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Review: Batsheva Dance Company: MAX (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2010/04/18
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2010/04/17 15:00-16:00.
Choreography by Ohad Naharin. Original music composed and performed by Maxim Waratt. Costume Design: Rakefet Levy. Lighting Design: Avi Yona Bueno (Bambi).
World Premiere: March 2007, Suzanne Dellal Centre.

1964年のイスラエルのテルアビブ (Tel Aviv, Israel) のカンパニー Batsheva の2年ぶりの来日公演。 前回は入院で見逃したこともあり、観るのは初めて。 シンプルながらカラフルな照明のみを使い、 男女それぞれ5人ずつによるシャープで力強い動きによる群舞が楽しめた舞台だった。

1990年に芸術監督に就いた Ohad Naharin は Gaga と呼ばれる ダンス・メソッドというか "Movement Language" を作り出している。 この舞台での動きも、おそらく Gaga をベースにしたものと思われる。 その動きはほとんどバレエ的なものを感じさせず、モダン・ダンスの流れを組むと思われるもの。 シャープで力強い動きは体操的にも感じられた。 ソロやデュオを思わせるような動きも無いわけではないが、 ほとんど10人のダンサーが全てが群舞することが多く、舞台全体が動くよう。 何かを物語るというよりも、力強い動きの構造の面白さで見せるような舞台だった。 最も印象に残ったのは、後半の1から10までカウントアップしながらの動き。 それも、1、1、2、1、2、3、1、2、3、4……。と、一つずつカウントを増やしながら反復していく。 反復の中から少しずつ次の展開が見えてくるような面白さがあった。

音楽は声を使ったもので、作曲演奏の Maxim Waratt は Naharin の変名。 抽象的なボイスのようであり、明らかにカウントしていると判る所もあった。 用いられているのは Waratt (つまり Naharin) の創作した言葉のようだが、 カウントは明らかにラテン系の言語を思わせるものだった。 ちなみに、“an unintelligible language, a combination of Arabic murmur and Latinate resonance” という記述をみかけたが、 同様のことを書いている記事が他に無いので、確かなのか判断できない。

舞台装置も全くなし。左右真横からダンサーを照らす照明が主に使われていた。 その光も白ではなく鮮やかな色を付けたものを多用していた。 それも左右で色を変えることにより、ダンサーが2色で左右を塗り分けられたよう。 そんな人工的なライティングも、抽象的な動きや音楽に合っていた。