Samuel Mathieu はフランス・ミディ=ピレネー地域の首都トゥールーズ (Toulouse, Midi-Pyrénées, FR) を拠点に活動するダンサー/振付家だ。 その日本初公演は、自身のカンパニーによる2005年初演の作品 Us-Band だ。 カンパニー、作品ともほとんど全く予備知識が無く、 サイトやフライヤの写真の雰囲気に惹かれて観に行った。
写真から、男性のマチズムやホモソーシャルな人間関係を批判・脱構築するような 作品かなと予想していたのだが、もっと可愛らしい舞台だった。 戦争ごっこのようにして銃声の口真似をしたり。 マチズムやホモソーシャルそのものというより、 少年時代の無邪気な大人の男の真似事やジャレ合いをダンスにしたような印象。 微かに流れる女性の喘ぎ声を神妙に座って聞くようにして終るのだが、 それはそんな無邪気な少年時代の終りを象徴しているようにも感じられた。
そんな動きを、ほとんど舞台装置の無いミニマルな舞台と演出、 さらっとキレの良い動きで、1時間のダンスに仕立てて見せていた。 演出やテーマの選び方が斬新と感じたわけでもないし、 とても良かったという程ではなかった。 しかし、ミニマルながらさりげなくユーモアとセンチメントがある舞台で、 シアタートラムのような小劇場で軽い気分で観るにはぴったりに感じられた。