光とその知覚をテーマにした展覧会だ。 入口と出口に置かれた Nam June Paik と Joseph Beuys のコンセプチャル作品は 少しハズしてやような気がするし、 気になっていた作品の一つ Evelina Domnitch & Dmitry Gelfand の “Camera Lucida” (2008) が観られなかったり、と、 観ていて若干不完全燃焼気味。しかし、気になった作品あったので、それについて軽く。
最も良いと思ったのは Ingo Günther の “Thank You — Instrument” (1995)。 ストロボライトを使い、蓄光塗料を塗った壁や床に観賞者のシルエットを一時的に焼き付ける作品だ。 広島の原爆の閃光とそれが建物に焼き付けた影をモチーフとした作品だが、 それを意識することなく、いろいろなポーズをとって影を焼き付けて遊べる作品だ。 観客のシルエットを取り込んでコンピュータ等で画像処理して投影するような作品であれば他にもある。 しかし、この作品ではストロボライトに蓄光塗料を使うというアナログな方法を採っている。 そのため、自分の姿勢とシルエットに直接的な関係性を見出しやすい。 そして、それがこの作品の楽しさに繋がっていると思う。
Anthony McCall の “You And I, Horizontal” (2006) は、 ミストを漂わせた暗闇を、プロジェクタからの強い光による面が切り裂いているような作品だ。 光の面にはミストによるまだら模様も浮かびあがっている。 光の面には曲面も含まれ、ゆっくりと動いてもいた。 自分の身体で光面を切ったり、まだら模様を動かしたりと、遊べるし、 なりよりシンプルで美しい。 しかし、舞台照明的に感じられる所があるのが惜しい。