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Review: Peter Fischli & David Weiss @ 金沢21世紀美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2010/12/26
Peter Fischli & David Weiss
金沢21世紀美術館
2010/09/18-12/25 (月休; 9/20,10/11,11/22開; 9/21,10/12,11/24休), 10:00-18:00 (金土10:00-20:00).

物が倒れるだけでなく液体、火や飛び道具も使用した Rube Goldberg machine (ピタゴラ装置) 的な仕掛けを映像作品化した “Der Lauf der Dinge (The Way Things Go)” (「事の次第」, 1986-87) で知られるスイスの作家 Peter Fischli & David Weiss の、日本初の大規模な個展だ。 このユニットを全体像を観るのに良い機会だったし、 全てではないけれども、そのユーモアが楽しめた展覧会だった。

最も楽しめたのは、約90点の粘土彫刻のシリーズ “Plötzlich diese Übersicht (Suddenly this Overview)” (「不意に目の前が開けて」, 1981/2006) と、 暗いギャラリー内でプロジェクタを使って壁に質問の文字列を投影する “Fragen (Questions)” (「質問」, 2000/2010)。 非常に身近で卑小とすら感じられる題材/質問と歴史的な題材や抽象的で答えがなさそうな質問とが 併置されることによって生じるそこはかとない笑いがツボに嵌った。

不安定に組み上げた物を写真に収めた “Equilibres” (「均衡」, 1984/85) も “Der Lauf der Dinge” の原点を観るような興味深さがあった。 それらの映像や写真に出てくるよう物を ポリウレタンで彫刻化した “Ohne Titel (Untitled)” が並べられたギャラリーに 不穏な日常感とでもいうものを感じられたのも、個展で一連の作品をまとめて観られたからこそかもしれない。

一方で、通して見ると、最初期の作品とも言える “Wurstserie (Sausage Photographs)” (「ソーセージ・シリーズ」, 1979) や、 着ぐるみのネズミとクマ (パンダ) 映画シリーズ “Der Geringste Widerstand (The Least Resistace)” (「ゆずれない事」, 1980/81) や “Der Rechte Weg (The Right Way)” (「正しい方向」, 1982/83) は、 印象弱く感じるように思ってしまった。