真美
『幻画〜像(イメージ)の表皮』
原美術館
2018/06/16-2018/09/02 (月休;7/16開;7/17), 11:00-17:00 (水11:00-20:00)

今年の2月に恵比寿 MA2 Gallery でのグループ展で観て気になった作家 [鑑賞メモ] の展覧会。 その時はベールを撮った写真作品だったが、 今回の展覧会はルネッサンス期の静物画や肖像画をに基づく作品が中心に構成されていた。 それも、ルネッサンス期の絵画を動かすことで異化してイデオロギーを表出させるシミュレーショニズムというより、 それを題材としたミニマリスティックな時間変化表現を追求した「液晶絵画」作品 (もしくは写真) だった。

静物画の構図どおりに実際の物を配置して、長期間に渡るインターバル撮影で写真アニメーション化した「黴」 (2003) など、 その「静物」が朽ちていく様など 『液晶絵画』展 (東京都写真美術館, 2008) で観た [鑑賞メモ] の Sam Taylor-Wood の “Still Life” (2001) や “Little Death” (2002) を思い出させるものがあった。 もしくは、静物画のように物を並べたテーブルの上に物を落とすとほぼ同時にテーブルクロスを引いてテーブル下に物を落とす様を高速度カメラで撮影し スローモーション化した “Drop Off” (2015) など、 Bill Viola [鑑賞メモ] の高速度カメラを使った静物画バージョンのよう。 ただ、インターバル撮影写真アニメーションと高速度カメラスローモーションが併置されたことで、 一見静止画に見えるようなミニマリスティックな時間変化表現の両側を見るような面白さになっていた。

2月にも観たベールから人物を消した写真シリーズ “Veil” (2011) や、 静物にかけた薄布をドレープの形を残して薄布だけオプジェ化した “Drape” シリーズ (2013-2014) にも、 彼女の拘りを感じたけれども、「黴」と “Drop Off” の対比ほどは印象は強く残らなかった。

原美術館の展示は写真撮影可能な場合が多く、併設のレストランも以前は撮影可能だったのですが、 今回行ったら撮影不可となっていました。 中庭も綺麗でいわゆる「インスタグラム映え」しそうな場所なだけに、撮影をする人も多く、それに伴いトラブルも多かったのでしょうか。 それ自体は仕方ないかとは思うのですが、 今まで観に行く度に展覧会のイメージケーキを写真に記録してきたので、それができなくなってしまったのは、少々残念。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3663] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sat Aug 11 0:18:07 2018

先週末の土曜8月4日の話ですが、日比谷で展覧会を観た後は、御茶ノ水へ移動。 ソ連・ロシア映画の上映会プロジェクト KINØアテネ・フランセ文化センターの主催で、 ソ連の映画監督Александр Медведкин [Aleksandr Medvedkin] の1930年代の映画の 上映会があったので、観てきました。

Счастье
『幸福』
1934 / Москинокомбинат (СССР) / 65 min. / B+W / silent
Режиссёр: Александр Медведкин

無能な農夫「クズ」を主人公に、ロシア帝国時代から集団農場時代の変化を風刺的に描いた映画。 時代はすでに社会主義リアリズムですが、風刺画的な誇張がされた描写で、シュールというかマジックリアリズム的にすら感じます。 農業の集団化の陰の面はほとんど風刺の対象となっていないのは、この時代では仕方ないでしょうか。 2000年の上映会の時に観たことのある映画、その時に観た印象 [鑑賞メモ] と大筋ではさほど変りませんでしたが、 細部、特に後半の記憶がかなり脱落していたことに気づかされました。 内戦時の描写もあったような記憶があったのですが、実際はバッサリ字幕説明で飛ばされていて、何と混同していたのだろう、と。 バッサリ飛ばす字幕の説明が不条理で、それはそれで面白かったのですが。

Новая Москва
『新しいモスクワ』
1938 / Мосфильм (СССР) / 77 min. / B+W
Режиссёр: Александр Медведкин
[YouTube]

1938年に制作されるも、Сталин [Stalin] の不興を買い、お蔵入りしていたという映画。 舞台は1930年代のソ連。シベリアで開発に従事する技術者 Зоя は、 当時進められていたモスクワ改造計画に憧れて作った電動式模型と映画を組み合わせた装置を モスクワの展覧会で展示することになり、モスクワに出ることとなった。 その時の話を、恋愛も絡めてコミカルに描いた映画でした。 といっても、ロマンチックコメディとしては描写があっけらかんとし過ぎて、少々物足りなく感じました。 当時進んでいたモスクワ改造の様子、教会や古い街並みが爆破で取り壊されて行く様子、近代的な橋への架け替え、道路の拡幅や地下鉄の建設、結局完成しなかったソヴィエト宮殿など、 1930年代のモスクワ改造の様子を垣間見ることができました。 2011年にモスクワを訪れたことがあり、あの街の構造がこうしてできたのかと、感慨深く観ることができました。 この映画は、モスクワ改造計画やシベリア開発のプロパガンダ映画という面もあったと思いますが、さほどプロパガンダ臭を感じさせることはなく、 近代化による生活改善の素晴らしさだけでなく、古い街並みに対する感傷も描いていました。 そんな所が逆に Stalin の不興を買ったのかもしれません。

