手作りの木製玩具で知られる戦後スイスの玩具デザイナー、Kurt Naef と Antonio Vitali の展覧会。 会期末ギリギリになって開催している事に気付いて、最終日に覗いてきた。 夏休み期間中の子供の観客を意識した企画ということで、 プレイコーナーが多く設けられており、単に見るだけでなく実際に触れて楽しめる展覧会だった。
この手の木製玩具に詳しいわけではないが、 自分が Kurt Naef の設立した Naef Spiele 社を知ったきっかけは、 1920年代に Bauhaus でデザインされた玩具のレプリカ Bauhaus Replika を制作している会社として。 Bauhaus や Neue Grafik と共通点の多いシンプルでモダンな木製ブロック等を手掛けている会社だ。 そんな Kurt Naef の展示は、Naef 個人に焦点を当てるというよりも、 Naef Spiele 社の製品ラインナップを紹介するような展示。 Naef にデザインによる立方体をリボン型に削った積み木 Naef-Spiel や 円筒の穴を開けた Ligno はもちろん、 Peer Clarhsen による Cubicus や、Bauhaus 復刻物まで。 200点近いと思われる玩具がずらっと展示されているのは壮観だった。 Bauhaus 復刻物を手に取ることができなかったのは少々残念だが、 何百個はあろう Naef-Spiel や Lingo のブロックで遊べるプレイコーナーは楽しかった。 何十個もの Neaf-Spiel を積み上げて遊ぶなんてことは、そうそう出来ることでは無い。 Naef の木製ブロックと戯れながら、ヨーロッパの子供はこういう玩具を通して モダンデザインの幼児英才教育を受けているのかもしれないなあ、なんて思ったりもした。
Naef の展示に比べると、Antonio Vitali の展示はあっさりしたものだった。 Antonio Vitali と Toys Vitali 社は、この展覧会で初めて意識した玩具デザイナー。 動物や人をつるっと抽象化した木彫は、モダンだけれども、Naef の造形とは対称的。 これはこれで良いとは思うけれども、やはり Naef の方が好みかもしれない。 また、Naef、Vitali の他、 目黒区美術館は収集している「トイコレクション」の展示もあったが、 Neaf の展示に印象も霞んでしまった。
余談だが、8月末、『デイリーポータルZ』の特集記事 「ビー玉転がしのすゝめ」 (T・斎藤, 2010-08-27) という cuboro 社 (Naef Spiele や Toys Vitali と同様、スイスの木製玩具メーカー) の玩具を紹介する記事の中に、Naef-Spiel も出てきている。 「同じ5cmベースの積み木とは総じて相性がいい」と、 cuboro 社の cugolino と Naef-Spiel や Cubicus を組み合わせて使っているのが良い。