コンテンポラリー・ダンスのカンパニーを主宰するハンガリーのダンサー/振付家 Pál Frenák の ダンサー Kristóf Várgany を連れての来日公演だ。 小さなスペースでの20分程度のソロ3本の上演だった。 Mennono (2001) を Várgany、Frenák のそれぞれが踊り、 Trace (2004) を Várgany が踊った。 あまり予備知識が無かったうえ、 この舞台からカンパニーとしての舞台を想像するのは難しかったが、 その動きはそれなりに楽しめた。
男性用のビキニの競泳用水着姿で、スイミングキャップや足ひれの利用、 青を基調とした小道具やライティングもあって、 Mennono も Trace も 水中をイメージした作品に感じられた。 それも、重力を感じさせないような軽い踊りではなく、 むしろ床を這い回るようなコントーションやアクロバットに近い動きが主だったので、 海中漂うのではなく、海底の軟体的な動物の蠢きのようにも感じられた。 アフタートークでは地底への根に繋がっているイメージと言っていたが。 照明で制限された狭い三角形の空間中で コントーション的な動きの身体で様々な形を描いていくような Mennono の冒頭の動きや、 Trace での 足ひれを付けて動きが制限された状態でバタバタ走り歩くような動きなど、 Várgany のシュールでコミカルな動きが特に気に入った。 contemporary dance というより nouveau cirque の舞台の一シーンとして使えそうだ。 Mennono で2人の動きを比較することができたが、 Várgany の動きは身体の柔らかさを生かしたように感じられたが、 Frenák の動きはもっとリズミカルでシャープだった。
ちなみに、Frenák の両親が聴覚障害者で手話を使って育った、という話から、 観に行く前は手話的な動きを期待していた。 しかし、今回の舞台からはその要素はほとんど感じられなかった。 実際、アフタートークでも特に関係無いと言っていた。