桑山 忠明 は1958年以降ニューヨークを拠点に活動するミニマルアートの作風で知られる美術作家。 1996年の千葉市美術館+川村記念美術館も2010年の金沢21世紀美術館も見逃し、 今回、やっとちゃんと観ることができた。 展示は5つの展示室にそれぞれ1作品という展示空間を贅沢に使ったもの。 メタリックな素材感を生かしたすっきりミニマルな展覧会が楽しめた。 作品はアルミニウムとチタンを素材として利用したもの2点ずつと、紙に色鉛筆で線を引いてガラスにはめたもの1点。 いずれもミニマルな形状のものを並べたインスタレーションだった。
中でも最も楽しめたのがチタン素材を使った第2室と第5室。 アノダイズド処理でピンクもしくはイエローに着色した上、表面を少しマットに仕上げてあるのだが、 光の加減や観るアングルで微妙に色を変えるのだ。 特に第5室では、高さ30cm幅60cmの板8枚を交互に少し角度を変えて立てていたのだが、 上から見下ろすアングルではピンクというより少しイエローがかって見えるうえ、 角度の違いで一枚一枚異なる色に見える。 そのうえ、観客の出入りなどによる光の変化でも微妙に色が変化していく。 ミニマルなセッティングで多様な色を見せる所が面白かった。
アルミニウムの作品では、やはりアノダイズド処理でイエローとオレンジに着色した 高さ30cm直径30cmほどの円筒状のオブジェを16点、色が交互になるように並べた第1室。 アルミニウムとチタンの特性の違いなのか、表面処理の違いなのか、 チタンの作品に比べて色の変化に乏しいのが、少々残念だった。