TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 榎 忠 『誰がために大砲は鳴る』 @ CAPSULE (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/07/29
CAPSULE, SUNDAY
2012/06/24-08/05 CAPSULE: 12:00-19:00 (土日のみ); SUNDAY: 11:30-23:00 (7/11休).

榎 忠 は1960年代後半から活動する現代美術作家。 1970年代前半の「グループZERO」でのハプニング・パフォーマンス色濃い活動の印象が強く、 それ以外の作品を観る機会がほとんど無かったので、 機械美を見せるような作品も意外とあるものなのだな、と、そこが興味深く観ることができた。

伝説的な『ハンガリー国へハンガリ (半刈り) で行く』 (1977) での 半刈り姿のポートレート写真も展示されていたが、展示の中心は2000年代以降の立体作品。 CAPSULE に展示されていた 旋盤で削り出したかのようか回転対称の要素が中心の磨きあげた銀光する金属部品をぎっしり立てて並べた “RPM-1200” (おそらく旋盤の回転数から採られている) は、摩天楼都市もしくは工場プラントの模型のよう。 また、薄赤く錆が浮いた部品で同様の形を作った “Unearthing” と併置されることにより、時間を感じるよう。 フォーマルな格好良さすら感じる展示だった。

SUNDAY 奥のギャラリーは、本物の小銃や大砲の薬莢や 旧ソ連製の AK-47 と米国製の AR-15 という2種の突撃銃を型取って鋳造したものを 部屋にぶちまけたようなインスタレーションで、冷戦の仮想の戦場跡を象徴しているよう。 こちらの作品の方が、そのパフォーマンスの残渣のような作りといい、 パフォーマンス色濃い1970年代の活動からの連続性を感じられた。