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Review: Roger Bernat: Public Domain @ 池袋西口広場 (演劇)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2010/11/22
Roger Bernat
Public Domain
池袋西口広場
2010/11/21. 15:00-16:00.
Concept / direction: Roger Bernat.

スペイン・カタルーニャ (Catalunya, ES) の演出家 Roger Bernet による 公共の広場を使った観客参加型のパフォーマンス作品に参加してきた。

会場となる池袋西口広場に着くと、観客にはワイヤレスのヘッドホンが与えられる。 上演中は、そのヘッドホンで伝えられる指示に従って観客は動くことになる。 この観客の動きで作る作品であり、その意味では、観客と俳優/演技者の区別は無い。 といっても、その指示は演技を細かく指示するようなものではなく、 プライベートなことに関する質問をし、それに当てはまる人に簡単な移動や動作を指示するもの。 例えば「東京で生まれた人は右へ移動して下さい。」のように。

最初のうちは、そんな質問を通して私的な事を社会化し、 社会における傾向を明らかに示していくようなパフォーマンスなのだろうか、と思った。 しかし、主催者が用意したベストを参加者が一通り着用した段階になって、 そんな質問・インストラクションの直接的な内容とは別のパフォーマンスを演じさせられていたことに気付いた。 それは、暴動を起こした囚人たち (オレンジのベストを着用) と それを弾圧する警官隊 (紺のベストを着用)、 弾圧を止めさせて犠牲者を救助しようとする赤十字職員 (蛍光イエローのベストを着用) からなる、 群衆劇とでもいったものだ。 振り返ると、ベストを着用させられる前の拳を上げたり両手を上げたり指差したりする動作も、 その行動を促す質問・インタラクションを抜きに見れば、 デモか暴動に参加する群衆を演じさせられていたようなものだったのかもしれない。

最後の方になると、インストラクションが演じている内容を直接指示するようなものが増え、一つに収束していった。 冒頭の何を間接的に演じさせられているか判らない状態でもなく、 最後の直接何か演じるように指示されているかのような状態でもない、 指示の内容と演じている動作が分離した中盤が、最も面白かったように思う。 もちろん、そういう状態を長く保つことは難しいだろうけれども。

このパフォーマンスは、チケットを買った観客以外の一般の人も観ることができるわけだけども、 インストラクション抜きで動きだけ観ていて、囚人暴動を鎮圧する警官隊の物語を読み取ることができるのだろうか。 参加してインストラクションを聴く前に、一般の人として人々の動きだけ観ておくというのも面白かったかもしれない。