野田 秀樹 演出の『THE BEE』への出演で来日したこともある イギリスの女優 Kathryne Hunter (ex-Complicité) の一人芝居。 『THE BEE』は観ていないのですが、 The Guardian での評価も高かったので、 よい機会かと足を運んでみました。
カフカの小説『ある学会報告』が原作で、 アフリカで捕まえられ連れてこられた猿が真似ることによって「人間になった」経緯を学会で報告するという話です。 自由になるために人間を真似することを選んだという話の寓意も意味深長ではありますが、 舞台の見所は、やはり、人間になった猿を人間が演じるというところでしょうか。 猿の被り物のようなものは用いず、チンパンジーっぽい動作を一時間近くし通し続けることによって、 リアリティを積み上げていくところははすが。 淡々と演じるだけではなく観客弄りもしましたし。 台詞と字幕が合っていないところも少なくなく (字幕ではソファと出たのに台詞はロッキング・チェアだったり)、 観客とのやりとりも含め、即興の要素もかなりあったようにうかがわれました (字幕担当者泣かせな……)。 後方の大きな猿の写真を置いただけのミニマルな舞台装置も、 Hunter の動きを活かしていたように感じました。
英語の一人芝居ということで少々辛いかもと予想したのですが、充分に楽しめました。 あまり観ない類の演劇なので評価は難しいのですが、 良く出来た一人芝居を観ることができたかな、と。