企業と建築家が組んで住宅の新たなビジョンを示すことを狙った建築展。 坂 茂 の個展を観て [レビュー]、 こちらの「無印良品の家」も観ておきたいと思い、足を運んでみた。 特にコンセプチャルな展示など、 きれいごとしかない博覧会の企業パビリオンなどにありがちな空虚さを感じたのも確か。 そんな中、杉本 博司 や 坂 茂 は組んだ相手も良かったか、 コンセプトも無理なく組んだ企業の製品を使いこなしていて、さすがの仕上がりと感心した。

住友林業 × 杉本 博司 は、 モダン和洋折衷の応接空間と庭園の茶室で杉素材の贅沢さを演出。 個人住宅というより、公邸かホテルの一室かという感ではあったけれど、 生活感やエコっぽさを出そうなどという素振りも見せない割り切りが良かった。

一方、無印良品 × 坂 茂 は、家具を構造材とした「家具の家」の無印良品版「無印良品の家」を展示。 無印良品の製品ラインナップのせいか生活感の演出も無理無く、 プレハブや既製規格品のリユースを得意とする 坂 茂 の資質にはまっていた。 「無印良品の家」は一般の住宅として最も現実的だったけれども、 家の隅々まであまりに無印良品的過ぎて、こういう家に住みたいかは微妙に感じてしまった。