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Review: Système Castafiore: Stand Alone Zone @ 彩の国さいたま芸術劇場大ホール (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/06/25
彩の国さいたま芸術劇場大ホール
2012/06/23. 15:00-16:10.
Karl Biscuit (mise en scène, infographie et direction musicale), Marcia Barcellos (choréograhe).
danseurs: Caroline Chaumont, Cédric Lequilleuc, Sara Pasquier, Sylvère Lamotte.
Jean-Luc Tourné (décor et infographie), Jérémie Diep (régie lumières et régie technique des tournée), Emmanuel Ramaux (régie son et images).
Création septembre 2009.

Système Castafiore は演出、CG、音楽を担当する Karl Biscuit と 振付を担当する Marcia Barcellos の主宰するカンパニー。 デジタル映像を駆使したパフォーマンスという触れ込みよりも、 1980sに Crammed Discs のミュージシャンとして知った Biscuit が どのような舞台を作っているのかという興味で観に行ってみました。

パフォーマンスは3Dアニメーション映画のように丁寧に作り込まれたCG映像を背景に、 4人のダンサーがマイムやダンスを繰り広げるというもの。 細かく場面を区切って暗転による場面転換を多用して物語を進めていくという所も映像表現的でした。 明瞭な言葉で聞かせるセリフはありませんでしたが、字幕があるので、ストーリーを追うのは容易。 映像の情報量が多くてストーリーも示されるので、 人の動きから観客にイメージを想像させるようなところがあまりありません。

最初のうちはダンサーの動きもそれなりに楽しめました。 最初の方の自己紹介的な男性2人による民族舞踊をギクシャクさせたようなダンスや棒を使ったダンス、 空中楼閣から下界に降りるエレベーターを頭上から観るようなアングルを見せるあたりも印象に残りました。 マンガ的なディフォルメされた動きをうまくダンス化しているなあ、と感じたときも。 しかし、後半になるほど動きが地味になっていくよう。 背の高く足の長いラスボス的なキャラクターが出てきた時は、 スティルトを履いているのだろうか、とその動きを期待したのですが、 結局歩き回る事はありませんでした (スティルトではなく単に台の上に立っていたのでしょう)。 そこで動きで表現しないのか、と感じる場面が多く、物足りなく感じました。

といっても、映像や時折使われる小道具、衣装はよく作り込まれていて、 スチームパンク的な乗物や構造物にしても雰囲気があり、 Enki Bilal らのバンド・デシネのファンタジーの影響を感じる世界観をうまく表現していたとは思います。 そういう世界が好きであればかなりツボにハマったかもしれないなあ、などと思いながら観てしまいました。

Biscuit の音楽も楽しみにしていたのですが、 ボコーダーを通して単調かつ不明瞭にした台詞をサンプリングして反復した所もあれど、 全体としては semiclassic な映画音楽。 1980s年代に Crammed Discs に残したような new wave / synth pop 的は無いだろうとは思っていましたが、 eleclectronica 的な要素がもっとあるかもと期待していただけに、そこも少々肩透かし。 スチームパンク的な世界には合っていたのかもしれませんが。

よく出来ているとは思いましたが、期待していたのとは違ったような、すれ違い感のあった舞台でした。