1960年代以降のモニュメント的な大規模な環境彫刻作品で知られる イスラエル (Israel) の美術作家 Dani Karavan の回顧展だ。 入ってすぐ4点ほどインスタレーション作品があったが、 あとは過去のプロジェクトをドローイングや写真、ビデオで見せるというもの。 一点で良いから大規模なインスタレーションを期待しただけに肩透かしだったが、 回顧展となると、作風的に仕方ないかもしれない。
しかし、1990年代半ばに世田谷美術館で 自然の中にサイトスペシフィックな彫刻や land art を作るイギリス (UK) の作家 Andy Goldsworthy や Richard Long の展覧会をやったときは、 インスタレーションも多かったし、資料展示も美術展らしく感じた。 一方、Karavan の映像やデッサンの資料中心の展示は、美術展というより建築展よう。 Goldsworthy や Long の場合は記録を取る所まで含めて作品という面もあったが、 Karavan においては記録はあくまで二次的なものに過ぎない、ということもある。 しかし、Karavan の大規模な環境彫刻は、land art というよりも、 庭園やモニュメンタルな建築に近い、ということも、 建築展に近い印象を受けた理由かもしれない。
環境彫刻の先駆としての舞台美術についても1コーナーを設けていたが、 Martha Graham Dance Company や Batsheva Dance Company のものは フィルムもモニタ展示されていた。中でも Batsheva Dance Company, Tent Of Visions (1965) は、装飾的な鉄棒か登り棚のようなものを使って上下方向にも動きのある所が興味深かった。