風景をベースとしながら、その光の燐き、色のざわめきの成分だけを取り出して 軽く粗めのタッチで抽象画 (油彩、水彩) としたもの。 具象の風景画も並列して置かれ、作品によっては一部が具体的に描かれていた。 これによって、軽快なタッチで描かれた色のざわめきは、 水面のさざなみの乱反射や木漏れ陽の細かい燐きに着想を得たものと、 種明かしされるかのようである。
具象から抽象へ構造ではなくノイズ成分を抽出するプロセスを見せるような展示は、 ぱっと見はなるほど興味深かった。 しかし、観ているうちに、抽象の画面からイメージを広げるのを 具象に阻害されるようにも感じられてしまった。 個々の絵としては白く抜けた画面に色が軽快に飛ぶ抽象画の方が良いと思ったし、 それだけをを提示した方がスマートで良いかもしれないとも思った。
以前に東京オペラシティアートギャラリーの Project N あたりで観たことがあるような、と観ていて思ったのですが、 作家略歴を見ると気のせいか……。 入賞したという2004年のVOCA展は観てないしなぁ。