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Review: 『20世紀のポスター[タイポグラフィ] —— デザインのちらか・文字のちから』 @ 東京都庭園美術館 (デザイン展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/01/30

タイボグラフィに焦点を当てて20世紀のポスター・デザインの歴史を追った展覧会だ。 竹尾ポスターコレクション3200点から113点を厳選して構成している。 20世紀の100年を113点で、というのは、いかにも駆け足で、若干の薄さを感じたのも確か。 4部構成のそれぞれについて分けてシリーズの展覧会にしても良かったのではないか、と思った程だ。 しかし、スイスに偏っているものの、歴史観は標準的と思われるものなので、 モダニズム以降のグラフィック・デザインの流れをざっと追うには良い展覧会かもしれない。

第一部 (1900s-1930s) のメインは戦間期のモダニズムのもの。 スイス、ドイツのものが中心だが、第一次世界大戦前の Sachplakat も無く、 Art Deco や Russian Avant-Garde の物もほとんど無し。 自分の好きな時代ということもあると思うが、かなり物足りなかった。 そんな中では、Walter Käch のハンマーとペンチを象ったレタリング、 Hermann Eidenbenz の斜めに人物写真を配置したポスターが印象に残った。

第二部 (1940s-1950s) は戦後ミッドセンチュリーモダンの時代。 Josef Müller Brockmann、Max Bill といった International Typographic Style (Swiss Style) のポスターが中心。 今まであまり意識したことの無かった Richard Paul Lohse のポスター (特に六角形を配した “Kunststoffe” (1958)) が、特に印象に残った。

続く、第三部 (1960s-1970s) ではカウンターカルチャーの影響が感じられる。 といっても、印象に残ったのは、Swiss Style の Armin Hofmann や Hans Neuburg、Peter Megert 等。 第三部を締めくくる Wolfgang Weingar のSwiss Style を継承しつつ 掠れや汚れのテクスチャを強調したようなデザインも良かったけれど。 第四部 (1980s-1990s) となるとポストモダン期になり、傾向が拡散してしまった感も。 そんな中では、スイスの Bruno Monguzzi の様々な書体でリズムを作ったポスターが良かった。