2000年代に入って注目を集めるようになった写真家 川内 倫子 の写真やビデオによる展覧会。 正直に言えば、ぼんやりナラティヴな印象を受けるシリーズ写真は苦手。 だけれども、そんな中で、阿蘇の野焼きを捉えた新作シリーズ『あめつち』は楽しめた。 単調な地形を塗り分けるような枯れた草原のベージュ、焼けた黒、空の青、 その単調さに介入するかのような炎の朱、煙の黒や白の織りなす画面が フォーマルな面白さを作り出していた。 交えられたプラネタリウムの星空写真などは、あまりピンとこなかたけれども。 ところで、正方形の撮影サイズを多用する川内だが、『あめつち』は4×5サイズ。 野焼きの色形の面白さを捉えるにはそのサイズが合っていたように思う。
東京都写真美術館近くの NADiff A/P/A/R/T 内にあるスペースでも、個展を同時開催中。 こちらは、東日本大震災の被災地で撮った写真から 白鳩黒鳩のペアを通しておぼろげなストーリーを作ったスライドショーを1人用ブースで観るというもの。 いかにも感傷的な震災テーマ物でしょうか。