4月下旬から5月上旬にかけて オーディトリウム渋谷で 『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 WEEKという 特集上映がありました。 今まで上映機会の無かった Dziga Vertov Gruop (1968-1972) の映画も上映されたのですが、 気付いたのは5月に入ってから。 なんとか8日のレイトショーでこれを観てきました。
1968年パリ5月革命と重なる期間に作成された映画。 確かに、その影響というか共感を感じるところはありますが、 それは引用的が映像のコラージュに留まり、 Jean-Pierre Léaud と Juliet Berto はブラックボックスのスタジオに座って語るのみ。 ビデオ投影を使った舞台作品の映画化のような印象が残りました。
この特集上映に気付いたのは、 「ゴダールはいかにアメコミと対峙したか」 (『The Red Diptych』, 2012-05-02) で。 Jean-Luc Godard のアメコミからの引用が日本で不当に低く扱われているというのはなるほどと思う所はあるのですが、 実際に映画を観てみて、少なくとも『たのしい知識』におけるカラフルな色使いは 都市下層を取り囲む環境の表象とは関係無いように見えました。 Léaud と Berto の服装も下層的なものではなく、 今からみてケバい色使いはむしろミッド・センチュリー、サイケデリックの流行といっていいもの。 そもそも、都市下層が原色の安価な大量生産品に取り囲まれるような生活になったのは (例えばイギリスにおける chav のような)、 新自由主義的なグローバリゼーションが進行した後の話で、 Godard がアメコミを引用した映画を撮っていたのはそれ以前の話しじゃないか、と。
昔から、一度、ちゃんと見てみたいと思っていた映画だったので、頑張って観に行ったけど、 平日晩のレイトショーは苦行に近かったです……。 Godard の映画が今よりずっと好きだった20歳代のうちに、こういう映画は観ておきたかったなあ、と。