去年の Berlinale で 賞を取るなど、 海外で話題になっていたイラン映画、くらいの予備知識しかなく、 どのような作風の監督なのか知らずに観たのですが、なかなか味わい深い映画でした。 作風はフォーマルというよりナラティヴでしょうか。 当初、外国移住の駆け引きとして始まった離婚話が、 その後のトラブル (妻の代わりにアルツハイマーの父の介護のために雇った家政婦の流産) を通して、 決定的になってしまう、というプロットなのですが。 トラブルはどう決着するのかと最後まで見入ってしまうプロットや伏線の張り方もさすがなのですが、 海外移住する余裕のある中流階級の主人公夫妻と夫が失業中の労働者階級の家政婦夫妻の間の 価値観の違いが展開の重要な鍵になっていて、興味深く観ることができました。 観終わったて、気分が重くなるような映画でもありましたが。