1月と3月の個展で連続して遅刻してちゃんと観られなかったビデオ作品を、 イメージフォーラム・シネマテークでの 『あにはからんや —— 00年代ドキュメンタリー傑作選』 のCプログラムでやっと観ることができた。
個展でちょっと観た時は、スチル写真の延長、というか、 スライド映写に近い感覚で観ていて、カット割りはほとんど気にならなかった。 固定カメラを使いメインの登場人物がほとんど静止しているので、 背景が動くスチルみたい、という印象を受けていた。 今回劇場上映で観て、カットの多さに気付いた。 その前に上映された比較的物語性の強いドキュメンタリー作品の影響もあると思うが、 カットの繋ぎがから物語や意味を読み取るモードが観賞時に頭の中で起動されたという感もあった。 映像を観るといっても状況によってここまで変わるか、と感慨深かった。
しかし、画廊で観たときは、静止するOLと移りゆく背景から Louise Lawler の写真作品 "She Wasn't Always A Statue" (1996-97) が提起するようなジェンダーロールの問題 (「彼女はいつも彫像/OLだったわけではない」のような) を読み取っていたところもあったので、 正直に言って、観はじめはモンタージュが鬱陶しく感じた。 そのうち、挟まれるビルのショットなどのモンタージュからオフィス街の構造を観るように、 いつのまにか頭のモードが切り替わったような感じがした。