ところで、Интернет-музей Центральная студия документальных фильмов というプロジェクトが、 YouTube Channel を作っていて、この映画を全編公開しています。 それ以外にも1920〜1940年代の映像を多くアップロードしています。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3662] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Mon Aug 6 23:35:26 2018

危険な猛暑が続きますが、この週末の土曜は、昼に日比谷へ。この展覧会を観てきました。

『大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン』
千代田区立日比谷図書文化館
2018/06/08-08/07 (6/18,7/16休), 10:00-20:00 (土-19:00,日祝-17:00)

1910年代後半から1930年代前半にかけての日本のモダンなグラフィックデザインの展覧会。 杉浦 非水、竹下 夢二、小村 雪岱、古賀 春江、村山 知義など。 近年だと『描かれた大正モダンキッズ 婦人之友社「子供之友」原画展』 (板橋区立美術館, 2016) [鑑賞メモ] などあり、 それなりに観てきているので、新鮮に楽しめたという程ではありませんが、 やはりこの時代のグラフィックは好みです。 すっかり忘れていて、展覧会を観ている間は気付かなかったのですが、 大正イマジュリィ学会が協力しているということで、 『大正イマジュリィの世界 —— デザインとイラストレーションのモダーンズ』 (渋谷区立松濤美術館, 2010) [鑑賞メモ] と内容はかなりの被っていたのでしょうか。

最も目を引いたのは、やはり、1920年代後半の大阪松竹座のグラフィックデザイン。 特に『松竹座ニュース』はほとんどロシア構成主義デザイン。 実際にロシア構成主義デザインのポスターか出版物と思われるものをコラージュしたデザインもあったので、影響は直接的だったのでしょう。 そんな表紙に、戦前松竹映画でのタイアップでも知られるクラブ白粉の広告が一緒にコラージュされてるという所が、実に面白く感じました [関連する鑑賞メモ]。 現在の大阪松竹座は歌舞伎、新派や新喜劇を主に上演する劇場になっていますが、 当時は海外の演劇や舞踏の公演もあり、映画上映や音楽コンサートもあるホールだったとのことで、 モダンの最先端だったのだろう、と。 戦間期の大阪松竹座に焦点を当てた展覧会などあったら、観たいものです。

鷲田 清一 (編著) 『大正=歴史の踊り場とは何か』 (講談社選書メチエ, 2018) での「大正」もそうですが、 元号が大正の1910年代半ばから年号が昭和に改まって戦時色が強くなる1930年代半ば頃までをまとめて 「大正(モダン)」と呼ぶことが多いわけですが、 震災復興後のモダン都市東京などを「大正モダン」と呼ぶのは、やはり微妙に違和感を覚えます。 大阪松竹座も1923年オープンで、1925年には改元があるわけですし。 元号で社会が変わるわけでもなく、元号で呼ぶと日本一国史的な色が強くなりますし、 戦間期という元号に依存しない呼称の方がまだマシなのではないか、と感じることが少なくありません。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3661] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Aug 5 20:04:27 2018

ジョンダリ台風が迫った先週末の土曜は、映画だけ観て帰ろうかと思っていたのだけれど、 観終わった時点でまだ3〜4時間は余裕がありそうだったので、神保町から竹橋へ足を伸ばして、 この展覧会を観てきました。

Gordon Matta-Clark
Mutation in Space
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2018/06/19-2018/09/17 (月休; 7/16,9/17開; 7/17休), 10:00-17:00 (金10:00-21:00).

1970年代にニューヨーク拠点に活動し、1978年に35歳で夭折した現代美術作家の回顧展。 再開発エリアの使われなくなった建物を切断したり穴を開けたりする ”Building cuts” のプロジェクトで知られている。 ”Building cuts” については、今までも写真やビデオ、図面などで見たことはあったし、 今ならビデオプロジェクション程度で済ましてしまうことが多いだろうが、 実際に建物を半ば破壊的に手を加え「空間を変容」させてしまう力強さや面白さを感じていた。 しかし、写真やビデオなどの資料では、実際にどのように穴を開けていたのか全体像を掴みづらいものがあった。 今回、展示されていた1:8模型を見て、なるほどこのようになっていたのかと腑に落ちた。 また、このような作品の背景として、1970年代のニューヨークは治安が悪化し富裕層が郊外へ移住し人口が流出し、都市問題が噴出していたこと、 そして、Gordon Matta-Clark が作品とできるような建築物が多くあったことにも気付かされた。

