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Review: 『pina』 Wim Wenders (dir.): Pina (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/03/20
2011 / Germany/France/UK / 103min / colour / digital 3D (1:1.85).
Directed by Wim Wenders. Choreography: Pina Bausch.
In collaboration with Tanztheater Wuppertal Pina Bausch, ZDF, ZDF theaterkanal und ARTE.

2009年に亡くなった Pina Bausch が率いていたダンスカンパニー Tanztheater Wuppertal Pina Bausch のドキュメンタリー3D映画。 追悼という意味合いもあってかカンパニーの団員に Pina について語らせる場面もそれなりにあったが、 リハーサルシーンもほとんど使わず、創作のエピソードは控えめ。 上演中の舞台を捉えた映像や Wuppertal の街中でのダンスを中心に編集されており、 少々プロモーション・ビデオ風ではあるが、ダンス映画として充分に楽しめた。 Pina Bausch のロマンチックな神格化が鼻に付かなかったわけではないが、 映画制作中に急死したということを考えると、仕方無い面はあるかもしれない。

舞台の映像は2009/2010シーズンの上演から Café Müller (1978)、 Le Sacre du printemps (1975)、 Vollmond (2006)、 Kontakthof (1978)。 比較的初期の作品が採られている。 土まみれになりながら踊る Le Sacre du printemps など、かなりの迫力で、一度生で観てみたいと思わせる所があった。 また、Café Müller が Henry Purcell の歌曲で踊る作品だったことに気付かされたり、と、発見もあった。 ヴッパータールの街中や郊外の石灰採掘場を舞台にしてのダンスでは、 こういう街を背景に活動していたのか、と興味深くもあった。 説明的に街を撮るのでではなく、ダンスを通して街を見せるやりかたは良かったと思う。 現役で運行している中で世界最古のモノレールがよく映っているのも、個人的には見所だった。

一方、劇場で観ていたときも薄々気になってはいたが、映画で見たせいか、 Tanztheater Wuppertal Pina Bausch の近代産業社会中上流階級的な面が気になった —— コンテンポラリーダンスの全体的な傾向でもあるが。 例えば、男性はスーツ姿、女性はイブニングドレス姿が基本であり、そのジェンダーも比較的固定的。 一見ラディカルに見えるような所も含めて、実にロマンチックに感じられた。 そして、それがポピュラリティを得た一因かもしれない、とも思った。

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