1920年代末にデザインしたサンセリフ書体 Gill Sans で知られる 碑文彫刻家・書体デザイナー Gill Sans の展覧会です。 戦間期に広く使われるようになったサンセリフ書体は、 当時の Modernism / Avant-Garde 運動 (Bauhaus や Russian Avant-Garde など) 強く結び付いているものが多いわけですが、 Gill Sans (BBC の制定書体) や Gill が師匠 Edward Johnston とデザインした Johnston Sans (ロンドン地下鉄の制定書体) はそういうものと結びついていません。 (デザイン史では Johnston Sans や Gill Sans は Art Deco に位置づけられていることが多い。) そういう所が以前から興味深く思っていたので、足を運んでみました。
展示は Eric Gill のルーツである碑文彫刻に関する展示が多くありました。 Arts & Crafts 運動がルーツということくらいしか知らなかったので、 なるほどこういうバックグラウンドがあったのか、と。 展示を観ていて最も感慨深かったのは、1920s末に Gill Sans をデザインした後も、 Art Nouveau 風というか Arts & Crafts 風のブックデザインを手掛けていたということ。 戦間期に Art Deco の流行に乗ってスタイルを変えたわけではないのだなあ、と。 そういう意味では Gill Sans は彼の仕事の中では少々異質にすら感じられました。