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Review: マームとジプシー 『マームと誰かさん・さんにんめ 今日マチ子さん(漫画家)とジプシー』 @ SNAC (演劇)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/07/22
SNAC
2012/07/21. 20:00-21:00.
作・演出: 藤田 貴大. 絵: 今日 マチ子.
出演: 青柳 いずみ, 川崎 ゆり子.

沖縄戦のひめゆり部隊を題材とした 今日 マチ子 のマンガ 『COCOON』 (秋田書店, 2010) を 2013年に マームとジプシー が演劇作品化する予定ということで、 どんなふうに舞台化するつもりなのか、その習作とでもいうものが観られるかもしれない、 という興味で足を運んでみました。 女子高校生の自意識や多摩川下流の川縁の風景など、 そのテーマは『センネン画報』や『みかこさん』とも通底するものがありましたが、 その演出はその言葉少なく余白の多い絵で描くものとは、むしろ逆。 むしろ、強迫的なセリフと身振りの反復で隙間を埋め尽くすよう。かなり異なる印象を受けました。 まあ、言葉少なく余白の多い演出としたらそのまんま過ぎるような気もしますし、 『COCOON』のような題材を扱うとしたら面白くなるのかもしれません。

この作品は マームとジプシー がゲストのアーティストを迎えて月1で制作するシリーズの第三回。 第1, 2回はもちろん、マームとジプシー を生で観るのも初めて。 耳にしていた評判等からは大きく外れない印象でしたが、らしい作風なのかなどは判断しかねます。 しかし、観ながら、こういうパフォーミング・アーツ作品からは遠く離れてしまったなあ、と思ったり。

SNACは、無人島プロダクション と 吾妻箸ダンスクロッシング が運営する 深川資料館通り商店街にある 現代美術とコンテンポラリーダンス/現代演劇のためのスペース。 東京都現代美術館ついでに展覧会を覗くことはよくしていましたが、 ここでパフォーミング・アーツ作品を観るのは初めて。 古い木造店舗の土間の店舗スペースをそのまま転用したような所をどう使うのだろう、というのも、 今回、足を運んでみた理由の一つでした。 今回は、普通に片側をステージ相当のスペースとして、 そちらに向かって折り畳み椅子等を並べて席を作っていました。 しかし、折り畳み椅子をみっちり並べたような会場は、腰につらいものがありますね……。