1984年に完成したものの上映が禁止され、 ペレストロイカ (перестройка) 後の 1986年に公開された ソ連時代のグルジア (Грузия / Georgia) 映画だ。 実際に観て、ソ連時代の上映禁止も納得。 ペレストロイカ以前の1984年によくこの映画を完成させられたな、とすら思った。
物語は、ある地方都市での市長の死去から始まる。 そしえ、葬儀の後、墓が暴かれ遺体が庭に晒されるという事件が続く。 その犯人として捕まった女性は、法廷の場で、市長が昔にやったことについて語り出す。 その内容が、スターリン (Сталин / Stalin) 時代、 特に1937年の大粛正を思わせるものなのだ。 その回想シーンにおける主人公少女の両親が不条理に追い詰められて行く樣は、 象徴的なシーンも交えつつ、比較的リアルに描かれている。 特に、父親の逮捕後、 ГУЛАГ (GULAG; グラグ, 強制収容所) から送られてきた材木の中に父親からのメッセージが刻まれていないか、 探し回るシーンがとても印象に残った。
回想シーンの後は、裁判を通しつつ、 息子や孫が過去の粛正に対してどう向かい合うのかの議論のような話となる。 この映画のタイトル『懺悔』は、市長の息子が懺悔することから採られている。 前半の大粛正で家族が追い詰められるシーンの緊張感が高過ぎるせいか、 後半は少々緊張感が削がれてちょっとシュールな緩めの諷刺のように感じられることの方が多かった。 大粛正のドラマだけを描く1時間半の映画でも良かったかもしれない、と、思ってしまった。 そこが少々残念だった。