確かに、1971-73に運営したレストラン FOOD は、オルタナティヴスペースの先駆とも言えるものとは思うけれども、 Matta-Clark の活動を「都市への介入」とまで言うのは過大評価なようにも感じられてしまった。 1973年以降、「メタファーとしての空隙、隙間、余った空間や、放置されたまま活用されない空間」あるいは「もし機能があるとしてもあまりにばかばかしいので、機能という考え方自体が馬鹿にされてしまっているような空間」を見いだそうと “Anarchitecture” というグループによる活動を展開したとのこと。 これには、赤瀬川 原平 の『超芸術 トマソン』 (1982) やトマソン探しをした「路上観察学会」も連想させられた。 テイストはかなり異なるわけだけど、Anarchitecture から『超芸術 トマソン』への影響はあったのかもしれない。 そして、Matta-Clark のクールで強力な作風 (実際に建物に手を入れてしまう) と、 赤瀬川 原平の力の抜けた諧謔味の違いも – 時代やお国柄の違いというより作家の個性の違いと思うが – 興味深く感じられた。

[この鑑賞メモのパーマリンク]

[3660] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Tue Jul 31 21:25:31 2018

ジョンダリ台風が迫った土曜は、大荒れになる前に、と、午前のうちに神保町へ。 神保町シアターの特集 『映画で愉しむ――石坂洋次郎の世界』から、 この映画を観てきました。

『若い人』
1937 / 東京発声 / 白黒 / 81min.
監督: 豊田 四郎. 原作: 石坂 洋次郎 『若い人』
市川 春代 (江波 恵子), 小日向 傳 (間崎 慎太郎), 夏川 静江 (橋本 スミ), 英 百合子 (江波 ハツ), 山口 勇 (江口 健吉), etc

あらすじ: 函館の女学校で生徒に人気の教師の間崎は、酌婦の私生児で問題行動が多い生徒の江波を親身に指導する。 江波は間崎に好意を寄せ、間崎の注意を引くべく問題行動を繰り返す。 間崎に好意を寄せている女教師の橋本は、江波への指導について間崎を諌める。 間崎は東京への修学旅行の引率するが、往路の間、江波と一緒にいることの多い真崎を見て、他の生徒たちは二人の仲を疑うようになる。 東京では、橋本の義母が間崎を面会に訪ね、橋本を将来の妻にと言われる。 面会の様子を盗み聞きしていた江崎は、帰路では真崎の注意を引く行動をしなくなり、修学旅行後は学校を休みがちになる。 やがて、江波が休みがちになっているのは真崎の子を妊娠したからではないかという噂がたち、その噂を知った橋本は真崎を遠ざける。 そんな中、女生徒の寮で盗難騒ぎがあり、捜索中に橋本は江波の診断書を目すする。 それで間崎の潔白を知り、橋本は間崎との仲を戻す。 ある晩、母と喧嘩をした江波は、間崎の下宿に転がり込んでくる。 間崎は江波を泊めるわけにはいかないと、橋本に彼女を託す。 橋本は嫌がる江波を連れて行こうとするが、やがて江波が間崎に好意を寄せていることに気付く。 橋本は江波を待たせて、間崎の元へ戻り、彼に江波と結婚するように言う。 間崎はそんな橋本を自分に正直になれと諭すのだった。

石坂 洋次郎 原作の戦前映画といえば、清水 宏 監督の『暁の合唱』 (松竹大船, 1941) が素晴らしかったので [鑑賞メモ]、 他の作品はどうなのだろうという興味で観てきました。 学園物というほど女生徒間のやりとりが描かれず、かなりメロドラマ的でした。 原作とは異なり、間崎は江波をあくまで生徒として接しようとするよう描いていましたが、 それでも女学校を舞台とした男性教師と女生徒、女性教師の三角関係という設定は現代ではありでしょうか。 その設定はさておき、三角関係メロドラマとして見た場合、 女性を挟んでの三角関係が無いという設定のせいか、松竹映画のような繊細な女性描写を得意としないせいか、 女性の登場人物の心理描写が薄く、あくまで間崎が主人公の映画でした。 原作とは異なる展開の、江波を外に待たせたままという所での終わり方も、 観ていて半端に感じられましたが、これは続編を作るつもりだったのでしょうか。

