アメリカ・カルフォルニア州 (Calfornia, USA) 出身の作家の クリエーター・イン・レジデンス成果発表展。 アクリル絵具のマチエールを感じさせないペッタリした色面で 風景や人物像などを構成した平面作品は、あまりピンとは来なかったが、 同時に展示されていた過去 (2002年) のビデオ作品 "Beast" が面白かった。

"Beast" は黒い背景に仔猫が動きまわる様子をクロースアップで捉えた映像を ギャラリーの壁いっぱいにスローモーションで投影した作品だ。 仔猫が2m近い大きさに拡大されているうえ、 スローモーションによっておそらく高く可愛いかったであろう鳴き声が 野太い唸り声のようになっている。 また、怪獣特撮映画でのスローモーションによる演出と同様、 スローモーションによって実際に大きなサイズの動物の動きのように見える。 まるで体長2mはあろう獰猛なネコ科の大型肉食獣のようであり、 やっぱり可愛い仔猫、という落差が面白いし、 特に変な演出をせずにスローモーションで大きく投影というミニマルな操作で実現しているのも良い。 YouTube に投稿されている猫関連のネタ動画のようでもあるけど、 大きく投影する必然性など、上映方法まで意識した作りが違う。 ただ、このビデオ作品と他の平面作品の関係、共通性などが感じられなかったのが、 少々気にかかった。