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Review: 『作業灯、ラジカセ、あるいは無音』 @ 北品川フリースペース楽間 (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/04/04
『作業灯、ラジカセ、あるいは無音』
北品川フリースペース楽間.
2011/04/02, 14:00-19:00.
初初期型「コレオグラフィー」, 井上 大輔 / 辻田 暁 「未定」, 栩秋 大洋, ボクデス 「パンダンス」, 高襟 〜HAIKARA〜 「Laughing Place」, 神村 恵 「未定」, 田畑 真希 「ヒキコモリ」, 酒井 幸菜 「Far/near(遠く/近くに)」, 鈴木 ユキオ 「無題」, おのでらん / ももこん 「合席」, 東野 祥子 「全廃...」, 伊藤 キム 「生きたまま死んでいるヒトは死んだまま生きているのか?」 (ソロパート)

東日本大震災チャリティのコンテンポラリー・ダンスのオムニバス公演。 観に行こうと思っていた他の公演が中止になってしまったし、 あまり観ていない日本のダンスをチェックする良い機会かな、と、覗いてきました。 会場に着いたのは16時半過。 最後の方を少し観れればいいというくらいのつもりでしたが、押していたらしく、まだ半分も進んでいませんでした。 終了も予定では18時終了でしたが19時頃。 神村 恵 のダンスの途中からトリの 伊藤 キム まで観ることができました。

会場の楽間は旧商店のスペースをほぼそのまま使った空間で、 外から中のダンスの様子が覗きみることができるような状態。 天井も低いし、床もコンクリート打ちっぱなし。照明や音響による演出もかなり限定的でした。 作り込んだ作品を観るというより、素描を観るような感じ。 凄いダンスを観たという感じではないですが、 ダンサーと観客との距離の近さも親密な感じで悪くなかったし、 興味深く観ることができました。

椅子やテーブル、鞄や食器類等の小道具まで持ち込んで彼ららしいマイム寸劇を見せた おのでらん/ももこん の「合席」 が最も楽しめました。 貧弱なPAの克服という意味では、 身体に仕込んだスピーカーからの音で踊った 鈴木 ユキオ の前半も興味深かったです。 照明や音響の貧弱な環境ではミュージシャンの生演奏の力は強いなあと 酒井 幸菜 を観ながら思ったり。 チャリティということで震災や原発事故を意識した作品もそれなりにあるかなと予想していたのですが、 明らかに意識していたと自分が観た気付いたのは、東野 祥子 「全廃...」だけでした。 (ま、直接的に反映したから良いというというわけではありませんが……。)

告知一週間程度のかなり急な企画でしたが、会場前に人だかりが見える程の集客にびっくり。 入場料2,000円/人で観客114名。この入場料収入のうち会場使用料を除いた分は、 半分が日本赤十字社への義援金、半分が企業メセナ協議会への寄付に充てられるとのこと。 会場使用料も商店街を通して義援金になるとのことでした。