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Review: Hofesh Shechter: Political Mother (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2010/06/27
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2010/06/26 15:00-16:00.
Choreography and Music: Hofesh Shechter. Lighting Design: Lee Curran. Costume Design: Marie Hensel.
Dancers: Maëva Berthelot, Winifred Burnet-Smith, Chien-Ming Chang, Katherine Cowie, Christopher Evans, Bruno Karim Guillore, Philip Hulford, Jason Jacobs, Sita Ostheimer, Hannah Shepherd, Laura de Vos, Yeji Kim.
The Band (Musicians): Joseph Ashwin (guitar), Yaron Engler (drums,bendir), Joel Harries (guitar,drums), Edward Hoare (guitar,drums), Norman Jankowski (drums,pandeiro), James Keane (drums), Vincenzo Lamagna (guitar), Andrew Maddick (guitar).
Première: 20th May 2010, Brighton Festival.

イスラエル出身で2002年以降イギリスを拠点に活動する振付家 Hofesh Shechter の日本初公演だ。 群舞中心の構成の仕方に Shechter が以前に在籍した Batsheva Dance Company [レビュー] との共通点を感じたが、 guiter × 4 と drums × 4 による hard で heavy な rock の音楽使いや 時折感じる少々キッチュなイメージ (例えばゴリラマスク) などは、むしろ、 Michael Clark に通じるようにも感じる、そんな舞台だった。

最も印象に残った動きは、両手を力なく上げ背を少し丸めて逃げ惑うように走るというもの。 ダンサーの服装も彩度の低い囚人服のよう。 そんな動きの合間に、ヴォーカリスト身振りからして rock の持つファシスティックなイメージが舞台後方に浮かび上がる。 そこからは第二次大戦中のホロコーストを連想させられた。 他にも、日本の武士の切腹のイメージも使われていた。 そういったもを通して、政治的抑圧のイメージを舞台化していた。

しかし、rock のビートは単調だし、 ダンサーの動きもそのビートに合わせて群舞するような所が多い。 その単調さもあってか、抑圧のイメージも少々判り易すぎるように感じられる時もあった。

そんな中で、ふっと力が抜けてユーモアも良いと思ったのは、 最後近く “WHERE THERE IS PRESSURE THERE IS FOLK DANCE” という言葉 (この言葉は FOS という美術作家の作品から採られている。 ここでの pressure は「政治的な圧力」という意味だろう) が掲げられ、 力なく輪になって踊る場面。 これも、FOS の言葉の持つイメージの舞台化だったのだろうか。