幕末から明治初期にかけて日本に滞在したイタリア系イギリス人 Felice Beato の全貌を紹介する J. Paul Getty Museum, Los Angeles 企画の国際巡回展です。 お土産用に制作された幕末〜明治初頭の風俗を記録した彩色写真や、江戸や横浜のパノラマ写真など、 写美のコレクション展でもお馴染み Beato ですが、 全体像を観ると、クリミア戦争やアヘン戦争などの写真が多く、従軍写真家という面も強かったのかな、と。 しかし、日本滞在時におきた戊辰戦争の写真を撮っていませんし、 最晩年のビルマでも観光写真を中心に撮影しています。 自発的に撮影に向かうモダニズム以降のドキュメンタリー写真家と違い、 雇われ写真職人、もしくは見世物興行師に近いメンタリティが伺われるよう。 Beato の写真のヴィンテージ的な味わいもありましたが、 そんな写真家のあり方の変化に思わず思いを馳せてしまった展覧会でした。