『暁の合唱』もありますが、清水 宏 は女学校を舞台とした学園物『信子』 (松竹大船, 1940) も撮っています。 そんなこともあって、清水 宏 だったらどう撮ったかな、と思いつつ観てしまいました。 女性の描写の巧さだけでなく、もっと野外ロケをうまく使ったのではないかと。 映画は函館を舞台としていたのですが、 函館山の麓の洋館が並ぶ街並みや、連絡船の着く港の様子など、 函館の街の様子がよくわかるショットがほとんど無かった (そもそも函館でロケをしたかも怪しい) のは、残念でした。

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[3659] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 29 20:30:33 2018

先週末の日曜は、午後に高円寺へ。この舞台を観てきました。

ガラピア・シルク 『マラソン』
座・高円寺 1
2018/07/22, 15:00-16:30.
De et Avec: Sébastien Wojdan; Mise en piste: Sébastien Wojdan / Gilles Cailleau.
Un spectacle Galapiat Cirque / Sébastien Wojdan; Création janvier 2013.

座・高円寺の夏の子供向けプログラム『世界をみよう!』の今年の現代サーカスの演目は、 Galapiat Cirque の Sébastien Wojdan 独り舞台。 得意技と思われるナイフ芸 (knife throwing) を中心に、ジャグリングに綱渡りやアクロバティックな動きと芸も多彩。 さらに音楽も自身で楽器を演奏し、ギター、ベース、サックスにトランペットを演奏しそれをルーパーで回してライヴで音を重ねて音楽を作り出して行くという。

実に多芸なのだが、エンターテナー的に観客にフレンドリーに技をアピールして見せて行くのではない。 服装もグレーのTシャツに黒いパンツという地味な服装で、短く刈り詰めた髪型に短い髭と少々強面。 芸に用いる道具も黒い板や金属の網など、暗く色味を抑えたものが多い。 まるで修行しているかのように淡々とストイックに芸を見せていくのだが、 それが、一歩間違えると大怪我をするスリリングなナイフ芸に合っていた。 一人で休みなく淡々と約1時間半、汗だくになりながら芸を続ける様子は、長距離走を走るようで、 開演時に測った76.9kgの体重が、終演後には75.4kgと、1.5kgも減っていた。 それがこの演目のタイトルの由来のようだ。

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[3658] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 小杉町, 川崎市, Sun Jul 22 20:22:01 2018

この土曜も猛烈な暑さになりましたが、そんな中、昼過ぎに東池袋へ。この舞台を観てきました。

あうるすぽっと
2018/7/21, 14:00-15:30.
Idée originale et écriture du spectacle: Vincent Dubé; Direction artistique et mise en scène : Vincent Dubé
Interprètes: Yohann Trépanier, Raphaël Dubé, Maxim Laurin, Ugo Dario; Olivier Forest (musicien).
Compositeur: Frédéric Lebrasseur.
Crée: May 2015.

Machine de Cirque は、カナダ・ケベック州ケベック・シティを拠点に2013年に設立されたコンテンポラリーサーカス・カンパニー。 まだレパートリーは2作品だけのようだが、カンパニー名ともなっている最初の作品で来日した。 コンテンポラリーダンス作品に多く観られる抽象的でコンセプチャルな作品でもなく、 象徴的な演出で大きなストーリーを浮かび上がらせる程でもなく、 比較的素朴に技を繋いで行くような演出だったけれども、 ミュージシャンも技に絡みつつ、アクロバティックなパフォーマンスも楽しい舞台でした。

スチールパイプで三段の足場を組んで、両翼にチャイニーズポールとなる柱を二本組立てた装置を使ってのパフォーマンス。 出演は男性ばかりの4人ということで、技は力強くコミカルなものが中心。 アクロバットにトラペーズとチャイニーズポールの組み合わせや ティーターボード (teeterboard) だけでなく、 ジャグリング、一輪車などの技も組み込んでいました。 女性の観客を舞台に上げての好色なキャラクターによるコミカルなマイム劇や、 素っ裸になってのタオルを使ったジャグリングなど、おバカな演技も交えて、笑いを取っていました。 大道芸フェスティバルの中の特別プログラム等に組み込むと受けそう、と思ってしまいました。 アーティなコンテンポラリーサーカスも好きですが、こういうサーカスも楽しいものです。

音楽は、アコースティックなドラムセットと電子楽器も組み込んだパーカッションのセットを使い分けつつ、パーカッシヴな生演奏。 それも、ミュージシャンに脇での伴奏に徹させるのではなく、セットを可動式にしてパフォーマンスに巻き込み、 ミュージシャンも、セットに留まらず、足場自体を打楽器にしたり、ミュージカル・ホースを使ったり、 フィナーレのティーターボードの場面にはエレクトリックなカヴァキーニョかウクレレを弾い歩いたりもしました。 やはり、サーカスの音楽は生演奏の方が、パフォーマンスも盛り上がります。

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